【2/21 - 2/27】注目の海外スタートアップの大型資金調達
2026年2月21〜27日の週、米国スタートアップ市場は通常とは異なる1週間となった。半導体、ヘルスケア、核融合など各セクターで大型調達が相次ぐ中、金曜日の終わりにOpenAIが1,100億ドルという前例のない規模の資金調達を発表し、他のすべてのニュースを塗り替えた。
1. OpenAI——民間企業として史上最大の調達
1-1. 規模と構造
OpenAIが調達した1,100億ドルは、民間企業の単一ラウンドとして過去最大の金額だ。プレマネーバリュエーションは7,300億ドル、ポストマネーでは8,400億ドルに達する。
出資の内訳はAmazonが500億ドル、SoftBankとNvidiaがそれぞれ300億ドルを拠出した。サンフランシスコを本拠とするOpenAIは、ラウンドが進むにつれてさらに追加の投資家が参加する見込みだとしている。
1-2. 注目すべき出資者の顔ぶれ
Amazon・SoftBank・Nvidiaという3社が同一ラウンドに並んでいる点は興味深い。Amazonはクラウドインフラ(AWS)、NvidiaはGPU、SoftBankは資本とグローバルネットワークという、それぞれ異なるレイヤーでAI産業を支える企業が、同じ企業に同時に大規模出資している構図だ。競争よりも「共同インフラ建設」に近い動きとも読み取れる。
2. 同率2位——半導体と通信インフラへの500億ドル
2-1. MatX——LLM専用カスタムチップ
MatX(カリフォルニア州マウンテンビュー)は、大規模言語モデル(LLM)向けのカスタムチップと専用ハードウェアアーキテクチャを設計するスタートアップだ。シリーズBとして5億ドルを調達し、製造スケールアップに向けて動き出した。リードインベスターはJane Street CapitalとSituational Awareness。AI推論コスト削減を狙う専用シリコンへの需要を背景に、大型資金が集まった形だ。
2-2. Vero Networks——光ファイバーインフラ
同じく5億ドルを調達したのがVero Networks(コロラド州ボルダー)。同社は光ファイバーインフラとブロードバンドインターネットの提供を手がける。Braemont Capital、Hamilton Lane、Delta-v Capitalがバックアップした。AIデータセンターの増加に伴い、通信インフラへの需要も底堅いことを示す案件だ。
3. 核融合・ヘルスケア・バイオテックへの資金流入
3-1. Shine Technologies(2億4,000万ドル)——核融合の医療・エネルギー応用
Shine Technologies(ウィスコンシン州ジェーンズビル)は、核融合技術を医療と エネルギー分野に応用する開発企業だ。NantWorksがリードするエクイティ調達で2億4,000万ドルを確保した。核融合というと遠未来の技術というイメージがあるが、同社は医療用途での早期商用化を狙っている点が特徴的だ。
3-2. Honest Health(1億4,000万ドル)——プライマリケアのDX
Honest Health(テネシー州ナッシュビル)は、プライマリケア医向けのテクノロジーツールを提供する。NewSpring主導で1億4,000万ドルを調達。医療現場のデジタル化需要は引き続き強く、ヘルスケアテックへの投資マネーは安定して流れ込んでいる。
3-3. Slate Medicines(1億3,000万ドル)——頭痛治療の新薬開発
Slate Medicines(ノースカロライナ州ローリー)は、頭痛疾患向け治療薬の開発を手がけるバイオテックスタートアップだ。RA Capital Management、Forbion Capital Partners、Foresite Capitalが共同でリードしたシリーズAで1億3,000万ドルを調達し、同時に会社設立を発表した。
4. ハードウェアテスト・スマートインフラ・AI会計・衛星通信・XRグラス
4-1. Revel(1億5,000万ドル)——宇宙・防衛向けハードウェアテスト
Revel(カリフォルニア州ロサンゼルス)は、ハードウェアのテストと制御向けソフトウェアプラットフォームを提供する。Index Ventures主導のシリーズBで1億5,000万ドルを調達し、航空宇宙・防衛・ロボティクス・産業分野への展開を加速する計画だ。
4-2. Ubicquia(1億600万ドル)——スマートインフラの分析基盤
Ubicquia(フロリダ州フォートローダーデール)は、スマート照明・電力網監視・公共安全向けの分析プラットフォームを提供する。設立から12年を経てシリーズDで1億600万ドルを調達。67 CapitalとMarunouchi Innovation Partnersがリードした。マルノウチ(丸の内)イノベーションパートナーズの参加は、日本の投資家がスマートシティ分野に目を向けていることを示す一例だ。
4-3. Basis・Aalyria・Viture(各1億ドル)——同率9位の3社
Basis(ニューヨーク)は、AIエージェントを活用した会計士向けプラットフォームで、Accel主導のシリーズBで1億ドルを調達、バリュエーションは11億5,000万ドル。GoogleベンチャーズやLloyd Blankfein(元ゴールドマン・サックスCEO)も参加している。
Aalyria(カリフォルニア州リバモア)は、Googleのスピンアウトで、通信衛星の需要対応ソフトウェアを開発する。Battery VenturesとJ2 Venturesが主導しシリーズBで1億ドルを調達した。
Viture(サンフランシスコ)は、XR(拡張現実)スマートグラスのメーカーで、Legend Capital主導で1億ドルを確保した。
