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【7/18 - 7/24】注目の海外スタートアップの大型資金調達

7月18日から24日までの週に発表された米国スタートアップの資金調達ラウンドのうち、最大規模となったのは、Uber創業者トラビス・カラニック氏が手がけるフィジカルAI企業Atomsの17億ドルだった。今週は、特定の分野に偏らず、フィジカルAI、バイオテック、サイバーセキュリティ、AIインフラ、フィンテックといった幅広い領域で大型調達が相次いだ。本稿では、その上位10件を順に紹介する。


1. Atoms ― フィジカルAIに17億ドル、Uber創業者が「未完の仕事」に着手


今週最大の調達となったのは、Uber創業者であるトラビス・カラニック氏が設立したロサンゼルス拠点のフィジカルAI企業Atomsだ。Andreessen Horowitz(a16z)が主導するラウンドで17億ドルを調達し、a16z共同創業者のベン・ホロウィッツ氏が取締役会に加わる。カラニック氏は、この投資について「未完の仕事」と表現しており、これは2011年当時、Uber創業初期にa16z創業者らとほぼ提携が成立しかけていた経緯を指しているという。

Atomsは、カラニック氏がUber退任後に手がけたゴーストキッチン事業CloudKitchens(City Storage Systems)と、著名エンジニアのアンソニー・レバンドフスキー氏が率いていた重工業自動化企業Pronto(2026年3月に買収)を統合した持株会社で、Atoms Food・Atoms Mining・Atoms Transportの3事業部門を持つ。ラウンドには、出資者としてBain Capital、Fifth Wall、Chemistry、A*、K5 Global、Abstract、SV Angel、Alpha Square Groupに加え、興味深いことにカラニック氏を2017年にCEOから追放した当のUberも名を連ねている。負債側のパートナーとしてはBank of America、Goldman Sachs、Wells Fargo、JPモルガン、Barclaysが挙がっているが、融資枠の規模は非公表だ。

ホロウィッツ氏は、今回の投資理由について、「AIとロボティクスで最も価値のあることは、Uberが交通で、コンピューターがデジタル世界で成し遂げたことを繰り返すことだ」と述べ、物理世界における生産性向上こそが次のフロンティアだとの考えを示した。なお、Atomsは、正式な評価額を公表していない。Dealroomのデータによれば、2026年上半期だけで世界のロボティクス投資額は過去最高の558億ドルに達しており、フィジカルAI分野全体への資金流入が加速している中での大型調達となった。

2. Meshy AI ― 3D生成AIに約4億ドル、評価額15億ドルでカテゴリー最大級に


シリコンバレー(サニーベール)拠点のMeshy AIは、AIによる3Dモデル生成の基盤モデルを開発するスタートアップで、評価額15億ドルでSeries Bとして約4億ドルを調達した。これは同分野で単独としては過去最大の資金調達であり、同社にとって初めて評価額を公表したラウンドでもある。IDG Capital、Matrix Partners China、Monolithが共同主導し、既存投資家のSequoia ChinaやSource Code Capitalなども割当を超えて追加出資したという。

創業者は、MIT博士号を持つHu Yuanming(Ethan Hu)氏で、同社のツールを使えば従来2週間かかっていたプロ向け3Dモデリング作業を約1分に短縮できるとされる。年間経常収益(ARR)は、過去1年で12倍に伸び、登録ユーザー数は1200万人を突破、生成された3Dモデルの累計は1億点を超えたという。ゲーム開発大手のNexon、NetEase Games、37 Interactive Entertainmentのほか、Bambu LabやCreality、Elegooといった3Dプリンター関連企業、さらには、Hugo Bossなどファッション業界も顧客に名を連ねる。同社は、時価総額世界トップ10のテック企業のうち5社が既に同社の技術を使った開発に取り組んでいるとも説明している。

3. Sila ― バッテリー技術に3億ドル、新工場拡張へ


カリフォルニア州アラメダを拠点とするバッテリー技術企業Silaは、Atreides ManagementとSutter Hill Venturesが主導する新ラウンドで3億ドルを確保した。調達資金は、ワシントン州モーゼスレイクにあるシリコンアノード(負極材)工場の拡張に充てられる予定だ。同社は、EV(電気自動車)やウェアラブル機器向けの次世代バッテリー材料開発を手がけており、AI関連の設備投資ブームとは異なる文脈で、実物資産への投資需要が根強いことを示す一件となった。

4. Etched ― 推論特化型チップに3億ドル、Sequoia史上最大のシリーズC評価額に


フロンティアモデル向けのチップ「Sohu」を開発するEtchedは、Series Cで3億ドルを調達し、評価額は103億ドルに達した。Sequoia Capitalが主導し、Andreessen Horowitz、SK Hynix、Jane Street、Diffusion Capitalなどが参加したこのラウンドは、Sequoiaがこれまでにシリーズ Cで付けた評価額としては過去最高だという。2025年12月時点の評価額は50億ドルであり、わずか7か月で倍増したことになる。

同社は、2022年にハーバード大学の中退者3人によって設立され、汎用GPUと違い、AIモデルの「推論(すでに学習済みのモデルを実際に動かす処理)」専用に設計されたチップを開発している点が特徴だ。同社によれば、Sohuチップは既に10億ドル規模の受注を確保しており、主要顧客先での実機テストも始まっているという。共同創業者でCEOのGavin Uberti氏は、「今こそ積極的に攻める時だ。我々のチップは機能するし、顧客も求めている」とコメントしている。なお、AI推論チップ市場は2025年の177億ドルから2030年には370億ドル規模まで拡大するとの予測もあり、Nvidiaの牙城に挑む有力候補としてEtchedへの期待が高まっている形だ。

5. Augustus ― フィンテックに1.8億ドル、評価額10億ドルのユニコーンに


世界中の金融機関にドル建て口座への直接アクセスを提供することを目指すAugustusは、Series Bで1.8億ドルを調達した。Tiger Globalが主導したこのラウンドで、サンフランシスコ拠点の同社の評価額は10億ドルとなり、ユニコーン企業の仲間入りを果たした。

6. Cathedral ― 元DOGE職員による防衛サイバー企業に1.6億ドル、評価額14億ドル


米軍のサイバー能力拡充を目指すワシントンD.C.拠点のCathedralは、Andreessen HorowitzとSequoia Capitalが主導するラウンドで1.6億ドルを調達し、評価額は、14億ドルに達したとロイターが報じている。両社は、取締役会にも参加する。同社は、対中国などを念頭に置いた攻撃・防御双方のAI駆動型サイバー作戦で米政府との契約獲得を目指しており、専用の計算資源確保のためデータセンター事業者の買収または提携も模索しているという。

創業メンバーは、政府効率化省(DOGE)出身のGavin Kliger氏、Luke Farritor氏、Marko Elez氏、Jack Stein氏の4人。Kliger氏は米国防総省(War省)でチーフ・データ・オフィサーを務めた経歴を持つ。売上や契約実績が非公開のまま14億ドルという評価額がついた点について、創業チームが持つ政府とのネットワークへの投資家の期待の高さが表れているとの見方も報じられている。DOGEの人員削減で2025年に25万人以上が連邦政府職員を離れたとされる中、当時の実務を担った当事者たちが、自らが変えた政府組織を新たな顧客として起業する動きが広がっている。

7. Crystalys Therapeutics ― 痛風治療薬の開発に1.3億ドル


痛風患者向けの治療法を開発するバイオテック企業Crystalys Therapeuticsは、応募超過となったSeries Bラウンドで1.3億ドルを調達した。カリフォルニア州サンディエゴ拠点の同社に対し、Frazier Life Sciencesが主導した。

8. Candid Health ― 医療向けソフトウェアに1.2億ドル


医療業界向けの収益循環管理(レベニューサイクルマネジメント)プラットフォームを開発するサンフランシスコ拠点のCandid Healthは、Sixth Street Growthが主導するSeries Dで1.2億ドルを獲得した。

9. Glow ― エンドポイントセキュリティに1億ドル、ステルスから登場


カリフォルニア州パロアルト拠点のAI活用型エンドポイントセキュリティ企業Glowは、ステルスモードから脱し、これまでに累計1.8億ドルを調達したと発表した。そのうちCrunchbaseによれば1億ドルが今回の新規調達分にあたる。主要出資者にはSequoia Capital、Cyberstarts、Greenoaks、Redpointが含まれる。

10. Neo Security ― エージェント型セキュリティに7500万ドル


ボストン拠点のNeo Securityは、企業向けのエージェント型ソフトウェア制御プラットフォームを開発しており、Bessemer Venture PartnersとAndreessen Horowitzが主導する新ラウンドで資金を調達した(調達額はCrunchbaseの記載で7500万ドル、報道内では1億ドルとする記述もある)。

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