Josh Brown氏、アップル株「400ドル到達」を予測 ― 7月30日決算とiPhone好調が根拠
米国株投資系ポッドキャスト「What Are Your Thoughts?」で、Ritholtz Wealth ManagementのCEOであるJosh Brown氏が、アップル株について強気な見通しを語りました。同氏は、自身の投資判断も開示した上で、アップル株が現在の水準から3割超上昇し、400ドルに到達する可能性があると述べています。本稿では、その根拠となった業績動向や今後のカタリストを整理し、投資家が押さえておくべきポイントを解説します。
1. アップル株の技術的な強さ
Brown氏は、まず、アップル株のチャートを示しながら、2022年末から続く上昇トレンドの中でも、他のマグニフィセント・セブン銘柄と比べて際立って良い形をしていると指摘しました。今年に入ってからは、年初来15〜16%の上昇となっており、ナスダック指数と同水準、他のメガキャップ株が軒並みマイナスとなる中では相対的に優れたパフォーマンスだといいます。
同氏は、6月8日に付けた過去最高値317ドルからの一時的な調整局面でも、200日移動平均線を割り込むことがなかった点を挙げ、「買い手が悪材料にどう反応するか、どれだけ早く、どれだけの確信を持って入ってくるかを見るのが好きだ」と述べています。
2. 業績面での転換点
2-1. iPhoneの復調が牽引
直近四半期の決算では、売上高が前年同期比17%増の1112億ドルとなり、1株利益も1株2.11ドルとアナリスト予想の1.95ドルを上回りました。中でも、iPhone事業の売上高は、570億ドルに達し、Brown氏は、「iPhone 17がヒットしたおかげ」だと説明しています。サービス部門の売上高も310億ドルと過去最高を記録しました。
一時的に足かせとなっていた中国事業についても、205億ドルと市場予想を上回る回復を見せており、同氏は、Alibabaとの新たな提携がその背景にあると指摘しています。
2-2. 通期ガイダンスの上方修正
今四半期のガイダンスについて、アップルは、14〜17%の成長を見込んでおり、市場予想の9%を大きく上回りました。Brown氏は、「これがこの銘柄が既に300ドルを超えている理由を説明している」と述べ、今後の焦点は売上高よりもマージンに移っているとの見方を示しました。
3. メモリ価格高騰という逆風
一方で、アップルは、半導体メモリの価格高騰という課題にも直面しています。DRAMおよびNAND型フラッシュメモリのコストは、四半期で98%上昇したとされ、Tim Cook氏は、先週、この状況を「100年に一度の大洪水」と表現し、値上げは避けられないと述べたといいます。
市場では、第4四半期に発売予定の「iPhone 18 Pro」が、現行の「17 Pro」より200ドル高くなるとの予測も出ています。Brown氏は、「この程度の値上げが、消費者の買い替え意欲を止めるとは思わない」との見方を示しています。
4. 9月に控える二つの大型イベント
Brown氏が特に注目しているのが、9月に予定される二つの出来事です。一つは、9月1日付けで新CEOに就任するJohn Ternus氏で、ハードウェア畑出身の同氏の下、最初の基調講演では、折りたたみ型iPhone(iPhone UltraまたはiPhone Foldと呼ばれる可能性)が発表される見通しだといいます。
同製品は、アップル自身が設計し、TSMCが製造するA20 Proチップを搭載するとされ、価格は2000〜2500ドル程度になる可能性があるとの見方も紹介されました。供給制約が厳しく、初年度の出荷数は限定的とみられていますが、Brown氏は、「売り切れ商品になるだけの需要は十分にある」と分析しています。
5. Siriの刷新とAIをめぐる戦略
もう一つの注目点は、Siriの刷新です。6月に発表されたAI機能の大幅刷新は、自社の基盤モデルとGoogleのGeminiを組み合わせたもので、段階的に展開される計画とされています。Brown氏が特に強気に見ているのが、「アプリをまたいだタスク実行」機能で、年内の実装を見込んでいるといいます。
同氏は、アップルの戦略について「自社で最先端のAIモデルを作るのではなく、他社のモデルを自社の25億台のデバイス上でマネタイズする『関所』のような立ち位置を取ろうとしている」と説明しました。ユーザーがどのAIモデルを選んでも、アップルは手数料を得られる構造になるとの見方です。
アナリストのDan Ives氏は、この点を評価し、目標株価を350ドルから400ドルへと引き上げています。同氏の試算では、AIサービス事業だけで年間150億ドルの収益機会があり、世界人口の20%が最終的にアップルのデバイスを通じてAIにアクセスするようになるとの前提が置かれています。
6. まとめ
Josh Brown氏の見立ては、アップルを「AIで出遅れた企業」ではなく「AIサービスの入口を押さえる企業」として再評価する視点に基づいています。iPhoneの回復基調、メモリコスト高騰への対応力、そして、9月に控える新CEO就任と新製品投入という複数のカタリストが重なる中、同社の今後の株価動向は多くの投資家にとって注目材料となりそうです。ただし、これはあくまで一人のアナリストによる見通しであり、実際の投資判断にあたっては複数の情報源を参照することが重要です。

