見出し画像

ビットコインの“弱さ”が示す2026の主役交代——AI相場は「電力」と「実体経済」へ

「2026年は、AI相場が“次の段階”に入る年になるのか?」――『The Real Eisman Playbook』Episode 40では、ホストのスティーブ・アイズマンが、テック強気派のDan Ives(Wedbush)と、マクロ/テクニカルのChris Verrone(Strategas)を招き、2025年の“ナラティブ乱高下”を総括しつつ、2026年の勝ち筋を議論します。番組の主題は大きく2つ。①AIのカネ(CAPEX→収益化)のタイムラグ、②「ビットコインの弱さ」が示す“投機→実体”へのバトンパスです。


1. 「AIの需要は本物」でも、投資家が怖いのは“収益化の遅れ”


Ivesが繰り返すのは、AIはまだ“需要サイクルの序盤”だという主張です。現場感として「NVIDIAチップの需給が12対1」といった熱量を語りつつも、投資家サイドの最大懸念は別にある――つまり、「いつマネタイズが起きるのか」

彼の言葉を借りれば、CAPEXは積み上がる一方で、「投資家が“白旗(支出停止)”を掲げるほど収益化が遅れれば、AIバブル観が“自己成就”しかねない」という恐怖です。ここが議論の起点になります。

1-1. 「AIと言えばAI株」ではなく、勝者と“偽物”の選別へ

番組内では、「決算コールでAIを30回言ってもAI企業にはならない」という辛辣な指摘も登場します。AIテーマが長期化するほど、“純度の高い勝者”(基盤・データ・実装力)と、“雰囲気AI”(語るだけ)の二極化が進む――という整理は、2026年の個別株選びの前提になりそうです。

2. AI 2.0の本丸は「電力」と「資源」――“足元の戦争”


アイズマンが鋭い例を出します。カリフォルニアのデータセンターが「完成しているのに電力が足りず繋げない」という話。つまり、AIはソフトでは加速できても、インフラ(電力・送電・発電)は物理制約を受ける。

これにIvesも同意し、最大の制約はエネルギーだと明言。特に、「原子力は時間がかかるが、避けて通れない」というニュアンスで、AI競争を「エネルギー面の軍拡競争」に重ねます。

2-1. コモディティ上昇の理由は1つじゃない。でも“AI由来”は増えている

Verroneは、コモディティの上昇を「景気循環」「地政学・資源ナショナリズム」「ドル価値低下」など複数要因で説明しつつ、AI 2.0(電力・金属・資源)の需要という読みも提示します。議論の上手い点は、「理由は1つに絞れない。株は鈍器だ」という現実主義。だからこそ、2026年は、AIそのものだけでなく、“AIを成立させる素材・電力・設備”へ視野を広げる、という提案につながります。 

3. 2026年のキーワードは「投機→実体」:ビットコインの弱さが“合図”


Verroneの2026予測は明快です。

「2026年前半は、投機的(高ベータ)資産から“リアルなもの”へのバトンパス」
具体的には、輸送、地方銀行、住宅、化学、コモディティなど“実体経済”寄りの領域。面白いのは、彼がこのローテーションの兆候としてビットコインの軟調さを挙げる点です。
「キャリー(利回り)のある“リアル資産”へ」「キャリーのないビットコインから」――この対比は、投資家心理の変化を一言で説明します。

3-1. ただし「テックが終わる」とは言っていない

ここが誤読しやすいポイントです。Verroneが言っているのは“主役の分散”。一方でIvesは「テック株は+20%超もあり得る」と強気を崩さない。つまり番組の結論は、テックか実体かの二択ではなく、AIの波が“二層化”するという話に近い。

  • 上層:AI中核(クラウド、データ、実装、セキュリティ)

  • 下層:AIの副産物(電力・資源・設備・産業効率化)

4. Oracleは“物語”の実験台:株式と債券、どっちが正しい?


番組後半の白眉はOracle論です。Ivesは「Oracleはハイパースケーラーではないが、AIデータセンター需要の受け皿として巨大な機会を得る」と主張し、ネガティブ派の「OpenAIは請求書を払えるのか?」という疑念と正面衝突します。

ここでアイズマンが補足するのが、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の話。Oracleの債務が“ジャンク級のように見える”ことが不安を煽っているが、CDS市場は流動性が薄く、少額でもスプレッドが動きやすい――つまり「債券市場が全員でOracleを否定している」と即断するのは危険、という整理です。

このパートが示す教訓はシンプルで、「ナラティブは軽く持て」。数か月で“常識”は反転する、という2025の総括がここに回収されます。

5. 視聴後に残る「2026の見取り図」:投資家は何をチェックすべきか


番組を“行動”に落とすなら、チェック項目は3つに絞れます。

  1. AI収益化の速度:CAPEXの増加に対し、企業の売上・粗利が追いつくか(遅れれば調整は起きる)。

  2. 電力・資源ボトルネック:AIの成長率を決めるのは、モデル性能より“供給制約”になり得る。

  3. ローテーションの兆候:ビットコインの弱さ、コモディティ、地方銀行、輸送などの相対強度が「次の主役」を教える。

2026年は、AIの夢が崩れる年ではなく、AIが現実(電力・資源・実装・産業効率)に着地していく年になる――Episode 40は、その“着地の仕方”を、テック×マクロ両面から描いた回でした。

オススメ記事


Next Big Wave(成長株・アイデアの種・トレンド深掘り)



いいなと思ったら応援しよう!

この記事は noteマネー にピックアップされました

noteマネーのバナー