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TSMC、対米投資を1000億ドル積み増し総額2650億ドルへ ― 増産方針で半導体株が下落

2026年7月、半導体関連株に調整の動きが見られた。きっかけは、TSMC(台湾積体電路製造)の決算だ。売上見通しは市場予想を上回ったにもかかわらず、株価は下落した。背景にあるのは、AI関連の設備投資(CAPEX)が今後も高水準で続くという見通しに対し、市場が「現在の株価バリュエーションはそれに見合っているのか」を再計算し始めたことだ。同じ週には、ASMLも通期売上見通しを年内2度目となる上方修正としたほか、テキサス州では防衛スタートアップのサロニックが32億ドル規模の造船拠点建設を発表。さらにゲームストップのCEOライアン・コーエン氏が、eBay買収案の現状について語った。本稿ではこれら4つの動きを整理し、それぞれの意味合いを解説する。


1. TSMCの対米投資、総額2650億ドルへ拡大


TSMCは決算で売上見通しを引き上げつつ、CAPEXが今年だけでなく今後複数年にわたって増加する方針を示した。これを受けて市場では、半導体関連株全般に売り圧力がかかった。

ブルームバーグのマイク・シェパード記者によれば、この動きの核となる数字が対米投資総額2650億ドルだ。これは新たに4つの半導体工場(ファブ)を建設するための追加投資1000億ドル分を含んでおり、アリゾナ州における計画は最終的に10のファブと2つのパッケージング工場に達する見込みだという。同記者は、これらの施設建設には長い年月を要し、生産開始までの期間は「即座に、あるいはすぐそこに」というよりも、もっと長期的な時間軸で捉えるべきだと説明した。

この積み増しの背景には、トランプ政権による関税圧力があったとされる。TSMCは前年、バイデン政権下で合意した650億ドルの投資計画を1650億ドルへ引き上げていたが、それでも十分ではなく、追加で1000億ドルを積み増す形となった経緯がある。

アナリストのタミー・チウ氏(ベレンベルグ)は、TSMCがAI関連の需要は2029〜2030年まで続くとの見方を示したことは業界にとって前向きなシグナルだと評価する一方、株価下落については、直近2カ月で株価が大きく上昇していたことによる短期的な利益確定売りだとの見方を示した。

2. ASML、年内2度目の上方修正 ― 需要はまだ続く


半導体製造装置大手のASMLも、年間売上見通しを年内2度目となる上方修正とした。チウ氏は、売上高だけでなく、利益率見通しも52%台半ばから55%台半ばへ引き上げられた点に注目すべきだと指摘する。これは顧客側からの追加需要が着実に見込まれていることを示唆しているという。

同氏は、ASMLの決算がAI関連の設備投資・生産能力拡大がまだ終わる局面にはないことを裏付けていると述べた。一方で株価が下落した理由についても、TSMCと同様に「直近3カ月の株価上昇による期待の高まり」が背景にあるとの見方を示している。

ASMLの受注残は2028年分まで積み上がっているとされるが、同社は生産能力の拡大には慎重な姿勢を保っているという。チウ氏によれば、これは景気後退局面で過剰な生産能力を抱えるリスクを避けるためであり、顧客との頻繁な対話を通じて実需を見極めながら投資判断を行っているとのことだ。なお、地域別の販売動向としては韓国・台湾向けが中心で、米国向けは全体の9%にとどまるが、TSMCやサムスンの米国拠点拡大に伴い、今後は米国向け販売も増加する見通しが示された。

3. サロニック、テキサス州に32億ドルの造船拠点


半導体分野以外でも、テキサス州を舞台とした大型投資が発表された。自律型海洋ドローンを手がけるサロニックは、テキサス州ブラウンズビル港に32億ドルを投じ、大型無人水上艦艇を製造する次世代造船所を建設する計画だ。

同社CEOのディノ・マブルーカス氏は、進出地決定の決め手について、土地の広さや深海アクセスといった条件は他候補地にも共通していたが、最終的にはブラウンズビルの労働力と、州・郡・市による支援体制が決め手になったと説明した。同氏は、この投資により今後10年間で1万人の新規雇用と、地域経済への1600億ドルの経済効果が見込まれるとしている。

グレッグ・アボット州知事は、テキサス州が全米で最も優れた労働力を有していると強調し、テキサス州立技術大学などを通じた実践的な職業教育制度がSpaceXなど他企業の進出理由にもなっていると述べた。同州知事はまた、番組冒頭で、当時テキサス州中南部で発生していた洪水被害について言及し、既に80件の救助を実施済みであること、1300人の人員と船舶・ヘリコプターなどの資源を投入して対応に当たっていることを説明した。

4. ゲームストップ、eBay買収案の行方


番組後半では、ゲームストップCEOのライアン・コーエン氏が、同社が5月に提示した560億ドル規模のeBay買収案について語った。eBay側はこの提案を「信頼性も魅力もない」として拒否しているが、コーエン氏はその後、自身の役員報酬パッケージを撤回し、株主からは授権株式数の増加承認を取り付けている。

コーエン氏は、自身が5億ドルの自己資金を本取引に投じる予定であることを明らかにし、ライブコマース事業やゲーム内アイテムのデジタルマーケットプレイス構築、店舗網を活用した即日真贋鑑定サービスなど、eBayとゲームストップの店舗網を組み合わせることで得られる成長機会を強調した。また、買収完了後1年以内に20億ドルのコスト削減を実行する方針も改めて示した。

信用格付け機関ムーディーズが本件を信用面でネガティブと評価している点については、コーエン氏は格付け機関からの直接の問い合わせはまだ受けていないとしつつ、統合後の会社は投資適格級を維持できるとの見方を示した。買収資金についてはTDセクリティーズからの高い確度を示すレターを得ているとし、複数の資金提供者からの関心も寄せられていると説明した。

なお、買収提案の引き上げについては明言を避け、正式な事業計画は株主に対して直接開示する方針であるとした。一方でゲームストップ自体の業績については、2026年第1四半期の利益が1億4300万ドルと過去最高を記録したことに触れ、店舗数を大きく減らしながらも収益力を高めている点を強調した。

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