米半導体指数、CPI鈍化にもかかわらず3%下落 ― NASDAQ100は反落、S&P500は0.4%高で明暗分かれる
2026年7月15日(水)、米国株式市場は、方向感の定まらない一日となった。この日発表された生産者物価指数(PPI)は、市場予想よりも軟化し、インフレ鎮静化への期待が高まった一方、半導体セクターの急落がその楽観を打ち消す格好となった。CPI・PPIともに軟調な結果を受けて、金融当局の利上げ観測は後退したが、原油価格の高止まりや地政学リスクは依然として市場の重しとなっている。
さらに、この日は、ペンシルベニア州カーライルで開催された国防・防衛産業サミットにトランプ大統領が出席し、ジェイミー・ダイモン氏(JPモルガンCEO)やケリー・オートバーグ氏(ボーイングCEO)ら大手企業首脳が集結するなど、金融市場以外の話題も市場参加者の関心を集めた。本稿では、Bloomberg TV「The Close」で取り上げられた市場動向、原油・エネルギー市場の構造変化、決算シーズンの主要トピック、AI設備投資の見通し、さらには、オルタナティブ資産(アート・オークション市場)や消費トレンドまで、番組内で語られた専門家の発言を交えながら幅広く整理する。
1. インフレ鈍化と金利観測の変化
1-1. 軟調なPPI・CPIと半導体株の逆行
番組冒頭では、NASDAQは、一時0.6%安まで下落し、半導体指数は前日比で約3%下落したことが報じられた。ガソリン価格の12%下落がCPI押し下げの主因となったほか、倉庫コストや航空運賃、ポートフォリオ管理手数料、穀物・卵・豚肉といった食品も値下がりした。市場では利下げ観測が後退し、トレーダーの一部は12月の利上げの可能性すら織り込み始めているという。
一方で、AI関連分野では価格上昇が続いている。前日発表のCPIでは、コンピューターソフトウェア・周辺機器の価格が過去8カ月中7カ月で上昇し、コンピューター機器の生産者物価は、12カ月連続で上昇した。半導体製造装置大手ASMLについても、価格改定を検討しているとの報道が伝えられた。こうした「インフレは全体としては鈍化しているが、AI関連コストだけは上昇し続けている」という二極化した構図が、この日の市場心理を複雑にした一因といえる。
1-2. リズ・トーマス氏「2026年中の利上げはない」
チーフ・ストラテジストのリズ・トーマス氏は、番組内で「2026年中の利上げは実施されないとみている」と明言した。ただし本人も「これは大胆な発言だ。年内にはまだ多くの時間が残っており、6月の一時的な緊張緩和のあとに戦争が再び激化している」と付け加え、慎重な姿勢もにじませた。
その上で同氏は、「今週のCPIとPPI、両方とも全体として市場予想より弱く、これは投資家にとって重要なポイントだ」と述べ、原油価格の下落がインフレ全体の落ち着きに寄与していると指摘。「幅広い品目でインフレが鈍化していることは非常に重要」としつつ、FRB新議長ケビン・ウォーシュ氏による「これはミッション・コンプリートではない」という趣旨の発言についても「知的な指摘」だと評価した。
ブレークイーブン・インフレ率(2年・5年物)は、現状2%を下回る水準で推移しており、トーマス氏は、「市場は利上げリスクを過大評価している」との見方を示した。焦点はむしろ、新体制のFRBが今後6〜12カ月でどのように市場の期待をコントロールしていくかにあるという。
1-3. 決算シーズンへの期待と株価のタイミングのズレ
トーマス氏は、また、決算シーズンについて「期待値は高いが、企業収益は健全に推移するだろう」との見方を示した。ただし「投資家として留意すべきは、企業収益と株価は必ずしも同時に動かないということ。株式市場は収益のピークより先にピークをつける傾向がある」とし、収益自体は非常に強い状態が続く一方で、株価は横ばいで推移する局面もあり得ると指摘した。さらに、新FRB議長を巡る不透明感や中間選挙を巡るレトリックなどにより、夏から初秋にかけてボラティリティが高まる可能性があるとも述べている。
2. 原油市場の構造変化とホルムズ海峡リスク
2-1. クラックスプレッドが1980年代半ば以来の高水準に
原油市場では、ブレント原油が、イラン戦争開始以来の平均を下回る水準で推移する一方、精製マージン(クラックスプレッド、原油調達コストと精製品販売価格の差)は歴史的な高水準にある。番組では、原油価格(白線)が下落する一方でガソリン・ディーゼル・ジェット燃料の価格はそれほど下がっていないという、通常とは異なる価格乖離のチャートが紹介された。
Abaxx Marketsの共同会長ジェフリー・カリー氏は、この背景として2つの要因を挙げた。
第一に、ホルムズ海峡を巡る混乱で1億2000万バレル超(一部推計では1億5000万バレル)の原油供給が「ニキビを潰すように」一気に市場に放出されたこと。カリー氏はこれを指して「原油は急落したが、それをすぐに精製して製品化することはできない」と説明した。
第二に、ウクライナがロシア領内深く(ロシア国内1300キロ地点)への精密ドローン攻撃で原油蒸留装置(プライマリータワー)を破壊し、ロシアの精製能力の50%以上が失われたこと。カリー氏は、「一部の設備の再建には数年かかるだろう」と述べ、「エネルギー分野の状況はかなり深刻だと言わざるを得ない」と強調した。
2-2. 「今回は前回とは違う」―在庫バッファーの枯渇
カリー氏は、トランプ政権が強調する「原油供給過剰(オイル・グラット)」論や、タンカーが待機しているという楽観論に対して懐疑的な見方を示した。「今回のラウンド2では、ラウンド1で使い果たしたインベントリー・バッファーが存在しない」とし、前回(ラウンド1)は在庫の取り崩しと中国の経済的な柔軟性によって深刻な不足を回避できたが、「不足(ショーテージ)ではなく需給の引き締まり(デフィシット)だった」と整理した。
一方で、「今回はニューヨークハーバーのディーゼル価格が1バレル140ドルに達しており、実際の製品不足に陥る可能性が現実味を帯びてきている」と警鐘を鳴らした。さらに、サウジアラビアとフーシ派が紅海の支配権を巡って対立しており、サウジの輸出ルートの多様化(ダイバージョン)を強いられている点も、前回との違いとして挙げられた。
2-3. 「脱グローバル化」がもたらす構造的な価格上昇
カリー氏は、コモディティ価格全般(原油・金属・農産物)が構造的に高止まりする「新しいレジーム」に入りつつあるとの見方を、今回の危機以前から示していたと振り返った。ただし4月の停戦により一時的にその流れは中断していたという。
同氏は、この現象を「オールドエコノミーの逆襲」と表現し、これまでアセットライトなテクノロジー企業に資本が集中し、資本集約型の伝統産業(エネルギー・金属・防衛)への投資が細ってきたことのツケが回ってきていると指摘。「ウクライナ侵攻(2022年)からホルムズ海峡危機、そして、今回のロシア・イランを巡る動きまで、これらは一連の脱グローバル化の流れであり、結果としてコモディティ価格の上昇につながる」との見解を示した。
2-4. 「クラックスプレッドは相対価格、問題は不足に転じるかどうか」
パートナーズ・グループのアナスタシア・アモロソ氏は、原油価格が1バレル100ドルを超えると投資家の懸念が強まると指摘した一方、現時点で市場が地政学リスクを比較的冷静に受け止めている理由として、複数の「回避策」の存在を挙げた。
具体的には、①戦略備蓄だけでなく民間の備蓄も依然として潤沢に残っていること、②サウジアラビア経由の東西パイプラインへの他国の接続構想、③UAEにおける第3パイプライン建設の検討、の3点である。同氏は、「これは短期的な現象ではなく、長期的なトレンドとして捉える必要がある」とし、こうした回避策が機能し続ける限り、原油高の悪影響はある程度相殺できるとの見方を示した。
カリー氏自身も「成長への影響という観点で問うべきは、コモディティの相対価格そのものではなく、不足(ショーテージ)が生じるかどうかだ」と強調し、2022年のロシア・ウクライナ危機時に欧州が「生き残ったが、エネルギー集約型の産業生産の25%を失った」ことを例に挙げ、「戦略的な製品備蓄が存在しない今、同様の事態が長期化すれば成長への打撃は避けられない」と述べた。
3. AI設備投資とコモディティ市場の再評価
3-1. ハイパースケーラー投資、3000億ドルから3兆ドルへ
ジェフリー・カリー氏は、さらに、地政学要因を離れたエネルギーセクター単独の視点として、AIブームによるエネルギー需要の急増を挙げた。「上流の石油・ガス、下流の精製、金属・鉱業まで、あらゆるセクターが著しく過小投資の状態にある」とし、金属・鉱業の設備投資は、ピークから35%減少していると指摘。「データセンターには、大量の金属が必要で、送電網やトランス、タービン用の特殊金属も必要になる。石油・ガスもそれらを稼働させるために必要だ」と述べた。
同氏は、「資本をこのセクターに呼び戻すには、コモディティ価格がアセットライト企業に対抗できるだけの投資リターンを生む水準まで上昇する必要がある」とし、エネルギーセクターがS&P500に占める比率が2014年前後の18%から現在は約3%まで縮小していることを指摘。「たとえこの比率が倍になったとしても、幅広いポートフォリオを運用するマネージャーにとっては依然として無視できる水準だ」と述べ、コモディティ市場の再評価(リレーティング)が進まない限り、電化・データセンター拡大に必要な生産投資判断(FID)が進みにくいとの見通しを示した。
3-2. ゴールドマン幹部「AI優位のテーマは継続する」
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのキャサリン・ボードルメイ氏は、この日発表されたASMLの好決算(および同日夜に発表予定のTSMC決算)を踏まえ、「AI優位のテーマは今後も続く」との見方を示した。同時に「AIが進化するにつれて、その恩恵を受ける勝者も変化していくことを忘れてはならない」とし、現在市場が注目しているボトルネックは主にGPUだが、モデルが学習(トレーニング)段階から推論(インファレンス)段階に移行するにつれて、CPUやネットワーク機器、光通信関連など、「まだイノベーションが起きていない領域」にもボトルネックが広がっていく可能性があると指摘した。
具体的な数字として、同氏は、「ChatGPT登場以前、ハイパースケーラーの年間設備投資は約3000億ドル規模だったが、今年はそれをはるかに上回るペースで推移しており、将来的には3兆ドル規模に向かう可能性がある」との見通しを語った。
3-3. ラッセル2000の「隠れたアウトパフォーマー」
ボードルメイ氏は、大型テック株だけでなく中小型株にも収益の裾野の広がり(ブロードニング)が見られると指摘。「ラッセル2000は、2003年以来最高の対大型株パフォーマンスを記録する軌道にある」とし、これは単なるAIテーマではなく、大型株と小型株の収益成長率の差(ギャップ)が2025年から縮小し始めていることが背景にあると説明した。「AI関連の周辺銘柄(ピックス・アンド・ショベルズ)に加え、より独立したテーマも存在する」との見方を示している。
新興国市場についても、同氏は、「台湾と韓国を除いても、今年は20%成長が見込まれ、これは米国を上回る水準」と指摘。韓国市場についても「AIだけでなく、造船業やヘルスケア分野で存在感を持ち、K-POPやK-ビューティーといった文化的な輸出産業も含まれる」と、単純に半導体2〜3銘柄に依存する市場ではないとの見方を語った。
4. 決算シーズン:金融・航空・運輸セクターの明暗
4-1. 金融セクター:モルガン・スタンレー好調
モルガン・スタンレーは、好決算を受け株価が上場来高値圏で推移した。バークレイズのアナリスト、ジェイソン・ゴールドバーグ氏によれば、資産運用部門は同四半期に1480億ドルの純新規資産流入を記録。同氏は、「この事業はここ数年にわたって良好な成長軌道を描いてきた。取引・買収を通じたファネル拡大により、事業全体で成長が見られる」とした上で、「今四半期は市場環境やIPO活動の活発化により幾分押し上げられた面はあるが、市場が堅調である限り、このモメンタムは今後も継続すると見ている」と述べた。
融資成長についても、商工業ローン(C&I)が、特に強く、複数四半期にわたって逆風が続いていた商業用不動産(CRE)についても、ようやく圧力が和らぎ始めているという。ゴールドバーグ氏は「金利や物価が高止まりする中でも、純貸倒れは今四半期横ばいから低下しており、不良資産も減少している。地銀の決算発表が続く中、総じて良好な四半期になりそうだ」と分析した。
大手行全体の収益ドライバーについて問われた同氏は「大手行にとっては、投資銀行手数料とトレーディング収益の両面で非常に好調な資本市場四半期だった。IPOやM&Aの背景も引き続き堅調だ。ただし、これはおそらく過去数年で最も融資が伸びた四半期にもなるだろう」と述べ、資本市場収益とローン成長の両輪で好業績を牽引していると総括した。
4-2. 航空セクター:United Airlinesは増額もガイダンス警戒
United Airlinesは、第2四半期の調整後EPSが1.99ドルとなり、市場予想の1.85ドルを上回った。売上高は約177億ドルで予想をわずかに上回り、通期ガイダンスの下限を従来の7ドルから9ドルに引き上げ、上限は11ドルを維持した。プレミアム収益は前年同期比16%増、ベーシックエコノミー収益は11%増、ロイヤルティ収益も11%増、貨物収益は23%増と各セグメントとも堅調だった。
もっとも、燃料費については、2026年通期で約60億ドルの追加コストを見込んでおり、第2四半期の燃料費は前年比84%増の23億ドルに上った。同社は増加分の約半分をすでに価格転嫁で吸収済みとしており、第3四半期には80〜90%、第4四半期には100%の回収を見込んでいる。株価は時間外取引で一時4%超下落し、番組内では「通期ガイダンスの下限を引き上げつつ上限を据え置いたこと自体が、実際の発言以上に多くを物語っているかもしれない」との指摘もあった。
アビエーション・リサーチ会社SDT Capital Advisorsのスティーブン・トレント氏は、燃料価格とユニットレベニューの相互作用が今後の焦点になると分析。さらに、具体的な数字として、「United Airlinesの直近12カ月のキャッシュフローは2021年比361%増、Deltaは倍増以上、American Airlinesは591%増となっている一方、Southwestはわずか3%増、Frontierは減少、JetBlueはさらに悪化している」と、ネットワークキャリア(大手3社)とディスカウントキャリアの明暗がくっきり分かれていることを指摘した。同氏は、その要因として、プレミアムキャビン・共同ブランドカード・ロイヤルティプログラムといった「ディスカウント航空会社にはないツール」を大手3社が保有している点を挙げ、「K字型経済の中で、比較的裕福な消費者による需要が依然として下支えしている」との見方を示した。
4-3. 運輸セクター:J.B.ハントが大幅増収増益
トラック輸送大手J.B.ハントは、2Q EPSが1.91ドルと予想の1.74ドルを上回り、売上高も35億ドルと予想の32.5億ドルを上回った。インターモーダル収益は17.5億ドル(予想16億ドル)、専属輸送(デディケーテッド)収益は9億2100万ドル(予想8億9730万ドル)と、いずれも予想を上回った。株価は決算発表後の時間外取引で一時8.5%近く上昇した。
同社CEOシェリー・シンプソン氏は「ダイナミックな環境下でのコスト規律」を強調し、「市場環境は引き続き変化を続けている。当社は株主のための長期的価値創出、顧客への価値あるソリューションの提供、そして資本収益性の規律維持に注力し続ける」とコメントした。番組ではこの発言について「規律、規律、ダイナミックな環境、進化する市場環境」といったキーワードが並ぶ、慎重ながらも前向きなトーンだと評された。
背景には、コロナ後の「トラック輸送不況」で多くの事業者が淘汰され、生き残った企業が恩恵を受けているという構造があるとの分析も示された。株価は年初来46%高となっている。
5. 不動産・オルタナティブ資産の動き
5-1. 不動産:実物資産への回帰
DWSアメリカ不動産責任者トッド・ヘンダーソン氏は、株式に対する相対的な割安感、空室率・需要の改善、回復の持続性という3つの観点から「魅力的なエントリーポイント」にあるとの見方を示した。「不動産価格はピークから25%下落している一方、株式は60%上昇しており、この乖離が投資家にとって興味深いポイントだ」と述べた。
同氏は、さらに、産業用・住宅用・小売・オフィスの主要4セクターすべてで空室率が改善している点を強調しつつ、「回復には各セクターでばらつきがあるが、産業用と住宅用は今後も小売をアウトパフォームすると見ている」との見通しを示した。AIの恩恵についても言及し、「データセンター建設に伴い、多くの資材を産業用施設に保管する需要が生まれている」としつつ、「AIは今後、『モノのビジネス』への影響は比較的軽微だが、『人のビジネス』、特にオフィスセクターへのリスクはより大きい」との見方を示した。
一方で、データセンターについては、「当社のポートフォリオにはデータセンターを組み入れておらず、今後も拡大する予定はない」と明言。理由として「規制リスクとオブソレセンス(陳腐化)リスクの両方を適切にアンダーライト(査定)することが非常に難しいため」とし、ニューヨーク州が全米で初めてデータセンター開発のモラトリアム(一時停止)を導入したほか、全米69の地方自治体で同様の凍結措置が存在すると指摘した。「データセンターは今後、より小型化し、チップの高速化によって必要スペースが縮小し、さらには宇宙空間への設置というリスク(あるいは可能性)もある」との見方も示している。
住宅セクターについては、「規制の多くは既存の古い物件を対象としており、新築物件は所有と賃貸のコスト差が過去最大に広がっている中で、投資家にとって収益機会を提供する」と説明。サンベルト地域の供給過剰懸念に対しても、「新規着工件数はサイクルのピークから3分の2減少しており、過去15年で最低水準にある。需要が供給を上回り続ける環境は、賃料上昇という持続可能な投資条件を生み出している」との見方を示した。
5-2. オークション市場:世代交代とアート市場の活況
クリスティーズCEOのボニー・ブレナン氏は、同社の上半期売上高が35億ドル(前年比71%増、過去5年で最高)に達したと明らかにした。「地域・カテゴリーを問わず、あらゆるレベルで強さが見られたのが今回の最大の好材料」とし、ファインアートだけでなくポップカルチャー領域の強さも指摘。具体例として、「ジム・イルサイ氏のコレクションで1億500万ドル、ギター1本で1100万ドル超の落札があった」ことを挙げ、「新規顧客の47%が若年層で、多様なカテゴリーに関心を示している」と述べた。
同氏は、また、ポール・アレン氏のコレクション(2022年に16億ドルで落札、今回のニューハウス・パートは6億3000万ドルで、合計10億ドル超に達した)や、祖母から相続した絵画がダ・ヴィンチの真筆と判明し2700万ドルで落札された事例(ロンドンの同僚がその特徴に気づいたエピソード)なども紹介。「これは私の同僚たちの専門性と学識の素晴らしい証だ」と評した。
地域別では、上半期の売上の54%が米国由来で、通常の50%前後をやや上回った。ブレナン氏は「取り扱った作品の内容が米国の顧客層に響いた結果」としつつ、「ロンドンやパリでも大きな強さが見られ、欧州大陸や英国全体に成長余地が大きい」との見方を示した。同社は7月22日からワールドカップをテーマにしたオンラインセールも開始予定で、「フィランソロピーとポップカルチャーの融合の好例」と位置づけている。
なお、メモラビリア(記念品)分野の売上は前年比300%程度伸びているといい、ブレナン氏は「これは多くの章のうちの一つ」とし、オールドマスター絵画などの伝統的なカテゴリーと並行して、新しい顧客層を取り込む戦略を継続する方針を示した。「当社は260年の歴史を持つ、信頼に基づくリレーションシップビジネスだ。顧客は『クローゼットの中のダ・ヴィンチ』を見つけ出す手助けを、クリスティーズに期待している」と語った。
5-3. 消費トレンド:フローズンヨーグルトの復活
番組後半では、ニューヨークで行列のできるフローズンヨーグルト店「Mimi's」創業者兼CEOのアンバー・リンツ氏も登場した。業界全体で26%の成長が見られるという数字を踏まえ、同氏は「体験としての消費」の重要性を強調。「若い人たちに、なぜ並んでいるのか尋ねたら『わからない、TikTokで見たから』と言われた。それで気づいたのは、彼らが求めているのは活動や体験そのものであり、フローズンヨーグルトという商品自体は二の次だということ」と振り返った。
同氏は、スターバックス創業者ハワード・シュルツ氏をアドバイザーに迎えており、同氏からの最大の助言は「Go slow to go fast(急がば回れ)」だったと明かした。「顧客を全ての中心に据えること。それに尽きる」との言葉を紹介し、店舗拡大に際してもブランドの独自性を損なわないよう慎重に進める方針を示した。
6. 市場の引け
結果として、この日のS&P500は29ポイント高(+0.4%)、NASDAQ総合指数も+0.6%で引けた一方、半導体株の重荷でNASDAQ100は下落して終了。ラッセル2000は横ばいだった。セクター別ではテクノロジーが+0.3%、金融が好決算を受けて+0.7%と大きく上昇した一方、エネルギーは-0.5%、素材も-0.2%となった。
個別銘柄では、Dellを含むAI関連株が一時1年ぶりの急落を記録する場面があった一方、BlackRockは、好決算を受けて7%上昇(過去1年で最良の値動きの一つ)、Royal Caribbeanをはじめとする旅行関連株も原油価格の一時的な下落を受けて上昇した。SpaceXは前月のIPO価格を一時下回る場面があったものの、終値では踏みとどまった。
長期金利の低下が不動産・金融セクターの追い風となる一方、チップ関連の調整局面は継続している。

