[序章④:前夜の気配]もしも、リビングの明かりを消す前夜に戻れたら
〜この家には、気配がある〜
最近、少しだけ不思議なことがあります。
特に何かが起きているわけではないのに、
家の中がほんの少しだけ落ち着かない日があります。
音が大きいわけでもなく、
誰かが何かをしたわけでもないのに、
どこかだけ、いつもと違う感じがします。
いつもなら、座るだけで全部が止まるはずのソファ。
なのに今日は、少しだけ落ち着くまでに時間がかかります。
冷蔵庫を開けても、
必要なものはちゃんとあるのに、
なぜか一度、手を止めてじっと見つめてしまいます。
電子レンジもいつも通り動いているはずなのに、
温まるまでの“間”が、妙に長く感じる瞬間があります。
別に壊れているわけではありません。
むしろ、全部いつも通りです。
それなのに、
何かだけが少しだけずれているような気がします。
私が疲れているだけなのかもしれません。
そう思えば、それで説明はつきます。
でも、説明がつくのに、
なぜか少しだけ、胸の奥がざわざわします。
この家の中で、
誰も何も言っていないはずなのに。
気のせいかもしれません。
それでも、今日は部屋の隅にその気配が残っています。
だから私は今日もまた、
何でもないふりをして過ごしています。
この家を包む、いつもと違う空気。
ものたちが隠している“もうひとつの顔”に、
私は少しずつ、気づき始めているのかもしれません。
この家の中で、静かに、でも愛おしくおしゃべりをしているモノたちの物語を、ひとつのマガジンに全部まとめてあります。
家事の合間に、あるいは夜眠る前のひとときに。
いつでもこの扉を叩いて、彼らに会いにきてくださいね。
[序章③: 電子レンジの気配]
[序章②: 冷蔵庫の気配]
[序章①: ソファの気配]
