目次を作るだけで、AIが的確に選ぶ? Googleが提唱する「OKF」をObsidianで試してみた
先月、2026年6月にGoogleがOKFという規格を公開した。
Open Knowledge Formatの略で、AIエージェントに読ませるための知識の書き方を、共通の形式として決めましょう、というもの。
その時は、また新しいのが出たな、程度。
その程度だったんだが、@ITのOKFの記事を見かけて、ちょっとObsidianに入れてみるとどんな感じだろう、と。
要は、目次を作ってリンクを貼るだけ
Googleが提唱するオープンフォーマット、なんて聞くと、身構えてしまうかもだけど、OKFがやっていることは、拍子抜けするくらい単純。
要は、目次を作ってリンクを貼って分かりやすくする、ってこと。
新しいファイル形式が増える訳でも、専用アプリが必要な訳でもない。
普通のMarkdownと、フォルダと、リンク。
既にあるものを、どう書いて、どう組み合わせるか。
その、工夫の仕方の違い、だけ。
Obsidianを使っている人であれば、普段やっていることと、ほとんど変わらない。
「OKFの導入方法」をOKFで書く
で、試すにあたって、vault内にひとつ、新たなフォルダを作った。
中身は「ObsidianにOKFをどう導入するか」という検討メモ。
OKFについてのメモを、OKFの形式で書いたってこと。
okf/
├── index.md
├── 01_OKFとは何か.md
├── 02_ObsidianでOKFを使うメリット.md
├── 03_導入方針.md
├── 04_まず最初にやること.md
│ (中略)
└── 10_BasesとOKF_自分に合う情報構造.md全部で11ファイル。
フォルダの入口になるのが `index.md`。
この `index.md`を例にすると、中身は上下2つの部分に分かれている。
まず、一番上。
---
type: index
title: Obsidian × OKF 導入ガイド
description: ObsidianをAIエージェント経由で使う環境に、OKF的な構造を段階的に導入するための案内
---`---` で挟んだこの部分は、フロントマターと呼ばれるもので、Obsidianで言えばプロパティにあたる。
本文とは別の、そのファイルについての情報を書いておく場所、って認識で良い。
書いているのは、たった3つ。
`type` :ファイルの種類
`title` :タイトル
`description` :何が書いてあるかの一行説明
OKFで必須なのは、このうち `type` の一行だけ。
あと、推奨として、`resource`(元になったURL)、`tags`、`timestamp`(更新日時)が挙げられている。
必要なものだけ選べば良い、ということ。
仕様書はGitHubで公開されているので、詳しいことは、以下から確認出来る。
要するに、`type` と `description` 、2つの記述があることで、種類と中身が分かるという仕組み。
人間が見ても分かるし、AIが読んでも分かる。
たったこれだけのことではあるが、効果がある。
そして、この `---` から下が本文。
`index.md` の場合は、フォルダ内にどのファイルがあるかの一覧になる。
## 読む順番
1. [[01_OKFとは何か]]
- OKFの基本的な考え方
- Obsidian、RAG、MCP、AGENTS.mdとの違い
2. [[02_ObsidianでOKFを使うメリット]]
- AI経由でメモを探す場合に何が改善するか
- トークン削減との関係
(中略)
10. [[10_BasesとOKF_自分に合う情報構造]]
- Basesによる横断的な一覧・管理と、OKFによる階層的な情報設計の使い分けリンクの下に、一行ずつ説明が付いているだけ。
たったこれだけ。
他のファイルも同じで、一番上にフロントマター、その下に本文、という形式は一緒。
違うのは `type` の中身と、本文が目次ではなく普通の文章になる程度。
注意点として、リンクにObsidianのリンク形式である `[[ ]]` を使っているのは、公式のやり方とは違う。
本来は、一般的なMarkdownのリンク記述。
目次ファイルの書き方も、厳密には記述方法が違っているが、同じMarkdownなのでオッケー。
Obsidian用の、vault内で普段使っている書き方を優先して、OKFの考え方を流用したということ。
規格に合わせて自分の環境を変えるのは、本末転倒なので。
vault全体をOKFにした訳ではなく、この一つのフォルダのみ。
Obsidianの良さは、何も考えずにすぐ書けるところなので、日々の走り書きにまで `type` だの `description` だのを要求し始めたら、それが台無しになってしまう。
よく参照する分野だけ、`index.md` と最小限のメタデータを足すという使い方を前提に、まずひとつ作ってみた感じ。
web制作ではお馴染みな構造
お試しとして、実際にひとつ作ってみて気付いた。
webサイトのディレクトリ構造そのものではないか、と。
本業でweb制作をやっているので、目的ごとにフォルダを作り、その階層にトップページを置き、個別ページをぶら下げて、内部リンクで繋ぐ、というのは日常的にやっている。
どのディレクトリへ置くか、その階層のトップページには何を書くか、子ページをどう分類するか、URLだけで中身を推測できるか、閲覧者が迷わず目的の情報へ辿り着けるか。
サイトを作る時に考えているのは、大体こんな感じ。
OKFで言っていることを、web側の言葉に置き換えてみると、こうなる。

フォルダがディレクトリで、`index.md` がその階層のトップページ。
個別のMarkdownファイルが各ページで、リンクで繋がっているのはサイト内リンク。
名前が違うだけで、やっていることは同じ。
特に分かりやすいのが、フロントマターの扱い。
`description` に「このファイルには何が書いてあるか」を一行でまとめておく、という作業は、meta descriptionを書くのと丸ごと同じ。
検索エンジンに向けて書くか、AIエージェントに向けて書くかの違いでしかない。
`type` の方も、構造化データで「これは商品ページ」「これは記事」と型を宣言するのと、やっていることは変わらない。
つまりOKFは、新しい知識管理の方式を覚えるというより、いつもやっているサイトの情報設計を、そのままvaultの中に持ち込む感覚。
Claude Codeが「必要になったら読みます」って
フォルダが出来たので、Claude Codeに投げてみた。
「このフォルダに目を通して確認して欲しい」とだけ。
返ってきたのが、コレ ↓
一通り目を通しました。残り(04、06、08、09)は補足的な内容なので、必要になったら読みます。
11ファイルあるうち、4つは読まずに保留している。
しかも、読んでいない4つを「補足的な内容」と判断した上で。
本文を開いていないのに、なぜ補足だと分かったのか。
さっきの `index.md` に書いた一行説明と、各ファイルの `description` を見ただけ。
OKFで言うところの「段階的開示」というやつで、上から順に全部読むのではなく、目次で当たりを付けて、必要な分だけ開く、という辿り方。
「まずindexを読んで」と指示した訳でもない。
これまでなら、何か聞くとvault全体を検索して、関係の薄いファイルまでガサッと開いて、その中から答えを組み立てていた。

読まなくて良いものを、読ませずに済む。
正直、こんなイイ感じに動くとは思ってもみなかったので、コレはイケるんじゃね?と。
AI向けのはずが、人間にも読みやすい
もう一つ、作ってみて気付いたことがある。
AIが探しやすいからと試してみたのに、自分で見返すにも分かりやすい。
考えてみれば当たり前で、やったことといえば、主題ごとにファイルを分け、フォルダの役割を決め、入口に目次を置き、各ファイルに概要を書いて、関連するものをリンクで繋ぎ、深すぎない階層にした、というだけ。
全部、webサイトで人間が迷わないようにするためにやってきたこと。
AI向けの最適化のつもりが、蓋を開けてみれば、昔からある情報設計をなぞっていただけ、と。
効かせるなら、スキルにする
ただ、構造を作っただけでは足りない部分もある。
`index.md` から読む、という順番をAI側に伝えておかないと、これまで通りに、vault全体の検索からってなる可能性も高い。
かといって、CLAUDE.mdやAGENTS.mdといった、常時読まれる設定ファイルに書くのは違う気もする。
vault全体をOKF化していない以上、そのルールが効いて欲しいのは、OKF構造で作ったフォルダに対してだけ。
なので、専用のスキルとして切り出して、その分野の話をする時だけ呼び出す形にする。
中身は仕様の説明ではなく、探す順番だけ書いておけば良い。
1. 最初にindex.mdを読む
2. 候補を最大3件選ぶ
3. frontmatterのtype・descriptionを確認する
4. 必要な本文だけ読む
5. 見つからない場合だけVault全体を検索する常時読み込ませる訳ではないので、余計なトークンも食わない。
部分的にしか導入しないなら、スキルの形が丁度良い。
分野が増えたら、その分だけスキルを分ければ済む。
道筋で見る
こういうものの効果は、返答が正しいかどうかだけでは判断できない。
見るべきなのは、AIがどうやってそこに辿り着いたか。
最初に `index.md` を読んだか?、いきなり全文検索していないか?、関係のないファイルを開いていないか?、追記する時に正しいファイルを選べたか?
冒頭の「残り4つは必要になったら読みます」は、まさにこの観点でみると、合格の反応。
Basesとの違い
Obsidianの機能で言うと、Basesが近いのでは、と思われるかも知れない。
ノートを行、プロパティを列として、表形式で扱えるやつ。
読書リストや買い物リストはBasesで作って使っている。
以前、obsidian-skillsについて書いた時にも触れた。
自分の場合、Basesを使うのは、リストとして扱いたい時。
一覧して、並べ替えて、条件で絞り込む。
読んだ本や欲しいものを管理するには、ピッタリ。
対して、OKFで考えているのは、蓄積した情報を、後から的確に取り出せるようにすること。
しかも、自分が取り出す場合と、AIに探させる場合の両方で。
そういう意味では用途が違うので、併用して何の問題もない。
ただ、Basesもプロパティで構造化されている訳で、そこから情報を引っ張り出すのは、当然ながら理にかなっている。
エクセルやスプレッドシート、Notionのデータベースを日常的に触っている人なら、表として持っておいた方が探しやすい、となるはず。
一覧から目当てのものを見つける方が早い、という感覚は、確かにある。
自分がディレクトリ構造の方に反応したのは、前述の通り、web制作で普段からその形に触れているから。
情報をどういう形で捉えるのが自然か、という違いでしかない。
構造で分かりやすくなるのが面白い
そもそもOKFは、まだバージョン0.1。
公開されてひと月ちょっとで、今後どうなるかも分からない規格なので、vault全体を預ける段階ではない。
それでも、一つのフォルダで試した限りでは、確かな手応えがあった。
今回のやり取りで良さそうだったので、もう少し試してみよう。
目次を作ってリンクを貼る。
たったそれだけで、AIにも人にも読みやすくなる。
規格として定着するかどうかはさておき、この形自体は、web制作をやってきた人間にはすんなり入ってくるはず。
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