【写真】現代童話『戦場ネコたちのクリスマス(第一部)』の世界を写真で歩く〜No.1〜猿島編①〜
これは、現代童話『戦場ネコたちのクリスマス』の世界を、写真で歩いてみる試みです。
物語の主人公ニャーリスと、相棒のニャリオ。
戦う意味を見出せないまま、ふたりは戦場へ向かっていきます。
けれど、本当に見つめたいのは、戦いそのものではありません。
役目を与えられた場所。
役目を終えた場所。
そこに残る沈黙と、時間の気配です。

猿島の煉瓦、苔むした壁、暗いトンネル。
そこには、壊れたものではなく、静かに眠っているものがありました。
もしニャーリスとニャリオがこの島を歩いたなら、何を聞いただろう。
そんな問いを抱えながら、写真を重ねて行きます。
海の明るさを背に




海は明るかった。
空は広く、風はよく通っていた。
けれど島の奥へ進むにつれて、その明るさは少しずつ背後へ遠ざかっていった。
白く朽ちた壁。
木漏れ日の落ちる石垣。
煉瓦に沿って続く道。
ニャーリスは、海ではなく、島の奥を見ていた。
ニャリオは何も言わず、その少し後ろを歩いた。
明るさの向こうに、静かに沈んでいる場所がある。
ふたりには、そんな気がしていた。
緑に沈む道



木道の下に、苔むした階段が沈んでいた。
かつて誰かが下りた場所。
かつて誰かが通った場所。
今は緑に覆われ、静かに閉じられている。
ニャーリスは立ち止まり、壁に落ちる木漏れ日を見た。
役目を終えたものは、壊れるのではなく、
少しずつ島に還っていくのかもしれない。
暗がりの入口



煉瓦の入口の奥に、暗がりがあった。
進めば抜けられる。
それは分かっていた。
けれど、その手前で足が少しだけ重くなる。
暗い場所は、ただ暗いだけではない。
ニャーリスは、遠い足音を聞いた気がした。
ニャリオは隣で、同じ暗がりを見つめていた。
閉じられた場所の光



トンネルの中は、外とは違う色をしていた。
煉瓦の壁に残る湿った光。
格子の向こうから差す白い光。
荒れた壁の奥に置かれた、小さな灯り。
それは希望というには、あまりに小さい。
けれど、消えていない。
ニャーリスはその光を、しばらく見つめていた。
言葉にすれば失われてしまうものが、そこにあるような気がした。
壁に残る時間



石壁は、何も語らなかった。
塞がれた窓も、苔に覆われた壁も、そこに生えた小さな葉も、ただ静かに光を受けていた。
けれど沈黙は、空白ではなかった。
そこには、過ぎた時間の重さがあった。
ニャリオが小さく息をついた。
ニャーリスは振り返らず、ただその壁の前に立っていた。
上からの光


暗い場所の底から、上を見上げた。
遠くに緑があり、光があった。
閉じられた場所にも、外へ向かう細い出口が残されていた。
ニャーリスは、ようやく少しだけ顔を上げた。
ニャリオも同じ方を見ていた。
戦う意味は、まだ分からない。
けれど、歩き続ける理由なら、少しだけ見えた気がした。
現代童話『戦場ネコたちのクリスマス』をNoteとTALESで公開しております。
写真とあわせて読んでいただけると、ニャーリスの世界が少し違って見えるかもしれません。
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今回の撮影機材
撮影:SONY α7 IV / Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS
現像:ART
この写真物語を、
いつか小さなフォトブックや写真展の形にできたらと思っています。
その日へ向けて、少しずつ撮り、書き、残していきます。
では
また!
