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暑いのに、細いジーンズが履きたくなる日がある。リゾルト710を1年以上履いて

八月の午後、外に出た瞬間に汗が噴き出すような日でも、細いジーンズが履きたくなることがある。

理屈では間違っている。太いほうが涼しいし、動きやすいし、楽だ。それでもクローゼットの前で、リゾルト710に手が伸びる日がある。

普段は、太いパンツのほうが楽だ

日常的に履いているのはTCBのシーメンスジーンズだ。太めのシルエットで、夏も冬もこれがいちばん楽だと思っている。

脚に生地が張り付かない。しゃがんでも突っ張らない。長く歩き回る日は、この楽さがそのまま行動量になる。撮りながら歩く日はなおさらで、しゃがんだり立ったりを繰り返しても、太いパンツはこちらの動きを邪魔しない。

だから普段は太いほうを選ぶ。悩む余地もないくらい、太いほうが快適だ。

それでも、710に手が伸びる日がある

ただ、たまに細いのも履きたくなる。

暑さが少し和らいで、硬めのデニムを履きたくなる日。少しフォーマルな雰囲気で出かけたい日。そういうときは、リゾルト710がちょうどいいと思っている。

710は非常に細身のシルエットだ。太いパンツばかり履いていると、脚のラインが出るだけで自分の見え方が変わる。同じ人間が、同じシャツを着て、同じ靴を履いていても、印象がひとつ引き締まる。

楽さと引き換えに、少し背筋が伸びるような感覚がある。これは太いパンツでは出てこない。服が姿勢に効いてくる、という言い方がいちばん近いかもしれない。

硬めのデニムを履きたい、という気分もある。柔らかく馴染んだパンツは楽だが、楽なだけの日が続くと、どこかだらっとしてくる。生地に張りがあるものを履くと、その張りに体のほうが合わせにいく。硬さを不便として避けるのではなく、たまに欲しくなるという感じだ。

同じリゾルトでも、714は普段の空気に馴染む一本で、710はもう少し意識して履く一本になっている。同じブランドで、こんなに役割が分かれるとは思っていなかった。

細いからこそ、足元が効いてくる

710を履いていていちばん面白いのは、足元だ。

シルエットが細いので、スニーカーにボリュームがあるほど効いてくる。厚みのあるソールや、ぼてっとした形の靴が、細い脚のラインの先で気持ちよく目立つ。上下のバランスがそれだけで決まる。

ロールアップも効く。裾を折って足首を出すと、それだけでスタイリッシュに見える。太いパンツで同じことをしても、こうはならない。折った裾が重たく見えるだけで終わる。

細いという一点が、他の要素を引き立てている。細いジーンズは主役ではなく、足元を主役にするための土台なのだと思う。

レングスが1インチ刻みで並んでいる

地味だが、これは大きいと思っているのがレングス展開だ。

710は1インチ刻みでレングスが用意されている。だから裾上げをせずに、自分に合う長さをそのまま選べる。

裾を切ると、そのジーンズの顔が少し変わる。元の裾のまま履けるのは、育てていくうえで大きいと感じている。

細身のジーンズは、丈が数センチ違うだけで印象が変わる。長ければだらしなく見えるし、短すぎると足元だけが浮く。ちょうどいい一本を、切らずに選べる。これは想像していたよりありがたかった。

ロールアップ前提で少し長めを選ぶのか、折らずにきれいに落とすのかでも、選ぶべき長さは変わる。刻みが細かいと、その判断を自分でできる。既製のまま履ける状態を最初に作れると、あとは履き込むだけになる。ここで迷わなくて済むのは、長く付き合ううえで効いてくる部分だと思っている。

1年以上履いて、ようやく色落ちが出てきた

買ってから1年以上履いている。とはいえ毎日ではない。細いのを履きたい日だけだから、登板回数は多くない。

それでも、いい感じに色落ちしてきた。

太いパンツばかりの生活の中で、たまに履く一本が少しずつ変わっていくのは面白い。頻度が低いぶん、変化が積み上がっている感じがある。前に履いたときの記憶と比べられるくらいの間隔が空くので、変化に気づきやすいのかもしれない。

夏のあいだに履いて、色を落として、秋冬にバシッと決まる状態に持っていきたい。暑い時期に育てておくと、涼しくなってから履きたくなったときに、ちょうどいい顔になっている。

秋冬は細身のジーンズが似合う季節でもある。上に厚みのあるものを着るぶん、下が細いとバランスが取りやすい。その時期に一番いい状態にしておきたいなら、育てる作業は夏のうちにやっておくしかない。暑いから履かない、を続けると、涼しくなった頃にまだ濃いままの一本が残る。それはそれで惜しい。

同じことを、もう一本のリゾルトでもやっている。

太いのと細いのが、二本あるということ

一本で全部をまかなおうとしていた時期もあった。どんな日にも合う、万能の一本を探していた。

いまは、そういう考え方をやめている。太いのと細いの、二本あればいい。その日の予定と気分で選べるほうが、結果的に両方をよく履くようになった。

太いパンツは、動く日と長い日のためのものだ。細いジーンズは、少しきちんとしたい日と、足元で遊びたい日のためのもの。役割が違うから、どちらかが余ることがない。

これはカメラを3台に絞って、それぞれの役割を決めたときの考え方とも近い。一台で全部をやろうとすると、どこかで無理が出る。二本、三本と役割を分けておくと、それぞれの出番がはっきりして、結局よく使う。

仕事の日に履くことはほとんどない。動きやすさが優先される日に、細身を選ぶ理由がないからだ。だから710は、休みの日の服という位置づけになっている。

育てるという意味では、カメラと同じだ

このジーンズに対する感覚は、カメラを持っているときの感覚とよく似ている。

使い込むほど好きになるのはNikon Zfも同じで、角が少しずつ削れていくのを見ているときの気持ちに近い。買った直後がいちばんきれいで、そこから先はずっと汚れていく。それなのに、時間が経った状態のほうを好きになっていく。

道具は、使わないと変わらない。しまっておけばきれいなままだが、それは何も起きていないということでもある。

もっとも、この暑さでカメラを持ち出す回数が減っているのと同じで、ジーンズを履く回数も夏は落ちる。育てたいのに、暑い。この矛盾を毎年繰り返している。

合理的じゃないほうを、たまに選ぶ

涼しさで選ぶなら太いパンツだ。楽さで選んでも太いパンツだ。

それでも、細いジーンズを履きたい日がある。うまく説明できないが、たぶん自分の見え方を少しだけ変えたい日なのだと思う。夏の格好は毎日似た組み合わせになりがちで、そこに一本だけ違う空気を入れたくなる。

服を選ぶ基準は、快適さだけではないらしい。快適さで並べたら、夏は全部が同じ答えになってしまう。そこから外れる選択が残っているうちは、着ることをまだ楽しめているのだと思う。

この一本が向いている人は、たぶんはっきりしている。細身のシルエットが好きで、足元で遊びたくて、裾を切らずに履きたい人だ。そのどれかに当てはまるなら、試す価値はあると思う。

710は、その役割をずっと担っている。1年以上履いて、いまのところ手放す理由が見つからない。

暑い日に、あえて履くものはあるだろうか。

#リゾルト710 #デニム #色落ち #ジーンズ #エイジング


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