タンパク質の基礎〈知っておきたい〉 | 食事 - 5
タンパク質は身体を作る材料として不可欠な栄養素ですが、「摂れば摂るほどいい」わけではありません。
1回の摂取量・PFCバランス・食材の多様性を意識することで初めて効率よく機能する栄養素です。
1日を通してのタンパク質の目安は以下です。
PFCバランス:13〜20%
男性(2,500kcal目安):約82~125g/日
女性(2,000kcal目安):約65~100g/日
さらに、タンパク質は1度の摂取で、20~30g程しか吸収されないと言われています。そのため、1日3回以上に分けて摂取することが好ましいです。
そして、もしあなたがカラダ作りのために、以上のラインを超えてタンパク質中心の生活をした結果、強い体臭やエネルギー不足を引き起こすこともあると知っていましたか?
このnoteでは、タンパク質について体づくりにとって基本かつ重要な知識をお伝えします。
✅この記事でわかること
タンパク質の役割とアミノ酸の基本
1日・1回あたりの目安量と摂り方の考え方
摂りすぎによるリスクと注意点
日々の食事での取り入れ方
運動時のプロテイン・BCAA・EAAの使い分け
👩🏫タンパク質とは
タンパク質は細胞や組織の材料です。
筋肉・臓器・皮膚・髪の毛など、身体中のあらゆる組織を作り、免疫機能の維持・代謝の促進・神経機能の伝達など、生命活動を維持するために不可欠な栄養素です。
糖質・脂質が不足している場合は、燃やして約4kcal/gのエネルギーにもなります。

タンパク質を構成する単位はアミノ酸です。
自然界に存在するアミノ酸は数百種類にもなりますが、身体に必要なアミノ酸は約20種類です。
必須アミノ酸(9種類)
非必須アミノ酸(11種類)
20種類すべてを不足なく摂るには、プロテインサプリも有効ですが、基本的には、肉・魚・卵・乳製品・豆類といったさまざまな食品を偏りなく摂取することが重要です。タンパク質以外の栄養素も満遍なく摂る必要があるため、メインの食事が全ての土台となります。
⚠️ よくある誤解とそのリスク
タンパク質は身体づくりに欠かせない栄養素ですが、「多く摂るほど良い」という認識のまま量を増やしてしまうと、かえって体調やパフォーマンスを崩す原因になります。
ここでは実際によくある誤解と、それによって起こるリスクを整理します。
1. 「多く摂るほど良い」は成り立たない
トレーニングやボディメイクに取り組み始めると、「タンパク質をたくさん摂るほど筋肉がつく」という考え方に行き着く人が多くいます。
しかし、タンパク質は1回に吸収できる量が約20〜30g程度とされており、それ以上摂ってもすべてが筋合成に使われるわけではありません。
また、同じ体重でも必要量は運動量によって大きく変わります。
例えば体重60kgでも、筋トレで増強を目指す場合は約100〜120g/日、軽い運動習慣であれば約60g/日が目安です。一律に高タンパクを目指す必要はありません。
さらに、タンパク質中心の食事になると、炭水化物不足によるエネルギー不足や、脂質過剰になりやすく、結果としてパフォーマンス低下や体調不良につながることがあります。
タンパク質はあくまで「材料」であり、身体を動かし修復するためのエネルギー源は炭水化物や脂質です。
材料だけ増やしてもエネルギーが足りなければ、身体は思うように動きません。
2. 腸内環境悪化
必要量を超えたタンパク質は消化・吸収されずに大腸まで届き、腸内で分解される過程でアンモニアなどの有害物質が発生します。
これにより
・口臭・体臭・便臭の悪化
・お腹の張り
・腸内環境の乱れ
といった状態が起きやすくなります。
特に、食物繊維が少ない食事や偏った食生活の場合、これらの影響は強く出やすくなります。
3. エネルギー吸収力も低下
腸内環境が悪化すれば、食べ物の吸収力も低下します。
腸内に未消化のタンパク質が増えれば、それらを餌とする腸内細菌が繁殖し、有毒ガスを発生させます。
この時点で、食事をするとお腹が張ってしまうという状態になります。
さらに、その繁殖した腸内細菌が小腸まで増殖してしまうと、栄養が吸収できないという状態になる可能性が高まります。
いわゆるSIBOといわれる症状です。
この状態では、いくら食べてもエネルギー不足気味で代謝低下の原因にもなりえます。
ここまでくると腸内環境を改善するのに長期間かかってしまうので、タンパク質は上限を守りましょう。
4. 肝臓にも負担がかかる
さらに、腸内未消化のタンパク質(アミノ酸)は、肝臓で分解されてアンモニアを経て尿素に変えられます。
摂りすぎは肝臓への負担増にもつながり、疲れやすい・肌荒れが出るといったサインが出ている場合は見直しが必要です。
ただし問題になるのは極端な高タンパク・低食物繊維・水分不足が重なるケースです。
通常の食事やプロテイン1〜2回/日程度では問題ないという報告がほとんどです。
✅タンパク質の理想の取り方
冒頭にも記載した通り、数字としての1日のタンパク質量は以下となります。
PFCバランス:13〜20%
男性(2,500kcal目安):約82~125g/日(4〜6回/日)
女性(2,000kcal目安):約65~100g/日(3~5回/日)
ただし、もちろんこれだけが全てではありません。以下を意識しましょう。
1回20gを目安に摂る
PFCバランスで13~20%に収める
様々な食材からタンパク質を摂る
1. 1回20gを目安に摂る
タンパク質は1回の吸収量が約20〜30g程度と言われています。
世のプロテイン商品が15〜20g前後に設定されているのはこのためです。
食事から摂取した場合は吸収に3〜4時間かかるため、食事と食事の間には最低でも3時間空けることが望ましいです。(プロテインについては後述)
2. PFCバランスで13~20%に収める

タンパク質には国が定めた年齢別の最低限摂取量・推奨量があります。
きちんと適正カロリーを摂取した上でこの数値のタンパク質をとると、PFCバランスでのタンパク質の割合は13%程度になります。

60kg筋トレ(増強期)→100g/日程
60kg週末運動する程度→60g/日程
また、さらに2.0g/kg以上の摂取は効果があまりないとされています。
タンパク質自体は消化しにくい食材のため、2.0g/kg以上摂取すると、消化不良による腸内環境悪化や体臭の原因になります。
適正カロリーをとった上でタンパク質を2.0g/kg摂取すれば、PFCバランスにおいて20%程度になるので、それくらいに収めましょう。
3. 様々な食材からタンパク質を摂る
肉・魚・卵・乳製品・豆類から偏りなく摂ることが理想です。
同じタンパク質でも、「一緒に摂れる栄養素」や「豊富に含まれるアミノ酸」が変わってくるからです。
肉の筋肉部位ばかりを摂るとメチオニン・トリプトファン・システインというアミノ酸の摂取量が多くなります。甲状腺機能の低下・代謝の低下によって、結果、中性脂肪の増加につながるという報告もあります。
参考:Gelatin, stress, longevity
脂身だけでもダメ、赤身だけでもダメで、いろんなものから摂ることが大切です。
なお、赤身肉は「鉄」が豊富ななため、過剰摂取は生活習慣病等のリスクになりえます。
🔥【実践】日々の食事での取り入れ方
以上のように、タンパク質は大事ですが、「摂れば摂るほど良い」わけではありません。
タンパク質は、自身の体重および活動量・運動負荷によって1日に摂りたい量が変わります。
先ほど記載した画像のタンパク質量を意識して摂りましょう。

また、タンパク質は肉や魚などのメインディッシュ(主菜)からだけでなく、主食にも含まれています。
ご飯1杯(約150g):約4g
6枚切り食パン1枚(約60g):約5〜6g
オートミール40g:約5g
つまり、1食(約600〜750kcal)のうち、20~50%のタンパク質を主食から摂ることができます。
タンパク質は脂質とセットで摂取することが多いため、メインディッシュだけでなく主食からも摂れることを知っておくと、脂質量を抑えながらタンパク質を確保しやすくなります。
さらに、最初に説明した通り、約20種類のアミノ酸が必須・非必須アミノ酸が指定されています。タンパク質の摂取も様々な食材から摂るようにすれば、多様なアミノ酸が摂取できます。
🔥【実践応用】プロテイン・BCAA・EAAの使い分け
タンパク質は1回の吸収が20~30g/回とのことを踏まえると、プロテインの摂取が必要かどうかが判断ができます。
まず、女性は3回の食事できちんと食べていれば、プロテインは必須ではありません。(ボディメイクに取り組んでいる場合は、適宜取り入れてください)
しかし、一般的な男性、トレーニングをしている女性はあと1〜2回ほど摂取した方がタンパク質が充足しやすいのがわかると思います。
この章では、そんな時に役たつサプリメント、プロテイン・アミノ酸サプリについて紹介します。

✍️そもそもプロテイン・BCAA・EAAとは
プロテイン・アミノ酸サプリを混合している人も多いですが、全くの別物です!
プロテイン:筋肉の回復と成長をサポート
BCAA:エネルギー&疲労防止。摂取後10~15分程度で吸収されエネルギーとなる。
EAA:エネルギー&筋肉の材料。摂取後30分程度で吸収されエネルギーとなる。必須アミノ酸9種すべて(BCAAも含まれる)。
糖質も「単糖類・二糖類(砂糖など)」は吸収が早く摂取後10~15分程度で速やかにエネルギーとなり、「多糖類(でんぷん)」はゆっくり吸収されましたね。
1. 運動前〜運動直後はBCAA
BCAAは、必須アミノ酸のなかでも筋肉で使用される割合が非常に高いため、運動に関わりが深いアミノ酸といわれています。
とはいえ、BCAAの成分はプロテインにも含まれているため、プロテインをメインにしてBCAAは、トレーニング中の空腹防止や、筋肉の疲労予防程度に取り入れる形でも十分といえます。
BCAAは単体のアミノ酸であるため分解の必要がなく、直接小腸から血中に送られて15〜30分で血中濃度が最大になります。15分〜30分でエネルギーとなり、筋肉の分解を抑制します。
そのため、取り入れるなら運動の30分前に摂取し、長時間トレーニングの場合は運動中に1時間に1回程度補給するのが効果的です。
ただし一度に過剰に摂取すると小腸のアミノ酸濃度が急激に高まり、お腹がゴロゴロするなどの不調を引き起こす可能性があります。
2. 運動後はプロテイン(+糖質)
プロテインは筋肉の回復と成長をサポートします。
筋肉や皮膚、ホルモン、酵素などをつくるための材料として、体が必要とする「アミノ酸+その他の栄養素」を広く補えます。

そして、運動直後30分間は筋肉合成のゴールデンタイムで、その後も運動直後3時間が最も活発です。なるべく早く消化しやすいものを摂取してください。
ただ、運動直後すぎると交感神経が優位でお腹の調子が悪くなることもあるため、最低5分程度空けてから摂るとよいです。
また、筋タンパク合成反応は48時間継続します。トレーニング日もオフ日も同じだけタンパク質を摂ることが基本です。オフ日は運動量が少ないため食事量が減る場合は、気持ち少なめでもOKです。
運動直後におすすめのプロテインは「ホエイプロテイン」です。
1〜2時間で吸収されるため、健康上問題がなければ最も適しています。
※アミノ酸と比べたら消化速度は遅いです。
※筋トレOFF日では緩やかに吸収できるカゼイン、ソイでもOK
ホエイプロテイン
消化吸収速度:1時間程度
牛乳に含まれるホエイタンパク(乳清タンパク)を抽出したプロテイン。
吸収が早く、素早く筋合成の材料となる。カゼインプロテイン
消化吸収速度:6〜8時間程度
牛乳に含まれているカゼインタンパクを抽出したプロテイン。
胃酸で固まりやすく消化吸収が遅い。
吸収が遅いため、トレーニングOFF日や就寝前に向く。ソイプロテイン
消化吸収速度:5〜7時間程度
大豆に含まれるタンパク質を抽出したプロテイン。
牛乳が苦手の人、大豆由来の栄養が足りていない人向け。
ただし納豆や味噌汁を日常的に摂っている人がソイプロテインを追加すると「エストロゲン過剰(女性ホルモン過剰)」になる可能性があるため注意が必要です。
美容目的の方が陥りやすい不調の原因です。
🔽エストロゲン過剰に関する記事はこちら
3. プロテイン・BCAA・EAAは糖質と一緒に摂ると効果的
プロテイン・BCAA・EAAは、糖質40g程と一緒に摂ることで筋合成効率が上がります。
(おにぎり1個・バナナ・スポーツドリンク・エネルギー補給ゼリーなど)

糖質とタンパク質は以下のような役割分担がだからです。
プロテイン・BCAA・EAA=材料
糖質=その材料を全身に届ける・筋合成を行う
糖質摂取によってインスリン(※)が分泌され、アミノ酸の筋肉への取り込みが促進されます。さらに、糖質(グリコーゲン)の補給によってトレーニング中のエネルギー切れも防止できます。
つまりアミノ酸(材料)と糖質(運搬・補助)のセットで、筋合成も回復もスムーズに進みます。
※インスリン:血液中の糖を各細胞に取り込む(血糖値を下げる)ホルモン。
プロテイン・BCAA・EAAと一緒に糖質を少量摂ることで、インスリンがアミノ酸の吸収・筋肉への取り込みを促進します。
恐れられることがありますが、違います。
🔽インスリンについてはこちらのnoteから
4. EAAは「プロテインが合わない人」におすすめ
プロテインをしっかり摂っているのに効果を感じない、お腹が張る・重いと感じる人は、腸内環境が悪化して栄養が吸収できていない可能性があります。
その場合はEAAを試すことをおすすめします。
BCAAと同様にアミノ酸の最小単位で吸収が早く、胃腸への負担も少ないです。必須アミノ酸9種が含まれているため筋肉の材料にもなります。
ただしEAAはあくまで補助的な選択肢であり、基本は食事やプロテインから必要量のタンパク質を確保してください。
🔽腸内環境改善についてはこちら
5. 朝・夜のプロテインについて
朝忙しくてプロテインだけ飲む場合は、果物・オートミール・おにぎりなど少量の固形の炭水化物をセットで食べると胃腸が動き始めて消化にもよいです。
寝る前のプロテインは、食事からタンパク質が摂れているなら消化のよい炭水化物だけの方がおすすめです。
どうしても不足している日であれば消化・吸収のよいプロテイン・アミノ酸であればOKですが、寝る1時間前までには済ませてください。
🔽質のいい睡眠に関してはこちら。
📝まとめ
タンパク質は身体を作る材料として重要ですが、多く摂れば良いわけではありません。
目安はPFCバランス13〜20%の範囲に収め、1回20〜30gを目安に1日3回以上に分けて摂取します。運動量によって必要量は変わるため、自分の活動量に合わせて調整することが前提です。
また、タンパク質中心の食事は、エネルギー不足・脂質過剰・腸内環境悪化などの原因になります。材料であるタンパク質だけでなく、エネルギー源である炭水化物とのバランスが重要です。
そして、プロテインやアミノ酸サプリは不足分を補うための手段であり、基本は日々の食事です。
肉・魚・卵・乳製品・豆類など、複数の食材から摂ることで栄養バランスとアミノ酸バランスが整います。
サプリメントは必要に応じて、運動前後や食事量に応じて使い分けてください。
まずは明日から1日の総量・1回あたりの量・食事全体のバランス、この3点を意識してみましょう!
