「小説 組織風土改革推進委員会」第17話:第1回WGミーティング。組織課題は?
第17話:第1回WGミーティング。組織課題は?
大谷商事でのキックオフミーティングから一週間がたっていた。その間に、既に、八木沢、荻野とは、再度、我々の捉える組織課題について話し合っていた。また、他のメンバーとも共有し、意見交換していた。
【当社の課題】
中長期の視点から、既存事業を再構築したり、新事業を生み出していく主体性を持つ社員を増やしていく
その為に、会社全体に挑戦する風土を醸成する
その為に、心理的安全性の高いチームで価値を生み出す仕掛けづくりが必要
まだまだやるべきことはたくさんあり、これだけやれば良いというわけでもないが、まずは一番重要なこととして何かを話し合った。
思い出せば、組織風土メンバーの末次さんはグローバル人事で五年のキャリアがあり、「外資のマイケルさんの話はよく理解できる」と言っていた。海外と日本国内では評価など細部を変えないとなかなか難しいということなんだなと再認識した。大谷商事の大谷社長の話では、なんだか改革へ向けての活動に、かなり葛藤している感じがあったが、古賀さんは人材開発リーダーとして様々な改革に取り組んできており、色んな視点で話ができそうだなと感じていた。マイケルの野間さん、井尻さんは人事へと社内公募できており、そのあたりの思いは感じられた。彼らも営業、システム開発という業務の中で、課題感を持っており、それをなんとかしたいという考えのようである。
そして、この日、5月22日は、ワーキンググループとして、初めてのオンラインミーティングたった。ファシリテーションは順番にまわしていくこととしており、本日は八木沢の役割だった。この一週間の動きをそれぞれチェックインした後に、八木沢から
「それではマイケルさんの組織課題について説明をお願いします。課題と背景と、仮説としてどんな施策が有効と思っているかをお話しください」
マイケルジャパンの課題は、
評価制度は変えて、チーム貢献の評価としたが、チームでの成果、多様な各部門を跨いだ成果が出てきてはいるが、3割くらいの社員が個人商店的な働き方のままのようだ。職種や職務に応じて対応しているが、その方々のエンゲージメントが課題であると。
背景として、該当する組織のマネージャーが制度変更に追いついていないところがある。本当に腹落ちしているのか、確認が必要と行った段階である。
施策として、制度変更によりうまく機能しているチームと、機能していないチームがある。そのチームを数チーム集めて、振り返りの場、対話の場を設けて、何がうまくいって、何がうまくいっていないのかのワークを行うことで、うまく機能していないチームのチーム力が向上するきっかけになるのではないかと仮説をおいている
とのことであった。
確かに、課長層を集めてのワークで緩やかなピアプレッシャーを与えることは良いと思った。
「うまく機能していないチームのリーダー、課長が”自責”にとるかどうかが鍵になるのではないでしょうか」
荻野がコメントした。確かに、こういうワークは手挙げでくる方はいいのだが、”やらされ感”で参加する方はきびしいと言える。うちの研修でもそうである。
その時に、大谷商事の古賀さんから提案があった。
「もっとプレッシャーを与えたらどうでしょう?例えば、三社の課長層を集めて、チームワークが良いと思われるチームと、そうではないかなと思われるチームを呼んで、共通課題に対して議論させるとか」
古賀さんは徹底的にこの機会にやってみたいという意思が感じられた。確かに社内で単独でやっても、一回で終わる研修と同様でインパクトはないだろう。しかし、今回みたいに、三社合同プロジェクトという冠がついた中では、参加する方も心構えがいるだろう。三社で行う意義もここにあるのではないかと思えてきた。
「それは、なかなかプレッシャーですね。上手く機能しているチームやコミュニケーションが良いチームのリーダーは前向きに捉えて来るでしょうね。とても面白いと思います。とりあえずやってみることが、今回は大切ですね。やらなければ何も答えはわからないままですから」
と、俺も百パーセント賛同した。
大谷商事の組織課題についても発表があった。大谷商事の組織課題はこうだ。
一般職と課長、課長と部長、部長と本部長、事業部長、役員の階層間のコミュニケーションが課題であり、そこには経営層や上層部への忖度がいつも働いていると。
階層を越えての自由闊達な意見交換や、提言などが、一蹴されていないか
背景として、役員層に、短期的な数字を第一とする風土、社長を慮る風土がずっとあり、そこからの風土が全ての原因だと捉えていると
役員層のマインドセット研修がよいかと思っていたが、折角ならば、三社の役員層での合宿的ミーティングも良いかなと思ったと。先ほどコメントしたことからの発想なので、大谷商事の他のメンバーにも話していないので賛同されるかわからない
というものであった。
ファシリテーション役の八木沢が
「役員層の課題って他の皆様はどうですか?」
「大谷商事さんには、先ほどおっしゃった傾向は強いように私も感じますね。弊社は、そこまではないのかもしれませんが、挑戦を後押しするような動きを役員層が本当にとれているかどうかは、課題の一つかもしれません。チャレンジという言葉と、失敗しないようにという相反する概念が、暗黙のものとして、何かギャップとして存在しているのではないかと思っています。風土全体はよくなったという印象はありますが、まだ、その点については、まだまだと、社員が感じているようですね」
と、俺もうちの会社のことを、そのまま話した。
「マイケル商事さんはどうなのでしょうか、井尻さん」
と、八木沢が促した。
井尻さんが、
「そうですね。グローバルと比較すると、そこは日本ですね。忖度もありますよ。社員が何か問題と捉えているかと言えば、そこは他社と比べると、あまりないような気がします。しかし、それぞれの会社の課題を掘り下げて、他社の役員の方々からアドバイスや、指摘、フィードバックをもらう仕組みは、なんだか、どんなことが起こるのだろうとワクワクしてきました」
と賛同コメントであった。井尻さんが話した「ワクワク」という言葉が頭に残っていた。確かにどんなことが起きるのか楽しみである。今までやったことがないことなので、期待しかなかった。
そして、三社の共通点というよりも、まずは三社の同じ階層の方を集めて、自分たちの組織課題を洗ってもらい、「みんなでどうしたら良くなるかを考える場」としようということとなった。結果、第二フェーズでそれをやってみたらどうだろうということで第一回目のミーティングは終わった。
また、”課長層”からスタートし、次は”役員層”でやってみようというのが、組織風土ワーキンググループからの提言とした。その日のうちに、本日のファシリテーター役の八木沢が、各社の課題を箇条書きにし、ワーキンググループでまとめた施策案を、プロジェクトメンバー全員で利活用しているマイクロソフトのTeams のチャネルにアップした。八木沢がアップすると、リターンのいいね!ハートマークがすぐに付いてきた。あっという間に全員が返信してきた。みんな、100パーセントではないとしても、大枠は賛同しているように感じられた。
他のワーキンググループもTeams にアップされた。人事ワーキンググループは、施策までは至っていなかったが、評価制度などではなく、運用課題について議論をしていた。「制度を作って終わりではなく、如何に制度を運用していくか」についてが、人事メンバーから見た共通課題ということであった。サーベイグループは、サーベイから見えてきた課題が各社あるが、「三社共通のものを取り上げて何かできないか」という話となったようだ。
全てのグループのものがある意味、我々の組織風土ワーキンググループの施策に集約されて、課題の視点として、現場での制度の運用課題面、サーベイから浮かび上がる課題面があれば全体施策としてもいけるのではないかと思った。少し組織風土WGでまとめたところで、まずは社内のプロジェクト関係者を上手くまきこんでいこうと思った。先ほどマイケルジャパンの井尻さんが言った「ワクワク」という言葉が俺の頭を擡げてきた。
