質問199:上手くなっている。でも、強くなれない
いつもお世話になってます<(_ )>
試合に初戦負けが多く、
負けると知人から、
好き勝手なアドバイスされるなど 、以前は気になりませんでしたが、
最近はそういうことも含め、結果を出したい気持ちになってしまいます。
弱気なプレイだから、言いたくなるんでしょうね…。
上手くなってます、でも、強くなれません。
テニスに対してネガティブになっています。スランプ?なんでしょうか?
試合も、上手くなりたいです。(++)
回答
▶上手さと強さは、別の力
英語ができる人に、「何かしゃべってよ」と言っても、その人が話せないことってありますよね。
そりゃ、「突然言われて何を話せばいいの?」というのももっともですが(笑)、英語ができることと、英語でスピーチやディベートができることとは、また別の話だということが、ここでお伝えしたい内容です。
私たちは、日本語ができます。
ネイティブですから、当たり前ですがプロ級(関連記事「『が』と『は』の違い」)。
だけど、「スピーチしろ!」「ディベートしろ!」と言われてできるかというと、また話は別ですよね(関連記事「『上手さ』と『強さ』は似て非なるもの」)。
▶日本語ができても、ディベートで勝てるとは限らない
テニスもこれと同じなのです。
今回のお便りから伝わってくる点として、テニスの技術はしっかりとおありです。
とはいえだからといって、試合で通用するかというと、緊張したり力んだりして上手くいかないケースが多いように拝察いたします。
「結果を出したい気持ちになってしまいます」とは、まさに鋭い洞察です。
日本語ができることは、日本語でスピーチしたりディベートしたりするうえで確かにとても有利ではありますけれども、それだけではまかなえない要素の存在を踏まえておく必要があるということです。
▶片言でも、伝わる人は強い
言い換えれば、日本語は片言でも、スピーチやディベートの能力が高い来日外国人なら、私たち日本人をブロークンの日本語であっても、説き伏せる力が十分あったりします。
つまり、日本語ができることとディベートができることが必ずしも一致しないのと同じように、テニスにおいても練習ができることと試合ができることとは、必ずしも一致しません。
逆に、英語が片言でも意思疎通を図れる強さが、「出川イングリッシュ」です(関連記事「自己否定の美徳を笑え!―出川イングリッシュ最教説」)。
出川さんの英語は、お世辞にも「上手い」とは言えません。
しかし、「かなり強い」のです。
▶最初が流れを決める
試合で通用するかどうかは、技術そのものよりも、「最初の場面で、どこに注意を置けるか」で大勢が決まることも少なくありません。
具体論に入ると、試合では特に、1球目ではきれいに打つ意識を外し、見る対象をひとつだけに「落としておく」のがいいと思います。
打ち方等のテクニカルな部分とは、直接的な関係はありません。
だけど、いちばんミスしやすいのはリズムがまだない1球目です。
ここでミスしたら、「本当は何の練習にもならない」ということに、お気づきでしょうか?
なぜなら、試合の本番では1球目をミスしたら、本来なら2球目はないからです。
練習ではそのまま続けることもあるかもしれませんが、この状況は、試合ではありえないわけで、その後、ナイスショットが何発連続されようとも、「無効」と言えるのです。
伊達公子さんの言うとおり「試合に『もう一球』はない」のです。
▶リズムに乗るまで
練習だと上手く打てる(だけど試合でのパフォーマンスとの間にギャップがある)という人は、2球目以降の「リズムができたあとの状態」を指して、「上手く打てる」と言っていることが少なくないようです。
1球目がクリアされれば、ハードルはグッと下がり、2球目、3球目は簡単です。
このわずかな差が、「練習と試合」とを隔てるクリティカルな要素だったりするのです。
▶最初に手放すのは、「結果を出したい気持ち」
とはいえ最初の1球目でやるべきことは、「上手く打つ」ことではありません。
つまり仰せの「結果を出したい気持ち」は捨て置く。
上手く打とうと意識すると、打てないのです(関連記事「自然体を意識すると『不自然になる』」)。
派手にいかず、ただボールを見るだけ(それ以外にも注意を払おうとして頑張らないこと)。
先述の会話であれば、まず聴くだけ(関連記事「テニスも、まず受信」)。
それだけでハードルが下がり、流れが生まれ、結果として自然に、上手さに裏打ちされた強さが、立ち上がってきます(関連記事「なぜ最初に頑張る人ほど損をする?──心のリバースモーション入門①」)。
▶追伸:テニスがネガティブになったら
テニスに対してネガティブになっています。
上手くいかないとき、どうすれば上手くいくかと「考える」から、ますます上手くいかなくなる悪循環です。
頭では「考えたらだめだ」と分かっていても、考えてしまいます。
自分だけが取り残されて、何だか「場違い」な気がしてくる。
だから、1球目のハードルを、とことん下げてあげて。
まずはネガティブになるそんな自分を、「緩して」あげてくださいな。
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(テニスゼロ)
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テニスゼロ代表
吉田無型(よしだ・むけい)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero