テニス上達メモ562.不向きは「やらない」。その一択で人生もテニスも軽快(連載その3)
向いていないことへの「やるべき」に、とらわれていませんか? 連載その3は、「やらない」を選ぶだけで人生もテニスも軽快化する話。有限の気力・体力・時間・お金は、好き・得意・向いていることに回すと上達が加速します。シナカラスほかプロは皆、そうしています。
▶優先順位が大事。なぜなら人生は「有限」だから
連載その1では、2025年グランドスラム「大逆転劇」第1位フリッツの「諦める(=明らかにする)」を取り上げました。
ついでにノーベル化学賞・北側進先生のコメントまで強引に巻き込み、「好き・得意をとことん突き詰め、資源を適切に配分する諦めこそが成果につながる」という共通点を整理しました。
そして連載その2では、ノーベル生理学・医学賞の坂口志文先生による「漫画化の効用」から、「楽しんで学ぶと人は天才化する」に迫りました。
▶諦めるとは「ギブアップ」ではなく、「集中すること」
突き詰めると、不得手や嫌い、不向きは諦めて(明らかにして)、得手、好き、向き、楽しいを「とことん突き詰める」優先順位が大事という話。
なぜなら私たちの人生における気力、体力、時間、お金は、有限だからです(関連記事「時間と体力と気力とお金は、有限」)。
いつまでもどこまでも、続くわけではありません。
「壁を作るな」とは言いますが、人としての限界を認めるから、伸びるのでしたね(関連記事「『大人になる』ということ」)。
続きまして、連載その3です。
▶「やらない」と決めるだけで、人生は驚くほど軽くなる
向き不向きがある。
だからといって別に「今から仕事を変えましょう」などと、言いたいわけではありません。
「下手なテニスをやめましょう」と、言いたいわけでもありません。
いえ、下手なテニスはやめて上手いテニスをするための物語です。
▶「全部できなくていい」と決めた瞬間、世界は回り始める
結論を言うと、日常においても、苦手・嫌いな不向きは「やらない・引き受けない」と決めるのです。
そんな生き方のご提案。
「やらない・引き受けないだって?」
「そんなわがまま言ったら、社会が回らなくなるじゃないか!」と思われるかもしれません。
しかし、全然そうではないのです。
光と影で、必ずそれが得意・好き・向いている人が、世の中には「いくらでもいる」のです(関連記事「フェデラーは光、イチローは影──その『表裏』が人を強くする理論編 」)。
▶向き不向きは、性能差──優劣ではない
それはあたかも、次のようなもの。
たとえば10万字の中からある文字列を探し出す「検索」は、大変と感じるかもしれないけれど、むしろコンピュータの最も得意とするところ。
一方「感受」は、人であれば簡単なのに、コンピュータにとってはとても難しいのです。
端的な例ですが、そんな感じ。
向き不向きがある。
▶不得手をやるのは、「誰かの得意」を奪う盗みだ
私たちはスーパーマンではないのですから、好き嫌い、得手不得手の偏りがあるのは当たり前で、それを諦める(明らかにする)ことで、道は開けます。
なのにあなたが自分の「嫌い」を仮にやるとすれば、すなわちそれは、誰かの「好き」を奪っているかもしれない盗みなのです。
不偸盗戒(ふちゅうとうかい)といえば、言いすぎかもしれませんけれども、本来なら誰かを幸せにしていたはずの場面を、知らず知らずのうちに奪ってしまうことがあります(関連記事「仏教は、『しないことリスト』の先駆け」)。
▶好きと嫌いは、ここまで違う──多様性を認めよう
たとえば私は、早起きがわりと得意で、目覚ましをかけずに起きます。
一方、夜更かしは苦手。
ところが聞くところによると、なんと夜中まで起きているのは平気なのに、朝がつらいという人も、世の中にはいるそうなのです!
私はびっくりしました。
私なら罰ゲームとして、「朝5時に起きる」か、それとも「夜通し起きている」かと迫られたら、迷わず前者を選ぶと思います。
▶得手不得手は「ダイバーシティ」──世界は補い合っている
それくらい、好き・嫌い、得手不得手は、思っている以上に差があるダイバーシティ。
キツイ・キタナイ・キケンな「3K」といっても、好きな人にとっては高層ビルの窓拭き掃除も、ロッククライミング気分なのでしたね(関連記事「3K職場だって、ロッククライミング気分でゴー」)。
逆に現場が好きなのに、管理職に昇進したがゆえに生きがいを見失った部長さんも、たくさんいらっしゃるかもしれません。
世の中は、得手不得手を、補い合えるようにできているのです。
なのに隣の芝生は青く見えるから、自分にはないものねだりをして、できない・やれない苦手な不得意にこそ、憧れてしまいがちです(関連記事「隣の芝は青く見える。でも青い鳥はここにいる」)。
▶テニスも同じ──「苦手」を強制されるほど強くなる「闘争・逃走反応」
もちろん、「テニスが不得意だったらやめたほうがいいですよ」などと、言っているわけではありません。
人はそもそも身体動作を意識しながら動くのが「とても苦手」なのです。
それが、前回の連載その2、「矯正の強制」になるとますます拒否反応を起こし、本能的に「ファイト・フライト・フリーズ反応」を引き起こしてしまうと指摘したところ(「『また同じこと言われてるよ!』って言われない?」)。
ですからテニスが上達するために、それを「やめる・引き受けない」のです。
前にお示しした、生きるのが楽になる「ローカルルール」に加えてもよいでしょう(関連記事「おまけ・自分を守る『ローカルルール』のススメ」)。
嫌なこと・苦手なこと・不向きなことは「やめる・引き受けない」と。
▶「感じるままに動く」は、人が最も得意とするところ!
一方、「感じるままに動く」のは、本来的に人は得意です。
すごく好きです。
分かりやすい例を挙げると、お腹が減ったと感じたら、食べたくなるでしょう?
寒さを感じたら、温まりたくなるでしょう?
穴があったら、入りたくなるのです(笑)。
これが「素直」「天然さん」です。
それと同じようにボールがはっきりくっきり見えたら(視覚で光を感じたら)どうしても「打ちたくなる」のです。
「打たされる」のではなくて。
▶プロはみんな「簡単なほう」を選んでいる
シナーやアルカラスほか、プロはみんなそうしていますよ。
そのほうが「簡単」だから。
感じるままに動いたほうが、楽で気持ちいいから。
「打ちたい」と感じた瞬間に、打っています。
「打たされる」のではなくて。
▶「楽になった先」で、人は止まることもある
むしろ一般プレーヤーのほうが、「人として」難しく苦手なこと(フォーム矯正の強制)をやろうとしているから、テニスが不得手になってしまう。
そういう人が、「前へ進まざるを得なくなる」には、一体どうすればいいのか?
シナーは、幼少期にやっていたスキー、フェデラーやナダル、錦織圭は、サッカーのプロになる選択を、自分の向き不向きを明らかにして諦めました。
テニスにリソースを集中したのです。
私たちはスーパーマンではない。
▶だからこそ、「流れ」を作る
ただしひとつ、注意点があります。
人は「楽」を知ると、確かに余裕が生まれますが、歩みを緩めることも、同時にできてしまう。
やらなくていい。
引き受けない。
それだけでは、軽くて浮いたまま、前や上へ進まなくなることもあります。
では、どうすればいい?
人から強制されず、自分を追い込むこともなく、自然と前や上へ運ばれていく方法がある。
流れに乗るための、加速法が。
そのひとつが、「投資(余力を買うこと)」。
連載その4へ続きます。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
https://note.com/tenniszero
無料メール相談、お問合せ、ご意見、お悩み等は
こちらまで
tenniszero.note@gmail.com
テニスゼロ代表
吉田無型(よしだ・むけい)
いいなと思ったら応援しよう!
スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero