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新聞と電話がつないだ、次への兆し【島ICT#18】/離島のデジタルデバイド編② 2年目の記録

前回、島内イントラネットが完成し、その取組は取材を通して外へと伝えられた。
本稿は、その反響を受け止めながら始まる、2003年度、2年目の記録である。

前回のデジタルデバイド編👇

本シリーズの背景(初めて読まれる方へ)

今から20年以上前の2002年4月。
連絡船が頼りの離島の小学校に、一人の教師が赴任した。
島では、家庭でも学校でも、インターネットは日常的に使えるものではなかった。

本土でADSLが普及し始める一方、島内のデジタルデバイドは広がっていた。
小学校では、隣の中学校に整備された衛星回線を分岐して利用し、インターネットとメールが可能になっていたが、利用には多くの制約があった。
👉[つながらない島から始まった挑戦/離島のデジタルデバイド編]

そうした環境の中で、教師は総合的な学習の時間を通して、学びを島の外へ、そして島の人たちへ届けようとした。
ICTは目的ではなく、あくまで手段だった。

「プロジェクトI(アイ)」と名付けたこの取組で目指したのは、学校だけでなく、地域全体が情報へアクセスできる環境をつくることだった。
たとえ小さな一歩でも、未来につながる足がかりを残したい。
それが、このプロジェクトの出発点である。

1年目には、島の魚を紹介するデジタル図鑑を制作し、その成果を島の人たちにも届けるため、連絡船の待合室にPCを設置した。
そんな折、学校の通信環境を支えてきた衛星通信システムが、残り1年で使えなくなることが分かる。

これは、島での2年目。 システム終了へのカウントダウンが進む2003年度の記録である。


1 春休みの朝、新聞に載った出来事

4月1日の新年度職員会終え、2〜3日後の春休みの朝、何気なく地元新聞を広げていて、ふと目に留まる記事があった。
3月の修了式の日に取材を受けた、「プロジェクトI」についての記事だった。
【前回取材の記事👉300mをつないだイントラネット【島ICT#17】/離島のデジタルデバイド編

取材からしばらく時間が空いていたので、正直もう載られないのではと思っていた。
年度末は議会や人事異動、甲子園、選挙関連、各校の卒業式など、ニュースが集中する時期でもある。
そうした中で、やっと今日になって掲載されたのだろう。

しかし、ローカル面だが記事は思ったより大きなスペースを割いてくれていた。
子どもたちが高齢者にPCの操作を教えている場面の写真も載っている。
連絡船の待合室という、島の日常の中にある場所での一コマが、そのまま切り取られていた。

この積み重ねで、少しずつでも周囲の理解が深まっていけばいいな。
そんなことを考えながら、しばらく紙面を眺めていた。

2 新聞記事をきっかけにかかってきた電話

その日のうちに、一本の電話がかかってきた。
電話をくれたのは、9月に一度取材を受けたNHKの地方局ディレクターだった。
昨年9月、前任校で取り組んだ「和菓子プロジェクト」についての取材で、中学生になった子どもたちと、久しぶりに和菓子屋で顔を合わせて取材を受けたときにお世話になった方である。

子どもたちが地域の名物和菓子を企画開発した!「和菓子プロジェクトの実践マガジン」👇

前回、お店でお目にかかったときに、
「この和菓子の次に考えている実践は?」
と尋ねられ、離島の小学校での生活やその時点での島の通信環境、取り組みの状況も一通り話していたのである。
今日は新聞を見て、ふと思い出し、その後どうなったのか聞いてみたくなったということだった。

まさか、覚えていてくださったとは思わなかった。
電話口で名乗られた瞬間、少し驚き、同時にうれしさも込み上げてきた。

3 続いていく関心と、次年度の話

その後の取り組みとして、総合的な学習の時間で実践した「おさかな天国デジタル図鑑」が農林水産大臣賞を受けたことや、今日の新聞記事の内容についてもあらためて話をした。

話題は自然と、これからのことに移っていった。
今年度、そして今後、どんな構想を考えているのかという問いだった。

まだ具体的な計画が固まっているわけではない。
それでも、今考えている方向性や、やりたいと思っていることを一通り伝えた。

実際に動き出したら、ぜひ取材したいと言ってもらえた。
決まり次第、また連絡をという言葉に、背中を押された気がした。

4 一区切りとしての報告と、次への弾み

翌日、新聞記事が掲載されたこともあり、無線LANのパーツ購入や設置について助言をもらっていた先へ、一つの区切りとして報告のメールを送った。

お世話になったのは、有限会社 青光舎(仮名)という会社だ。
何度もメールで質問を送り、そのたびに丁寧な返信をもらってきた。

その日のうちに返信が届き、「お魚天国・・・」のページを会社のHPで紹介してくださっていると知った。
島の子どもたちが作ったものが、思いがけない場所で、また別の形で広がっていく。

春休みという時間は、不思議な間をつくる。
1年が終わった実感と、次の年度が始まる気配が、同時に存在している。
この出来事の連なりは、次へ進むための、静かな弾みになっていた。
とにかく、地道に実践を重ねていくしかない、そう考えた春休みの1日だった。


次回に続く・・・👇

これまでの経緯は、離島のデジタルデバイド編マガジン👇👇



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