第6回 運命のプレゼン対決!ベース案はどれだ
数週間にわたる試行錯誤の末、6つの和菓子案がついに出そろいました。 この中からクラスの“顔”となる一品を選ぶ瞬間が、もう目の前です。 緊張と期待を胸に、子どもたちの挑戦が始まります。
今から約25年前の2001年(平成13年)度の実践です。第1回はこちら
今回の舞台裏(解説編)はこちら👇
1. 運命の日、ついに到来
いよいよ和菓子アイデアコンテストの日がやってきました。迎えた、2001年10月31日。秋の空気が少しひんやりとするこの日、教室はいつもと違う緊張感に包まれていました。6つの和菓子開発プロジェクトチームが、自分たちの渾身の企画を出し合い、「和菓子ベース案」を決める大舞台です。
この日は特別に、審査員にも来ていただきました。プロジェクトアドバイザーである和菓子職人さんを審査委員長に、学校長、保護者3名、家庭科専科の教諭、私と後輩院生の大学院ゼミ教授。計8名がずらりと並びます。社会に通用する商品を開発するためには、子どもたち同士の評価だけでなく、大人からの厳しい視点や率直な意見が不可欠だと考えたのです。

各チームのプレゼンには、
○開発の目的や込めた思い ○販売ターゲット ○考案商品の説明 ○いち押しポイント
等を盛り込みました。発表方法も多彩で、パソコンやOHP(オーバーヘッドプロジェクター)、模造紙、商品模型などを駆使。子どもたちは練習の成果をぶつけます。
また、この場は子どもたちにとっても初めて、他のチームの企画案を聞く機会。ワークシートに「いいところメモ」を取りながら、コンテストは進行していきました。
発表後は審査員からコメントやアドバイスが飛びます。普通なら自分の発表が終わった時点でホッとしてしまいがちですが、この日の子どもたちは違いました。真剣な表情でメモを取り、「もっと良くしたい」という思いが表情からにじみ出ていました。
2. ユニークすぎる!6つの和菓子案
ここで、各チームの考案した商品案を紹介します。
1班「たぬちくまん」
竹ちくわをイメージし、焼きを入れた上用まんじゅうをちくわに見立て、中心の竹は芋けんぴで表現。まんじゅう部分にはたぬきのクッキー付き。
2班「あしあともち」
たぬきの足跡型で、足の色をしたチョコ入りのもち。足の裏に肉球をチョコで表現。
3班「四季金長」
春夏はやまももまんじゅう、秋冬は栗まんじゅう。四季を特産物で表現した2個1セット。
4班「のぞみの泉まんじゅう」
地域の湧き水を使用。湧き水をイメージした透明感のあるまんじゅう。
5班「酢狸橘(すりだち)まんじゅう」
すだち+たぬき。薄皮まんじゅうのたぬき顔に、すだち風味の葉形チョコを頭にのせた。
6班「やまもち・すだもち」
やまももとすだちを使ったシンプルなもち。短く覚えやすいネーミングが光る。

伝統を大切にしながらもオリジナリティを盛り込み、時には洋菓子の要素まで取り入れた発想は、どれも甲乙つけがたいものでした。
3. 審査結果・・・まさかの大接戦
各チームの発表後、審査員は内容ごとに得点をつけていきます。集計の結果、驚くことに点差はほとんどなし。このまま決めてしまうのは惜しい…。 そこで最終判断は、子どもたちによる投票にゆだねることにしました。
結果は、本当にわずかの差で、5班の「酢狸橘まんじゅう」がクラスのベース案に採用されました。
選ばれなかったチームの子どもたちには悔しさもあるはず…そう思っていましたが、返ってきた感想は意外にも前向きなものでした。
・5班がベースになってちょっと悔しいけれど、一緒にクラスの和菓子ができたらいいな。
・5班の和菓子がどう変わっていくか楽しみ。いい和菓子になったらいいと思う。
・ベースは他の班になったけど、あっちも美味しそうだったので良かった。
やり切った満足感、仲間のアイデアへの敬意。それが言葉ににじんでいました。こうして熱気に包まれた2時間のアイデアコンテストは幕を閉じました。
4. これからが本当の勝負
決まったのはあくまで“土台”です。実際に商品化するためには、ここからさらに磨き上げる必要があります。 採用されなかったチームのアイデアやセールスポイントをどう融合させるか。それが“クラス全員の和菓子”に仕上げるカギとなります。
しかし・・・。
子どもたちの中には、燃え尽きたように見える様子もみられました。 次回は、最終企画書作成という最後の壁に挑む姿をお届けします。
▶︎ 第7話に続く
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