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すれ違う時間となごい海【島小②#30】/離島の小学校編Season2 30

2003年秋、なごい海の朝でも、仕事は待ってくれません。
すれ違う時間の中で進んだ、島の学校の一日です。

前回の話👇

◆本シリーズについて(初めて読んでいただく方へ)

約25年前の2002年、船が生活のすべてを左右する離島の小学校に赴任しました。
予定通りにいかないことが当たり前の中で、学校と暮らしが地続きの毎日を過ごしていました。

そんな環境の中でも、子どもたちに自信をもたせたいと考え、総合的な学習の時間に取り組んでいました。

このシリーズでは、当時の日記をもとに、島での仕事の大変さと、その中にあるささやかな温かさを綴っていきます。

2年目2003年の、Season2(2年目)2学期のお話です。

※本文中の地名・固有名詞は一部仮名としています。



1.島へ運ぶもの、つなぐもの

島へ渡る日は、いつも少しだけ荷物が増えます。

この日は、新しく購入した水槽を抱えて船に乗り、学校まで運び込みました。単なる備品の搬入といえばそれまでですが、島の学校では「物を運ぶこと」はひとつの仕事になります。
運び終えたあと、そのまま校内に残って、保健学習の指導案検討をしました。

新任の養護教諭の先生が作成した指導案を見せてもらいながら、項目の立て方や授業の展開、評価規準などについて一つひとつ確認していきます。
「ここはこうした方がいい」「この流れなら子どもが考えやすい」といった助言を重ねながら、少しずつ形を整えていきました。

翌日にはその先生が出張に出る予定であり、さらにこちらも出張を控えていたため、落ち着いて話し合える時間はこの日しかありませんでした。
結果として手直しは多くなりましたが、方向性を共有できたことで、全体の見通しがぐっとよくなった手応えがありました。

島では、時間が限られているからこそ、1回の対話が濃くなるのだと感じます。


2.すれ違う時間の中で整える

数日後、その指導案は本番直前の調整段階に入っていきます。

この日は朝から慌ただしく、2時間目が終わる頃に出張に出ていた養護教諭と校長先生が戻ってきました。
そのまま3時間目には教頭先生による3年生の社会科の研究授業が行われます。
児童の欠席が続き、延期されていた授業がようやく実施されました。

授業が進む一方で、自分自身もこのあと出張に出なければならず、校内にいられる時間は限られていました。
そのため、授業の合間を縫って養護教諭と最終確認を行い、指導案や資料の細部を詰めていきます。

パワーポイントのスライドデータも受け取り、明日の授業で使う部分の編集はこちらで引き受けることにしました。
もちろん、どの資料を使うかは本人に選んでもらいながらも、限られた時間の中で形にしていくためには、作業を分担するしかありません。

こうして、それぞれが別の動きをしながらも、ぎりぎりのところで研究授業の準備を整えていきました。


3.行事の一日、そのまま授業へ

その翌日は、市の音楽会でした。

今年も教員の出演を含め全校で参加するため、子どもたちも教員もそろって朝の便で島を出て、本土の会場へ向かいます。
ただ、前日の出張の関係で私は自宅から向かわせてもらいました。
ちなみに私の担当はウッドブロックでした。
運動会で揃えたTシャツで演奏を終えたあと、そのまままた全員でで港まで移動し、昼の便で子どもたちとともに島へ戻ってきました。

※昨年の音楽会👇

行事を終えたその足で学校へ戻ると、ほっとする間もなく日常の授業へと切り替わります。
午後は1時間だけ、体育の保健領域で生活習慣病の研究授業を行いました。

初任の養護教諭の先生とティーム・ティーチングで進めた授業は、これまでの打ち合わせと準備が生き、落ち着いた流れで展開することができました。

放課後には、前日の社会科の研究授業とあわせて授業研究会が行われました。
行事、授業、本番、そして振り返りが一気につながる1日です。

いくつもの出来事が重なり、さすがに疲れは残りましたが、それでも「準備してきたものが形になる」という実感は強く残りました。


4.船とともに変わる時間

やがて11月を迎えます。

船の時刻は冬時間に変わり、これまでの生活のリズムも少しずつ変化していきます。
しかし、その変化は一時的なものでした。
11月7日からは新しい船が就航し、時刻もさらに変わることが決まっていたのです。
つまり、これまで乗り慣れてきた船に乗るのも、あとわずかしか残されていません。

そんなことを考えながら、朝の便で自宅へ戻る船に乗っていました。
数日前の荒れた海とは打って変わり、この日の海は穏やかです。
波はほとんどなく、水面は静かに広がっています。
島ではこのような状態を「なごい」と呼びます。

島に来てから、この言葉は自然と挨拶代わりになりました。
「今日はなごいなあ」と交わす一言が当たり前になりました。

いつもこんな海であればと思いますが、現実はそうはいきません。
それでも、新しい船が少しでもこの揺れを和らげてくれるのではないかと、淡い期待を抱いていました。

なごい海を眺めながら、また次の一日が始まっていきます。

次回に続く・・・


離島の小学校編Season2(2年目2003年度)はこちら👇👇

離島の小学校編Season1(赴任1年目2002年度)はこちら👇👇👇

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