つながりは、あとから気づく 【島総②#07】/vol3 アワビいっぱい編/離島の総合的な学習②
前回、全国小学生キーボード検定のモニター校として、本校の取り組みが動き始めたことを書きました。
キーボード入力の練習は、検定だけでなく、BBSでの書き込みや交流にも、そのまま生きていくことになります。
前回の話 離島の総合的学習の時間②#06👇
本シリーズについて(初めて読んでいただく方へ)
本シリーズは、県内で唯一の離島にある小学校に赴任して2年目、2003年度(平成15年度)に行った総合的な学習の時間の実践記録です。
交通も通信も限られた島で、子どもたちにどんな力を身に付けさせたいのかを考えながら、地域と関わる学びやICTを活用した取組を進めてきました。
1年目には、島の海の魚介類を調べてまとめた「おさかな天国 海辺のデジタル図鑑」に取り組み、マイタウンマップ・コンクールで農林水産大臣賞をいただきました。 ▶ おさかな天国(離島の総合的な学習の時間①)
本シリーズ「アワビいっぱい編」では、年度後半のアワビの中間育成・放流の実践を軸にしながら、そこへ至るまでの前半の学びとして、他地域との交流、ICTスキルの定着、発信に向けた準備段階も含めて、2年目の1年間を通した取組を記録しています。
単元単位ではなく、「学びが形になるまでの時間」そのものを描いています。
※本文中の地名・学校名・人名等は仮名を使用しています。
1 全国につながったキーボードの挑戦
全国小学生キーボード検定のモニター校向けに、新しいコンテンツが公開されました。
検定はβ版の段階に入り、今回はその中に「全国ランキング」のコーナーが新設されたのです。
単に速く文字を入力することを競うのではなく、文章の理解や学習に結び付く内容が盛り込まれており、検定としても非常に工夫されたものでした。
モニター校である本校の6年生3人も、さっそく体験することになりました。
新設当初はモニター校のみが参加できる仕組みでしたが、入力が終わるとすぐに結果がランキングに反映されます。
自分たちの記録が全国の中に位置付けられるその瞬間は、子どもたちにとって大きな刺激となり、画面をのぞき込む表情も真剣になっていました。
2 環境の差が突き付けた現実
一方で、離島ならではの課題もはっきりと表れました。
学校に使っていた古いパソコンでは、子どもたちの入力速度に画面表示が追い付かず、入力が止まったように見えてしまう場面があったのです。
本来の力を発揮できないまま記録が伸びず、そのパソコンを使っていた子の表情が曇る様子を見ると、なんだかかわいそうでした。
技能の問題ではなく、環境の問題によって結果が左右されてしまう現実を、私自身も改めて突き付けられた思いでした。
とはいえ、9月には新しいパソコンが導入される予定があり、この問題はいずれ解消される見通しでした。
それ以上に、この検定システムそのものの完成度の高さに触れ、本格公開されたときには多くの子どもたちに支持されるだろうと強く感じました。
3 BBSで生まれた、ささやかな交流
キーボード検定と並行して進めていたのが、BBSを使った交流プロジェクトです。
交流相手は、交歓学習で実際に顔を合わせた県内西部の小学校と、県外ではありますが同じように離島にある小学校でした。
県外の離島校とは、BBSのみでの交流からスタートしました。
相手校は低学年が中心ということもあり、書き込みを継続させるためには、教師による細やかな支援が欠かせなかったようです。
相手校の先生が話題を工夫し、声掛けを重ねながら、少しずつやり取りが積み重ねられていきました。
例えば、こちらで獲れる貝の呼び名を写真とともに尋ねてみたり、向こうで羽化した蛾の写真を見せてもらい、こちらにはどんな虫がいるかを紹介したりしました。
全員が一言ずつBBS上でしりとりをするというアイデアも、相手校の先生が考えてくださったものでした。

やり取りは決して頻繁ではありませんでしたが、その一つ一つが子どもたちには新鮮だったようです。
同じ「島」に暮らしていても、場所が違えば見えるものや身近な生き物が違うことに気付き、画面の向こうにいる相手を少し身近に感じる様子が見られました。
BBSは、島の外とつながるための道具であると同時に、楽しく交流する気持ちを育てる、小さなきっかけにもなっていました。
4 続けることで見えてきた変化
県内西部の小学校とは、2回目となるテレビ会議を行いました。
1回目のテレビ会議と交歓学習で実際に会って以来、約1か月ぶりの再会です。
その間をBBSでつなごうと設置はしていたものの、相手校の多忙さもあり、正直なところ大きな盛り上がりには至っていませんでした。
それでも「継続すること自体に意味がある」と考え、月1回のテレビ会議だけは必ず続けるようお願いしてきました。
今回は、こちらから提案し、クイズ大会という形で進めることにしました。
あらかじめ相手校から総合的な学習の年間計画を共有してもらっていたため、一方的にならないよう内容をすり合わせながら準備を進めました。
こちらとしては、自分たちの総合的な学習の時間が本格的に動き出した際には、その報告の場としても位置付けたいという思いがありました。
5 画面越しにつながる学びの手応え
当日、子どもたちは以前よりも明らかにリラックスしており、クイズのやり取りの中で笑い声が上がる場面もありました。
画面越しではあっても、同じ時間を共有する経験を積み重ねることで、確実に距離が縮まっていることを感じました。

交流は、一度きりでは形になりません。
細くても続けることで、ようやく学びとしての輪郭が見えてくるのだと思います。
次回のテレビ会議は1学期終業式の前日を予定しており、この取り組みは夏休みの市生徒指導研究集会の場でも報告する計画です。
交流を重ねる中で、子どもたちは少しずつ相手の存在を意識するようになっていきました。
島の外とつながるということが、特別な出来事ではなく、日常の延長として感じられ始めていました。
次回に続く・・・👇
総合実践のvol3、アワビいっぱい編(マガジン離島の総合的な学習の時間②)👇👇
総合実践のvol2、おさかな天国(マガジン離島の総合的な学習の時間①)👇👇👇
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