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ちんすこうじゃない“お土産”を持ち帰って。 【研探#01】/研修で出会う探究の風景

今回から新シリーズ「研修で出会う探究の風景」をお届けします。
「教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない」・・・。
教育公務員特例法にそう記されているように、教師の“学び”は仕事の一部でもあります。

私自身も、これまで多くの研修に関わってきました。
校内研修、教育センターでの研修、研究大会、学会、そして自主研修……。
その一つひとつの場に、出会いがあり、葛藤があり、そして“自分の教育観を塗り替える瞬間”がありました。

第1回は、私の長い教員生活の中でも特に印象深い・・・1996年5月の沖縄での「体育実技指導者研修」を振り返ります。

【目次】


1. 教師だって、学びの生徒です

教師として働いていると、「研修」という言葉を耳にしない日はありません。
教育委員会主催の義務的な研修もあれば、研究会や学会など、自主的に参加するものもあります。

校内研修主任を務めていた頃は、企画から内容まで、裏方として研修を“つくる側”にもなりました。
一方で、自ら講師や発表者として壇上に立つこともありました。
・・・研修は「学ぶ場所」でありながら、「教える場所」でもあります。

そんな中で、私の教員人生に大きな節目をもたらしたのが、1週間の長期研修でした。
沖縄の「体育実技指導者養成研修」、愛媛の「情報視聴覚教育指導者養成研修」、大阪の「キャリア教育指導者養成研修」。
時期も内容もまったく異なるのですが、教師人生の中で3回も1週間の長期研修に参加できたことは、今思えばとても貴重な経験でした。

いずれも現場を離れ、純粋に“学ぶことに没頭できた時間”です。
今後、「研修で出会う探究の風景」シリーズとして、時系列で私が経験してきたさまざまな研修を紹介していきます。
もちろん、長期研修だけでなく、他の連載ともリンクしながら“学びの風景”をたどる予定です。

そして今回は、その第一章。
舞台は、梅雨の沖縄。
・・・熱気と汗に包まれた、あの一週間です。


2. 沖縄の空に吹いた、学びの風

当時の私は体育主任でバリバリがんばっていたころ。(ドーハの悲劇の少し後)

※体育主任仲間との出張での出来事,これも研修でした👇

そもそもこの「体育実技指導者研修」というのは、毎年夏休みに県内で行われる2日間の研修です。
4校を会場に、陸上・体操・表現運動など4種類の実技を午前・午後で受けて回ります。
真夏のグラウンドで動きづめの2日間・・・。
当時の私は「講師の先生、そこまでやるの!?」と心の中でつぶやきながら、汗だくでついていったのを覚えています。

そんな県内研修に何度か参加していた私が、ある日参加したのは、文部省(当時)主催の「西部地区学校体育実技指導者講習会」。
西日本各地から選ばれた先生方が集まり、陸上・体操・表現運動などをみっちり学ぶ場です。

しかも会場は沖縄・那覇市
陸上運動班に配属された私は、5月21日から24日まで、雨と汗に包まれた4日間を過ごしました。
この研修、実は“お土産付き”です。
といっても、もちろんちんすこうではありません。

「学んだことを県内の先生方に伝える」という、ちゃんとした“教育版のお土産”がついてくるのです。

ちんすこう

3. 書類の行間に、沖縄の空

当時、提出した報告書の一節には、こんな記録が残っています。

期間中の日程は、
1日目 午前中講演会・全体会、午後実技講習(雨)
2日目 終日実技講習(曇り)
3日目 終日実技講習(雨)
4日目 午前中研究協議会(大雨)
会場は宿舎から約4km離れた○○小学校。
講師は○○大学の○○先生で、“陸上班を小学校で行うのは初めて”とのこと。

報告書では淡々と記してありますが、実際には梅雨入り直後の沖縄。
雨ばかりで、運動場を使えたのは2日目だけでした。
そして,会場である小学校では,普通に授業が行われていました。
3日目には体育館で走り高跳びをしている私たちを横目に、なんと外では児童たちが雨の中でリレーをしていました。 (なんとなく申し訳ない気持ちにもなりました。)

ただ、赤土の運動場は不思議と水はけがよく、少々の雨でもぬかるまない。
「この土、うちの学校に持って帰ろうかなあ」と心の中でつぶやいたのを覚えています。


4. 雨の中に見えた、指導の本質

講師の先生は「30〜50%の力でいいですよ」と笑顔でおっしゃっていましたが、実際には誰もが100%以上の力を出していました。
ホテルに戻ると、今回共に参加していた,特に“基本の運動”班の先生方は、関節や筋肉のが悲鳴をあげているとこぼしていました。

私たち陸上班は、天気の影響もあってビデオ視聴などの座学があり、比較的ハードではなかったものの、 さまざまな指導アイデアに触れ、毎回の講義が刺激的でした。

少し余談ですが,そんな中、同じ県から参加していたもう一人の先生(女性で年上、全国大会でもお世話になっていた方)が、衝撃のひとことを放ちます。
2日目の講習が終わったあとですが・・・

「ちょっと物足りないから、宿舎まで走って帰ろうよ。」

「えっ、まさか…」と思いましたが、年上の先輩の提案を断る勇気もなく、4kmの道のりをランニングで帰還。
正直、これが研修中でいちばんハードでした。(笑)

※全国陸上小学生大会出場,この時の参加団の中にこの先輩の先生もいました👇👇

そんなエピソードもありましたが、心に残った講師の先生の一言があります。

「自分がやってみて楽しいと思えることは、子どももきっと楽しい。」

この言葉が、のちの私の授業づくりの原点になりました。
“教える前に、まず自分が楽しむ”・・・それが、体育だけでなくあらゆる学びに通じる姿勢だと感じたのです。


5. “伝える”ことで気づいたあの夏の意味

沖縄から戻った8月、私たちは県内研修の講師として、今度は教える側に立ちました。
テーマは楽しく取り組めた「8秒間走」と「ねらい走り高跳び」。

走り高跳び

一緒に沖縄へ行った先輩と連絡を取り合いながら、「自分たちが“楽しい”と感じたことをそのまま伝えよう!」と準備を進めました。

しかし、実際にやってみると大変です。
当日の朝は場の設定で,準備を行います。
さらに自分たちが5日間かけて体で覚えたことを、たった2時間ほどで伝えなければならない。
しかも,同じことを2日間で4回くり返します。

・・・そのとき、はじめて分かりました。
あの夏、受講者として「講師の先生、そこまでやるの!?」と思っていた理由を。
講師の方々は、本気で“本物の楽しさ”を伝えようとしていたのです。


6. “ちんすこう”より長持ちするお土産

研修とは、学びのバトンを渡し続ける営みだと思います。
誰かから受け取った“熱”を、自分なりに形を変えて次の人に伝える。
そして、その中でまた新しい発見が生まれる。

沖縄の空の下で学んだことは、ただの技術指導だけではありませんでした。
あの時感じた“楽しい”の共有が、いまの私の教育観を支えているのです。

研修で出会う探究の風景#2へ続く・・・👇

これまでの連載は,マガジンで。
どれか1つでも読んでみてください。👇👇👇


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