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第9回 発売目前!和菓子プロジェクト、勝負の準備編

試作品との感動の出会いを経て、いよいよ4つの売り出し企画チームが本格的に動き出しました。和菓子を“商品”として世に送り出すためには、プロの視点が欠かせません。子どもたちは、職人さんからの逐一のアドバイスをBBS(電子掲示板)で受け取りながら、自分たちのアイデアを磨いていきました。

今から約25年前の2001(平成13)年度の実践記録です。 第1回はこちら
※本文中の一部地名や商品名は仮名(かめい)としています。

前回(第8回)のお話👇



1. ネーミング班──言葉に込める地域の誇り

最初の大きな関門は「名前」を決めることでした。名前が決まらなければ、他の班の作業も進みません。

少人数のネーミング班は「自分たちだけではアイデアが足りない」と悩み、以前の市場調査の手法を参考にして全員から案を募ることにしました。休み時間にクラス全員へ「3つ以上の案」を呼びかけると、なんと約100もの候補が集まりました。

ところが、数は多くてもなかなか絞り込めません。子どもたちは立ち止まり、「そもそも自分たちの和菓子って、どんな存在なのだろう?」とあらためて話し合いました。その結果、地域を象徴するキーワード──地名「駒津浜」と、和菓子のモチーフとなった「たぬき」──を盛り込むことに。

最終候補は「ばけ上手」「ぽんぽこばけ上手」「ぽんぽこ駒津浜」の3つ。帰りの会で全員の意見を聞くと、「『ばけ』は人をだます感じがあるからどうかな」という声が多く、クラスとしては「ぽんぽこ駒津浜」を選び、BBSで職人さんに相談しました。

職人さんからの返信はこうでした。

「たぬきのお腹をたたく音と地名を組み合わせたのは素晴らしいですね。ただ『ぽんぽこ』はよく使われていて、インパクトが弱い気がします。例えば『ぽこぽん!』として強調してはどうでしょう?」

子どもたちはその案に大喜び。「ぽこぽん!駒津浜」という響きは親しみやすく、力強さもありました。次の総合的な学習の時間,その報告にほかの班も手を止めて「覚えやすい!」「たぬきのイメージがピッタリ」と賛同し、満場一致で決定。こうして、和菓子は“名前”という大切な翼を手に入れました。


2. デザインシール班──見せ方の工夫に光る閃き

名前が決まると、他の班も一気に活気づきました。デザインシール班は、市章やたぬきの顔をどう組み合わせるかで悩んでいましたが、職人さんから「可愛い顔が隠れてしまうなら、透明シールに文字だけを入れる手もありますよ」との助言を受け、目の前が開けたように感じました。

パッケージデザインを考える

「絵を描かなくてはいけない」という思い込みが外れ、茶色いまんじゅうの質感を活かす透明包装+透明シールに変更。文字色は茶色と緑に映えるピンクを採用し、シールは真っ直ぐではなく少し斜めに貼ることで遊び心を演出しました。


3. 添え書き班とホームページ班──言葉と物語で伝える

添え書き班は「これまでの苦労と想いを伝えたい」との気持ちで学習ファイルをめくり返し、有名菓子の添え書きを分析しました。しかし、盛り込みたい内容が多すぎて、まとめるのに悪戦苦闘です。何度も推敲しながら、最も大事な言葉に絞り込みました。国語の授業で鍛えた要約力が光った瞬間です。仕上げには市章と市の形を背景にあしらい、「地域を元気にしたい」という想いを込めました。

一方、ホームページ班は5年生の「たぬきプロジェクト」での経験を活かし、活動を紹介するPRページを制作。中でもクラス全員の注目を集め、喝采を浴びたのが「たぬきの変身」を題材にした4コマ漫画でした。和菓子と洋菓子の融合という開発の目玉を、“合体”という発想でユーモラスに描き出し、見た人すべてを笑顔にしたのです。

漫画のイメージ

4. 発売目前、子どもたちは何を思う?

こうして完成した売り出し企画は、企画開発書にまとめられ、11月22日に職人さんへの贈呈依頼式が行われました。この日には地元新聞社も取材に訪れ、翌日の紙面で大きく報じられるほどの注目を集めました。

「小学生が授業で和菓子を考案し、商品化に挑戦する」──その事実は、地域に驚きと大きな期待をもたらしたのです。

いよいよ発売日は目前。2001(平成13)年12月1日には、販売初日。その数日後には地元テレビ局の取材も入り、子どもたちの挑戦がさらに広く発信されることになります。 果たしてその瞬間、子どもたちはどんな表情を見せるのでしょうか。

今回09の解説編(舞台裏)はこちら👇

▶︎ 第10話(最終話)に続く

舞台裏(解説編)マガジンはこちら👇👇


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