第8回 子どもたちを魅了した“初めての実物”
企画書を職人さんに託してからしばらく、子どもたちは売り出し企画の活動を続けながらも、心のどこかで“あの和菓子”の姿を待ち望んでいました。そんな中、「試作品ができあがった」との知らせが届きます。 いよいよ初めて実物と対面する瞬間・・・教室には言葉にならない興奮とまなざしがあふれていました。
今から約25年前の2001年(平成13年度)の実践です。第1回はこちら
今回の舞台裏(解説編)はこちら👇
1. 新たなチーム編成と待望の知らせ
和菓子開発チームを解散し、次のステップとして「売り出し企画チーム」を新しく編成しました。ネーミング+ポスター班、パッケージデザイン班、添え書き班、ホームページPR班に分かれ、それぞれが工夫を凝らして企画を練っていました。子どもたちの勢いは続いていましたが、やはり肝心の“実物”がないため、どこか想像力が追いつかない面もありました。
そんな折、最終企画書を提出してから1週間ほど経ったある日、ついに職人さんから「試作品が完成しました」との連絡が入ったのです。
2. 試作品検討会、職人の手仕事が語る物語
さっそく「試作品検討会」が開かれました。会の冒頭では、企画書贈呈式で子どもたちが出した要望に対して、どのように工夫や苦労を重ねたのかを職人さんが語ってくださいました。
(企画贈呈式で出した要望の詳細はこちら)↓
難しかった点として挙げられたのは、「丸いまんじゅうに丸い耳を取り付けること」と「すだち味のチョコレートの葉っぱ」の二つでした。
○「耳の部分は苦労しました。皮が薄いだけに、生地の一部を丸めて下から突き刺したり、皮の中に小豆を入れたりしましたが、うまくいきませんでした。最終的に同じ生地を使うことで、ようやくくっつきました。」
○「すだち味の葉っぱのチョコレートは、私の技術では作れないため、お菓子材料店を回って相談しました。ちょうどいい大きさの既製品チョコレート(クリスマスケーキの飾り)を見つけ、それにすだちの香料を加えました。」
「顔の焼き印は、針金を曲げてパーツごとに作り、目・鼻などを押しました。結果的に表情が一つひとつ違ってしまいましたが、それも面白いと思います。ただ、手間はかかるので、たくさん売れるようなら専用の焼き印を作ってもいいかもしれませんね(笑)。」
こうした丁寧な工夫の裏側に、子どもたちは耳を傾け、真剣に聞き入っていました。
3. 初めての実物に心を奪われて
いよいよ子どもたちの手に試作品が配られました。教室に広がったのは、驚きと喜び、そして真剣なまなざし。顔をほころばせる子、食べるのをためらう子、不思議そうにじっと見つめる子・・・それぞれが自分たちの企画した和菓子と初めて対面する瞬間を味わっていました。

「イメージ通りの仕上がりだね」「食べるのがもったいない」など、外見に対する評価は上々でした。透明な包装紙をなかなか開けず、いろいろな角度から見つめ続ける子の姿も印象的でした。
試食を終えると、改良してほしい点や新たな要望が次々に出されました。主な意見は次の三つでした。
葉っぱのチョコをもう少し大きくしてほしい
たぬきのデザインに口をつけてほしい
包装紙に皮がくっつかないようにしてほしい
これに対し職人さんは、その場でこう答えてくださいました。
○「葉っぱの大きさは、既製品にいくつか種類があるので、試してみて一番いいバランスを探します。」
○「口については・・・実は私のこだわりなのですが,ちょっと食べ物に口を描くのは抵抗がありまして。ただ、みなさんの希望もあるので、口をつけたものも作ってみて、比べて検討しましょう。」
○「包装紙に皮がくっつく件は、生地をもう少し研究してみます。」
どの意見にも「無理です」とは言わず、あくまで「挑戦してみます」と受け止めてくださった姿勢が、子どもたちの信頼を一層深めました。最後に職人さんが「しかし、最終的には職人のおじさんに任せてくれますか?」と問いかけると、子どもたちは大きくうなずきました。
授業後の振り返りでは、「すだちチョコの味をもっと濃くしてほしい」「あんこが少し甘かった」などの声も一部から寄せられ、これらも職人さんへ伝えることにしました。

4.次なる舞台へ・・・販売企画が動き出す
試作品との出会いを経て、子どもたちの取り組みは一気に熱を帯びました。各班が次々とアイデアを出し合い、BBSを通じて職人さんともやり取りを重ねながら、販売に向けた企画を具体化していったのです。
そして次回はいよいよ、子どもたちが意見を出し合い、「売り出し企画の決定」という大きな節目を迎えます。果たして、どんな販売企画が生まれるのでしょうか・・・。
▶︎ 第9話に続く
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