総合の力で守った、学校の時間 【総校①#05】/校長の挑戦―総合の力を信じて 第1章
オンラインがつないだ6年生の学びは、学校全体にも確かな手応えを残しました。
その流れを受けながら、私たちは総合の考えを生かしてコロナ禍の学校づくりに向き合っていきました。
前回の話👇
今から約5年前,2020年度コロナ禍での総合を核とした学校経営の実践です。
全3章のうちの第1章(2020年度)6月からのことです。
※注 今回も本文中の一部地名や商品名等は必要があれば,仮名(かめい)またはイニシャルにしています。
1.つながりの成功が広げた次の一歩
6年生が挑戦したZoomによるオンライン教室は、子ども・保護者・担任それぞれに大きな安心とつながりをもたらしました。
この成果が町教育委員会にも伝わり、もちろんすぐにではありませんが,タブレット導入に合わせて 学級数+1のZoomアカウント を整備していただけることになりました。
一方で、町校長会では毎月のように方針が更新されました。
5月には分散登校、後半には午前中登校、そして給食再開。
段階的に学校を動かしながら、6月1日にはようやく通常登校が戻ってきました。
しかし私の心には、安堵以上に
「ここからどう守るか。」
という静かな緊張が続いていました。
オンラインで得た学びを止めない流れ。
それを今度は現実の学校生活へとつなげていく。
その責任を感じていました。
2.子どもの安心は、知ることから始まった
学校再開直後に取り組んだのは、子どもたちの不安を和らげることでした。
養護教諭が作成した「コロナウイルス感染症とは」を使い、 各学級担任が感染症についてわかりやすく説明しました。
ウイルスとは何か
どう予防するのか
行動の理由は何か
この理解が、子どもたちの表情を少しずつ落ち着かせていきました。
「どうすればいいかがわかった」
という声も聞かれ、 正しい知識が安心を生む場面を何度も目にしました。

理解は、行動の基盤になる。
その当たり前のことが、この時ほど強く胸に刻まれたことはありません。
3.立場の違いが力になるとき
日々状況が変わる中、職員一人ひとりの判断だけでは限界がありました。
そこで私は、既存の企画委員会に養護教諭を加えた 「感染症対策委員会」 を立ち上げることを提案しました。
校長・教頭:学校全体の見通しと判断
教務・研修・生徒指導:教育活動の視点
事務長:物資・予算・ICT
養護教諭:健康と安全の専門性
それぞれが自分の立場から率直に意見を出し合いました。
視点が重なり、広がり、深まっていくことで、判断がより確かなものになっていきました。
この専門性が結び合う感覚は、昔観た映画『7人のおたく』のチームを思い出させました。
それぞれの特技が組み合わさって、一人では越えられない問題を解決していく。
その物語が妙に好きだったことを、ふと思い出したのです。
内容を知りたい方に向けて、参考までにAmazonのページを添えておきます。👇
学校も同じでした。
ひとりでは届かない視点も、違う立場のメンバーが集まれば補い合える。
その結果、教室・職員室・家庭を結ぶ一本の線が、以前より太く、確かなものになっていくのを感じていました。
委員会ではまず、学校としての考え方を示す 「感染症対策ガイドライン」 を作成し、職員と保護者に共有しました。
迷いの多い日々に、学校としての判断のよりどころが生まれました。
さらに国の補正予算を活用し、職員の声を整理したうえで事務長が町教委へ必要な物資を要望しました。
非接触体温計、消毒液、冬場の空気清浄機などが迅速に整備されました。
4.一つずつ、“できる形”を探して
春から夏にかけて、学校には毎日のように判断が求められました。
田植え体験は時期の問題で実施できず、 授業参観は分散方式。
運動会は内容を見直しながら実施方法を検討しました。
そして水泳学習。
文科省・県教委の資料にある プール水は塩素消毒されており安全性が高い という情報を踏まえ、接触を避ける動線や声かけの工夫を徹底しながら、 感染対策を講じたうえで実施することを判断しました。
一つの基準で「すべて中止」とすることは簡単です。
しかし、子どもたちにとって一年に一度しかない体験を守ることもまた、学校の大切な役割です。
安全と学び。
そのバランスを探る日々でした。
5.総合の学びが、日常に立ち上がった
感染症対策というと、大人が禁止事項を並べて終わらせてしまいがちです。
しかし私は、総合的な学習の時間で子どもたちが見せてきた姿を思い返していました。
課題を自分ごととして捉え、仲間と対話し、よりよい方法を探る。
この学び方は、コロナ禍でも生かすべきではないか。
再開直後に全学級で感染症についての正しい知識を共有したこと(第2節)が、ここで意味を持ちました。
理由を理解しているからこそ、子どもたちは「どうすればいいか」を自分で考える姿勢へ向かうことができました。
そこで私は対策委員会で提案しました。
「遊び方の工夫は、大人が決めるのではなく、子どもたち自身に考えてもらいましょう。」
学年ごとの話し合いでは、
話すときはマスクをつける
密集しない遊びにする
道具を触ったら手洗いをする
といった具体的なルールが、子どもたち自身から出てきました。
そして、ただ守るだけでなく、 どうすれば楽しめるかを前向きに考えながら、 新しい遊びのアイデアが次々と生まれていきました。

その姿を見ながら、私は静かに確信しました。
子どもたちは、学んだ考え方を必要な場面でちゃんと使う。
感染症という厳しい状況の中で、 総合的な学習の時間で大切にしてきた姿が自然に表れていました。
危機の中で育った、学校の学び方
臨時休業で1学期は7月31日までとなり、夏休みはわずか16日間。
その上、この年の11月には第三波と呼ばれる状況となり、全国でも過去最多の感染者数が報じられました。
文科省・県教委、町教委、校長会。
判断の材料は次々と更新され続けました。
しかし最後に決めるのは、 日々子どもに向き合う教職員の知恵と視点でした。
揺れ続けた一年でしたが、 「チーム柑川」として積み重ねた協働の姿勢は、 のちに学校の学びを支える静かな土台になっていきます。
次回(第6回)へ続く・・・👇👇
校長の挑戦 総合の力を信じて 第1章 マガジン👇👇👇
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