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クリックの先に広がる島の物語【島総①#09】/vol2お魚天国青波島編/離島の総合的な学習① 

図鑑づくりも、いよいよ大詰めを迎えました。
前回、ランキングの“???”やリンクの仕掛けなど、遊び心の芽がいくつも生まれた教室では、 その工夫をどう全体に広げていくかをめぐって、次々とアイデアが飛び交っていました。 

前回08の話 👇

こんな島です 。👇👇👇
【離島04編へのリンク】

離島勤務1年目総合的な学習の時間の実践記録です。 今から約20年以上前の2002年(平成14年)度のことです。
※注:本文中の一部地名や固有名詞・氏名等は仮名(かめい)にしています。


1.並んだ魚たちを前に、次の一歩が見えてきた

アンケート調査が終わるころ、子どもたちが作ってきた魚介類のページは少しずつ整い、 気がつけば34種類が机の上と画面の中に並ぶようになっていました。

写真の大きさを調整したり、特徴の文章を直したり、料理の説明をもう一度聞き直して追記したり……。
教室のあちこちで、静かだけれど熱のこもった作業が続いていました。

ひな形に沿ってページが積み上がるのを見るたび、「図鑑ができてきた」という実感が、子どもたちにも私にもゆっくりと広がっていきました。
しかし同時に、ここからが大切な段階でした。

集まったページを、どう“読ませる”のか。

これは前の時間にも何度か話題になったテーマです。
アナログ図鑑とは違い、デジタル図鑑はどこを入口にしてもよく、どの順番で読んでもいい。
その自由さをどう生かすかが、図鑑づくりの肝でした。

子どもたちが選んできた魚をどう見せるのか、 島の特徴をどう折り込むのか、 読者が迷わないための“道順”はどれなのか。
作業を進めるうちに、ページのつながりが図鑑の“表情”を決めることが、自然と見えてきました。
前回までの話し合いで方向性が固まっていた分類を、この日は実際のページとして形にしていきました。

50音順で並べた一覧ページ  ─ すべての魚介類が見える、いわば“辞典”のような入口。
アンケート結果ベスト10  ─ 島の人が選んだ代表格。ランキングを見るだけでワクワクします。
島独自の呼び名の魚たち  ─ “青波(仮名)ことば”ともいえるローカル名を楽しめるコーナー。
学術的な種類別分類  ─ こちらも全種が対象。生物としての理解を深める入口。

ページの中身はどれも、ひな形で決めた項目に沿って子どもたちが作ったものです。
入口が違うだけで、同じ魚でも“見え方”が変わる。
それこそ、デジタル図鑑のよさでした。

分類はどれも“新しいアイデア”ではなく、これまで子どもたちが調べたり、発表したり、比べたりしてきた学びの延長線上にあるものでした。
その断片を一つのページに置き換えていくと、図鑑全体の輪郭が、ゆっくりと立ち上がっていくのが分かりました。

机の上のメモ、黒板に書かれた分類案、画面の中のリンク。
それらが静かにつながっていく様子は、まるで小さな島の地図が新しい形で描き直されていくようでもありました。


2.図鑑の中に、島の景色が広がっていく

魚介類のページづくりが進むと、子どもたちの意識は少しずつ図鑑全体の世界観へ広がっていきました。

トップページは島への入口です。
日本地図から順にクリックしていくと青波島へたどり着き、そこに島の風景や名所の紹介文が並びます。
以前 ALT の先生へ発表した名所班のデータが再び息を吹き返し、画面の中に島の姿が重なっていく瞬間でした。
「この場所、きれいだったよね!」
「写真はもっと大きいほうが伝わるよ。」
そんな声が自然に飛び交い、島の景色がページとして形になるのを、子どもたちは楽しそうに眺めていました。

続いて取り組んだのは、これまでの学びをまとめた活動紹介ページです。
島探検、ALT への英語プレゼン、釣り活動、漁協でのインタビュー……。
活動を振り返りながら写真や文章を並べていく作業は、子どもたちにとって「自分たちが歩いてきた道」を確かめる時間でもありました。
モニターに映るページを見つめる表情は、どこか誇らしげでした。

そしてさらに、図鑑を読んでくれる人が“作り手の姿”を感じられるようにと、子どもたちはメンバー紹介ページにも力を注ぎました。
ここでは、自分を魚にたとえて色鉛筆でイラストを描き、その魚を選んだ理由や自分の好きなことを書き添えていきます。
「どうしてその魚にしたの?」
「へえ、そういう理由なんだ!」
ページを見せ合いながら笑い合う声が広がり、図鑑に“人の温度”が宿っていくのが伝わってきました。

魚を調べ続けてきたからこそ、その知識が今度は「自分を語る言葉」に変わっていく・・・。
そんな面白さが、教室の中に静かに満ちていました。


3.仕掛けづくりが進むたび、図鑑が息づいていく

「読んでくれる人が楽しめるものにしたい。」
その思いは、図鑑のあちこちに少しずつ形になっていきました。
代表魚ランキング、島ならではの呼び名、魚になぞらえた自己紹介……。
子どもたちは、それぞれのページに自分の工夫と想いを乗せていきました。

中でも盛り上がったのはクイズコーナーでした。
「クイズは8問でいこう!」
「ヒントのページへ飛べたらわかりやすいよ!」
画面上に問題を並べ、クリックすれば別ウインドウで答えが開き、さらに個別ページがヒントとして開く仕掛け。
デジタル図鑑ならではの“参加できる面白さ”に、子どもたちはすっかり夢中になっていました。

実際のバナー

冬休みが近づくと、時間との勝負も見えてきました。
それでも子どもたちは、一つひとつのページに丁寧に向き合い、“読んでくれる誰か”を思い浮かべながら仕上げていきました。

教室の机の上には、切り貼りしたメモや下書き、色鉛筆のイラスト。
画面には作りかけのページや張り巡らせたリンクの確認画面……。
子どもたちが生み出した数々の“材料”が積み重なっていきます。

そしてその材料が、やがてひとつの図鑑としてまとまっていくのだと思うと、 画面の向こうに未来のかたちが静かに浮かび上がってくるようでした。


今回の解説編09👇

▶次回 離島の総合的な学習編おさかな天国10へ続く👇👇

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