また来月、が最後になった日【島小②#12】/離島の小学校編Season2 12
県外での講演を終えて島に戻ったあと、風邪が長引いていました。
体調がすっきりしないまま過ごす学校の日々の中で、月に1度来ていた人との別れが、静かにやってきました。
前回の研修編の話👇
◆本シリーズについて(初めて読んでいただく方へ)
今から約20年以上前、2002年(平成14年)4月、県で唯一の離島にある小学校に赴任しました。
車も信号もなく、連絡船は1日3往復が命綱の島でした。
海の荒れる日は、移動そのものが大きな出来事になります。
島の仕事や暮らしは、天候と船の都合に大きく左右されていました。
少ない職員で学校を回し、小中の宿舎で生活をともにする日々が続きました。 予定通りにいかないことが、特別ではなく日常です。
また、島にはインターネット接続はなく、デジタルデバイドは広がっていくばかりでした。(※離島のデジタルデバイド編参照)
そんな中でも,総合的な学習の時間で子どもたちに自信をもたせてやりたいと考え,取り組んできました。(※離島の総合的な学習の時間編①参照)
その背景となるこの島での小学校編では、授業や行事だけでなく、島ならではの工夫や出来事、ここでしか味わえない体験の数々を、小さな学校と暮らしの記録として綴っていきます。
いよいよ2年目2003年の、Season2(2年目)6月のお話です。
離島の小学校編Season1(1年目の記録)マガジンはこちら
※本文中の地名・固有名詞は一部仮名としています。
1. 島に戻ってから
県外での講演を終えた直後から、どうも体の調子がよくありませんでした。
日曜の晩、授業参観の準備をして必要な資料を学校の個人メールアドレスへ送り、首にタオルを巻いて寝たのですが、月曜の朝には喉だけでなく鼻にもきていました。
連絡船に乗る前、途中で栄養ドリンクを1本買い、島に着く間際にそれを飲みました。
「これで1日は何とかなるだろう」と思いながら学校へ向かったのですが、全校体育の授業や午後の学校保健委員会の準備と進行、PTA参観の算数授業と予定は詰まっており、正直なところ、体はかなりきつかったです。
授業参観は無事に終わったものの、かなりつらそうに見えたのでしょう、校長先生からも「早めに帰ったら」と声をかけていただきました。
2. 病院のない島で過ぎていく時間
その夜は結局18時頃に宿舎へ戻り、夕食後すぐに横になりました。
腰が痛くなるほど寝ましたが、鼻と喉の違和感はなかなか抜けず、食後に風邪薬を飲む日が続きました。
病院のない島では、こういう時、薬を飲んで様子を見るしかありません。
それでも体調がすっきりしないまま、学校の時間は過ぎていきました。

本来ならプール開きの日でしたが、気温と水温が低く、雨も降っていたため延期にしました。
風邪をひいている自分自身の体調もあり、その日は無理をしない判断になりました。
全校給食の時間に、少し咳き込みながらも普段通りに過ごしていた1年生の姿(この時代はあまりマスクなんかしてなかった)や、「ちょっと調子が悪くて」と話していた教頭先生のこと、そして、乾燥したホテルの冷房と、遅くまで続いたプレゼン作りの疲れが、後から重なって思い出されました。
夏風邪は長引くと言いますが、梅雨の蒸し暑さの中での鼻水は、なかなかこたえるものでした。
3. 月に1度、島に来ていたALTの先生
そんな6月の中旬、2年間、月に1度、1泊2日で島に通ってくださっていたALTの先生が、帰国されることになりました。
毎回旅館に泊まりながら来島するその姿は、いつの間にか島の学校の風景の一部になっていました。
授業では、いつもゲーム形式を取り入れ、英語が得意な子もそうでない子も、自然に声を出せる空気をつくってくれていました。
子どもたちにとっては、英語の先生というより、昼休みに一緒にサッカーをしてくれる、スポーツマンのお兄さんのような存在だったのだと思います。
そして昨年度は、総合的な学習の時間に、島の名所や魚を紹介した相手でもありました。
「また来月」と言えば本当にまた会えるような、そんな時間が、もう続かないことを、子どもたちもどこかで感じていたように思います。
4. 見送りの港で残った気持ち
最後の来島日も、4校時はいつも通り小学校で授業を行いました。
特別なことはせず、これまでと同じようにゲームをし、笑い声が教室に広がっていました。
昼休みには隣の中学校へ移動し、小中の児童生徒と教職員でお別れ会を開きました。
ロールケーキを囲み、生徒会進行のゲームで場が和み、会の終わりには、小学校からは寄せ書きの色紙を、中学校からは一人一人が書いた手紙を手渡しました。
最後の連絡船が出る時刻になると港へ向かい、子どもたちと一緒に紙テープを持って見送りました。
婦人会の方々の姿もあり、船が離れていく中で、ALTの先生はいつまでも手を振っていました。

紙テープがほどけ、船が小さくなっていくのを見送りながら、子どもたちや島の人たちの温かな心が、ALTの先生にも届いていたのではないかと感じました。
体は本調子とは言えない6月でしたが、こちらも自然と、幸せな気持ちになりました。
※ 次回に続く
離島の小学校編Season2(2年目2003年度)はこちら👇👇
離島の小学校編Season1(赴任1年目2002年度)はこちら👇👇👇
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