その日、アワビがやってきた 【島総②#11】/vol3 アワビいっぱい編/離島の総合的な学習②
前回のすみかづくりに続き、今回は電話や準備、現地でのやり取りまで子どもたち自身に任せて進めました。
自分たちで動くことを大切にした取組です。
前回の話 離島の総合的学習の時間②#10👇
本シリーズについて(初めて読んでいただく方へ)
これまでの実践してきた総合的な学習の時間の記録です。
今回は、県内で唯一の離島にある小学校に赴任して2年目、2003年度(平成15年度)に行った総合的な学習の時間の実践記録です。
交通も通信も限られた島で、子どもたちにどんな力を身に付けさせたいのかを考えながら、地域と関わる学びやICTを活用した取組を進めてきました。
1年目には、島の海の魚介類を調べてまとめた「おさかな天国 海辺のデジタル図鑑」に取り組み、マイタウンマップ・コンクールで農林水産大臣賞をいただきました。 ▶ おさかな天国(離島の総合的な学習の時間①)
この「アワビいっぱい編」では、年度後半のアワビの中間育成・放流の実践を軸にしながら、そこへ至るまでの前半の学びとして、他地域との交流、ICTスキルの定着、発信に向けた準備段階も含めて、2年目の1年間を通した取組を記録しています。
単元単位ではなく、「学びが形になるまでの時間」そのものを描いています。 ※本文中の地名・学校名・人名等は仮名を使用しています。
1 自分たちでつくる「すみか」
2003年10月「アワビいっぱい大作戦」は、いよいよ稚貝の受け取りを目前に控え、準備を急ピッチで進めていました。
保護者への校外学習の案内も発送し、外に向けた動きも整ってきました。
教室では、アワビを入れておくいけすづくりに取りかかりました。
漁協で教えていただいた方法をもとに、子どもたち自身の手で進めていきます。
枠となる塩ビパイプの組み立ては男子が担当し、外側の網をひもで綴じていく作業は女子が担当しました。
それぞれの役割を持ちながら、少しずつ形になっていく様子が教室に広がっていきます。

枠は時間内に完成しましたが、網の作業は途中までで時間切れとなりました。続きは次の機会に持ち越しです。
こうして自分たちの手で準備を進めていくことは、これから世話をしていくという実感につながっていきます。
まだ準備は続きますが、その中で「自分たちの活動だ」という意識をどう育てていくか、仕掛けを考えていきたいと思っていました。
2 自分たちでつなぐ一歩
稚貝の受け取りを翌日に控えた総合的な学習の時間は、話し合いが中心となりました。
やるべきことは多くありましたが、その一つひとつを子どもたち自身で考えることを大切にしました。
やらされる活動ではなく、自分ごととしてきちんととらえさせたかったからです。
まずは、栽培センターへの電話です。
前日に連絡を入れる約束になっていたため、子どもたち自身に任せることにしました。
何を伝えるのか、どんな言い方をするのか、それぞれが考え、言葉にしていきます。
実際の電話では、目的やお願いする内容もきちんと伝えることができました。
少し緊張しながらも、自分たちの言葉でやり取りする姿が見られました。
続いて、翌日に現地で質問する内容を考えました。
これから自分たちが育てていく以上、必要なことを自分たちで考える必要があります。個人で考え、全体で共有しながら、視点を広げていきました。
放課後には、完成途中のいけすを全員で漁協まで運びました。
子どもたちの手で水槽へと沈め、いよいよ受け入れの準備が整いました。

ここまで来て、ようやく一歩目です。
3 本物と出会う一日
当日は、朝一番の連絡船で本土へ向かいました。
校長先生とともに車で移動し、1時間ほどかけて栽培センターへ向かいます。
到着すると、アワビがどのように生まれ、育っていくのかを順を追って説明していただき、施設の見学も行いました。
目の前にある一つひとつが、これから自分たちが関わる対象として実感を伴って迫ってきます。
見学の後には、子どもたちからの質問にも丁寧に答えていただきました。
6月に事前に訪問していたこともあり、スムーズに受け入れていただけたことも大きかったと感じています。
今回いただいたのは、クロアワビとメガイアワビでした。
さらに、ここでは育てていないサザエの稚貝も少し分けていただきました。
初めて見るサザエの稚貝は、ぱっと見ただけでは小さな巻き貝のようにも見えます。

発泡スチロールのケースに入れて運び、再び1時間かけて港へ戻りました。
4 始まった「大作戦」
昼の便で島に戻ると、そのまま漁協の水槽へと移しました。
準備してきたいけすに、自分たちの手で入れていく瞬間です。
午後からは、今後の飼育についての話し合いを行いました。
エサはどうするのか、当番はどう回すのか、記録はどのように残していくのか。
考えることは多くあります。
1日がかりの活動となりましたが、それだけの価値のある体験になりました。
ただ体験して終わるのではなく、ここからどのように学びとして積み重ねていくかが重要になります。
「アワビいっぱい大作戦」は、ここからが本当のスタートです。
これからの学びを、しっかりと組み立てていこうと思っています。
次回に続く・・・👇
総合実践のvol3、アワビいっぱい編(マガジン離島の総合的な学習の時間②)👇👇
総合実践のvol2、おさかな天国(マガジン離島の総合的な学習の時間①)👇👇👇
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