アポなしから始まった「大作戦」 【島総②#10】/vol3 アワビいっぱい編/離島の総合的な学習②
2003年秋、前回は、テレビ会議や交流の意味を考え直しました。
そして今回は、総合の単元がいよいよ動き出します。
前回の話 離島の総合的学習の時間②#09👇
本シリーズについて(初めて読んでいただく方へ)
これまでの実践してきた総合的な学習の時間の記録です。
今回は、県内で唯一の離島にある小学校に赴任して2年目、2003年度(平成15年度)に行った総合的な学習の時間の実践記録です。
交通も通信も限られた島で、子どもたちにどんな力を身に付けさせたいのかを考えながら、地域と関わる学びやICTを活用した取組を進めてきました。
1年目には、島の海の魚介類を調べてまとめた「おさかな天国 海辺のデジタル図鑑」に取り組み、マイタウンマップ・コンクールで農林水産大臣賞をいただきました。 ▶ おさかな天国(離島の総合的な学習の時間①)
この「アワビいっぱい編」では、年度後半のアワビの中間育成・放流の実践を軸にしながら、そこへ至るまでの前半の学びとして、他地域との交流、ICTスキルの定着、発信に向けた準備段階も含めて、2年目の1年間を通した取組を記録しています。
単元単位ではなく、「学びが形になるまでの時間」そのものを描いています。
※本文中の地名・学校名・人名等は仮名を使用しています。
1 動き出すきっかけは、思いがけず
日曜の3便で自宅のある本土から島に戻り、荷物を運びながら宿舎へ向かっていると、漁協の組合長さんから声をかけられました。
アワビの件で相談していたこともあり、その入れ物についての話でした。
用意してあったものは壊れているが、簡単に作れるので子どもたちと一緒に作ってみたらどうか、という提案でした。
思いがけない話でしたが、これは願ったり叶ったりの展開でした。
これまで頭の中で組み立ててきた構想が、一気に現実へと近づいてきたような感覚でした。
ありがたくお礼を伝えながら、「いよいよ始まるな」という実感が湧いてきました。
2 名前がついたとき、動き始める
次の日の総合的な学習の時間は、運動会後でしばらく取れていなかった分を調整し、ようやく確保したものでした。
ここで、いよいよ本格的にスタートしようと考えていました。
すでに前の時間に、子どもたちとこの活動の名前は決めてあります。
少し大げさに言えばプロジェクトですが、子どもたちらしく、それでいてやる気が伝わる名前になりました。
「アワビいっぱい大作戦」
この名前の中には、子どもたちの願いがそのまま込められています。
やらされる活動ではなく、「やってみたい」から始まる単元。
その手応えを感じていました。
この時間は、まだ稚貝を受け取る前の段階だったため、受け入れ後を見通した準備を中心に進めました。
また、交流校から掲示板に書き込みもあったので、その返事を書く時間も取りました。
そして、時間の終わりに一つ動きを入れることにしました。
3 アポなしで始まる、本物との出会い
そのまま子どもたちと一緒に、漁協へ向かいました。
いわゆるアポなしです。
とはいえ、事前に教師側から話は通してあったので、全くの飛び込みというわけではありません。
場所も近く、電話をするよりも直接行った方が、子どもたちにとっても実感が伴うと考えました。
島では、子どもたちと地域の人との距離はもともと近いものです。
かしこまった関係ではなく、「行って話す」という感覚も、この場所ならではの自然な形でした。
この日の目的は、子どもたち自身の言葉で、施設を使わせてもらうお願いをすることでした。
しばらく待つことになりましたが、忙しい中でも対応していただき、場所を提供していただけることになりました。
さらに、「実際にアワビを入れる場所を作ってみたらどうか」と声をかけていただきました。
ここまでは、ほぼこちらの想定通りの流れでした。
ただ一つ違っていたのは、タイミングでした。
4 一気に動き出した「大作戦」
本来は数日後に行う予定だった活動が、その場の流れで「今日やろう」ということになりました。
一度学校へ戻り、帰りの会を済ませ、放課後の陸上練習を早めに切り上げて、再び漁協へ向かいます。
時間は17時前、授業時間に収まってない島ならではの時間の使い方です。
漁協では専務さんが中心となり、子どもたちにアワビの住みかとなる入れ物の作り方を教えてくださいました。
教師はというと、ほとんど手を出さず、ひたすらビデオを回しているだけでした。
塩ビパイプで囲いを作り、逃げ出さないように網をくくり、アワビがくっつく場所を考える。
実際の作業を通して、一つひとつの意味を教えていただきながら進めていきました。

材料がすべてそろっていなかったため、この日は途中まで作り、残りは学校へ持ち帰ることになりました。
さらにその日のうちに、栽培センターへも連絡を入れました。
6月に訪問したことを覚えてくださっていて、話はスムーズに進み、受け取りの段取りも見えてきました。
あとは、住みかを完成させること、そして子どもたち自身で連絡を取ることです。
気付けば、すべてが一気につながっていました。
「アワビいっぱい大作戦」、いよいよ本格的に動き出しました。
次回に続く・・・👇
総合実践のvol3、アワビいっぱい編(マガジン離島の総合的な学習の時間②)👇👇
総合実践のvol2、おさかな天国(マガジン離島の総合的な学習の時間①)👇👇👇
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