かしこくなるのは、だあれ?|AIのほんとうのおはなし #1
―― はじめての「しりとりロボット」
AIはかしこくならない。「使い方(おまじない)」がすべて、ということを知る。
1. くまくん、すごいロボットをもらう
くまくんが、誕生日プレゼントにピカピカの「しりとりロボット」をもらいました。
「すごいぞ!このロボットは、どんな言葉でもしりとりができるんだ!」
2. さいしょの「つまずき」
くまくんは、さっそくロボットにはなししかけました。
くまくん:「ねえ、しりとりしよう!りんご!」
ロボット:(シーン……)
ロボットは、だまったままです。
そこへ、りすちゃんがやってきました。説明書を読んで、こう言いました。
「わかった!このロボット、すごく力持ちなんだけど、ちょっぴり恥ずかしがり屋さんなんだって。だから、『何をしていいか』をちゃんと教えてあげないと、ドキドキして動けなくなっちゃうんだ!」
りすちゃんは、お手本を見せてくれました。
「あなたは世界一のしりとり名人です。『りんご』から始めてください」
すると、どうでしょう!
ロボット:「ゴリラ!」
くまくんは、大喜びでしりとりを続けました。
3. くまくんの、あたらしい挑戦
次の日、くまくんは新しい遊びを思いつきました。
「そうだ!『くだもの』の名前だけでしりとりをしたら、もっと面白いぞ!」
くまくんは、ロボットに言いました。
「くだものだけでしりとりだよ!いくよ、すいか!」
ロボット:「かめ!」
くまくん:「あーん、ちがうよ!かめはくだものじゃない!」
ロボット:「めだか!」
ロボットは、普通のしりとりを続けてしまいます。
「だめだ…やっぱり、このルールはむずかしいんだ…」
くまくんがしょんぼりしていると、またりすちゃんがやってきました。
4. 「おまじない」の本当のちから
はなしを聞いたりすちゃんは、にっこり笑いました。
「くまくん、おしい!その新しいルールも、最初のおまじないでぜんぶ言っちゃうのがコツなんだよ」
りすちゃんは、もう一度お手本を見せてくれました。
「あなたはくだもの博士です!これから、くだものの名前だけでしりとりをしてください。最初は『すいか』から!」
ロボットは、少しウィーン…と考えたように見えましたが、はっきりと答えました。
ロボット:「おまかせください、くだもの博士です。すいか…か…かき!」
くまくん:「やったー!くだものの名前だ!」
くまくんが「きうい!」と続けると、ロボットはちゃんと「いちじく!」と、カンペキにくだものだけでしりとりを返してくれました。
5. ほんとうに、かしこくなったのは…
遊び終わったくまくんは、大興奮で言いました。
「りすちゃん、見て!僕が『くだもの縛り』っていう難しいルールを教えたから、ロボットはそれをちゃんと勉強して、カンペキに覚えてくれたんだ!僕が育てたから、こんなにかしこくなったんだよ!」
すると、りすちゃんは、静かに首をふりました。
「ううん、くまくん。やっぱりちがうんだ」
「ロボットは、『くだもの』が食べ物だってことすら、1ミリもわかってないよ」
くまくん:「ええーっ!?だって、一度も間違えなかったじゃないか!」
りすちゃんは、くまくんの最後のおまじないを指さしました。
「それはね、ロボットがかしこいからじゃなくて、くまくんの『おまじない』がカンペキだったから。ロボットは、ただその通りに動いていただけで、間違えようがなかったの」
くまくんは、はっとしました。
「そっか…!ロボットがかしこくなったんじゃなくて、僕の『おまじない』が、上手になったってことなんだ!」
まとめのことば
ロボットが、かしこくなったように見えたのは、ぜんぶ、きみの「おまじない」が上手になったから。
「しりとり名人になって!」というおまじないで、ロボットの役割を決めてあげた。
「くだものだけ!」というおまじないで、ロボットが使う言葉のルールをぜんぶ教えてあげた。
すごいのは、むずかしいルールを覚えたAIじゃない。
AIがまちがえないように、カンペキな「おまじない」を考えた、きみ自身なんだよ。
【りすちゃんのひみつメモ:上手なおまじない、3つのコツ】
「あなたは〇〇です」 と、役を決めてあげる。(例:しりとり名人、くだもの博士)
「〇〇から始めて」 と、スタートを教えてあげる。
「〇〇しか使っちゃだめ」 のように、大事なルールをぜんぶ、最初に教えてあげる。
つぎの「なぞ」へ
くまくんは、すっかり納得しました。
「なるほど!ぜんぶ、僕のおまじないのおかげだったんだね!」
すると、りすちゃんが、ふしぎそうに首をかしげました。
「でもね、くまくん。まだ一つ、大きななぞが残っているんだ」
「ロボットは、『くだもの』が何か全く知らないはずなのに、どうして『かめ』じゃなくて、ちゃんと『かき』がくだものだって、わかったんだろうね?」
そのひみつは、ロボットが頭の中に持っている、ふしぎな「ことばの地図」にかくされています。
次回は、その地図を、いっしょにのぞいてみましょう。
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