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【幸次殿はどの娘の婿になりますか】第2章 「西園寺家次女『千鶴』― 恋は、始まる前から終わっている ―」

このシナリオは報われなかった恋を読む場所に書く恋愛シナリオのメインヒロインを決める為の企画シナリオで、各章の❤の数にてメインヒロインを決める予定です
スキの対象は以下の4通りです

各章のヒロインの話の❤の数
各章のイメージ楽曲❤の数(SoundCloud内)
各章のX投稿❤の数(#迷言さんの小説紹介内)
各章のX投稿❤の数(#迷言さんの楽曲紹介内)

締切は、この物語を執筆予定の26年1月31日迄
果たして、どのヒロインの物語になるか?

それでは、第2章 「西園寺家次女『千鶴』― 恋は、始まる前から終わっている ―」を千鶴のイメージ楽曲と共にお楽しみ下さい

↓千鶴のイメージ楽曲↓

縁談二日目
場所は東雲家本邸、庭に面した広間だった。窓は開け放たれ、季節の風が畳を渡っていく
堅苦しい場は苦手だから、と千鶴さんの希望したようだ

広間に入ると、彼女はすでにそこにいて、まるで長い間待っていた人に会えたように微笑んだ

「また、お会いできましたね」

・・・一昨日ぶりだ
だが、その言い方には、再会というより“再演”の響きがある

「そうですね。一昨日以来です」

そう答えながら、私は小さな違和感を覚えた
否定はしない。ただ、胸の内に留める

千鶴さんは距離が近い
声は柔らかく、視線を外さず、相槌が多い
会話は些細なところから始まった

「今日は、照明が少し柔らかい幕ですね」

私は思わず、庭の方を見た
確かに日差しは穏やかだが、“幕”と言われると、今いる場所が舞台の一部のように感じられる

「庭の木も、主役みたいに光を浴びています」

彼女はそう言って、葉の揺れを眺める
ただの庭木が、役を与えられた存在に変わる

「幸次さん歩き方、変わりました?一昨日より、間を取るようになってますよ」

観察は正確だ
だがそれは評価ではなく、演出の確認に近い

(……この人、現実を見ていないわけじゃない。ただ、全部を舞台にしている)

私は話を“今”に戻そうとした

「今日は、千鶴さんのことを知れればと思って――」

すると彼女は、少しだけ困ったように笑う

「幸次さん“今”は、すぐに過去になりますよ」

そして、畳に映る光を指でなぞるように続けた

「私は、上演が終わった後の方が、安心できるんです」

彼女の感情は、すでに回想の形を取っている
起きている最中の出来事ではなく、終わった場面として胸に収められている

「もしも、この幕が今日で下りるなら・・・いつか、観客席から思い返した時にきっと、良い場面だったって言えますよね」

完成している。
感情が、すでに最後まで書かれている

千鶴さんは、穏やかな声で続けた

「例え・・・配役が違っていて、もし、この場面で退場することになっても」

私は、思わず口を挟んだ

「……それは、少し先の話ではありませんか」

千鶴さんは目を丸くした

「……あら、そうでしょうか?」

本気で驚いている

「だって、縁談って、そういう舞台でしょう?」

失う前提
終わりが決まっていなければ、演じられない

彼女の中では、恋は“始めるもの”ではなく、“振り返るもの”

私は答えを出さず、ただ頷いた
否定しない。それが、彼女の芝居を続けさせてしまうと分かっていても

庭を抜ける風が、少し強くなった

「この風も、いつか思い出されますね」

千鶴さんはそう言い、私はそれを否定しなかった

この人の恋は、もう終わっている
終わっているからこそ、こんなにも丁寧に語られてしまうのだ

会話がひと通り巡った頃、千鶴さんはふっと姿勢を正した
それまで舞台を眺める観客のようだった目が、急にこちらを捉える

「私……」

声の調子が変わる
次に来る台詞を、すでに何度も口にしてきたかのような、慣れがあった

「あなたのことを、好きになってしまう気がするんです」

あまりにも早く、あまりにも迷いがない
私は言葉に詰まった

「……それは、まだ、分からないのでは」

慎重に選んだつもりの言葉だった
だが、千鶴さんはすぐに首を振る

「分からないから、好きなんです」

言い切る

「分かってしまったら……終わってしまいますから」

その理屈が、彼女の中では完全に成立しているのが分かった
それを分かったうえで私は、否定しなかった

「そういう考え方も、ありますね」

その一言が、致命的だった

千鶴さんの表情が、ぱっと明るくなる
距離が、半歩だけ縮まる
声が、ほんの少し低くなった

「……やっぱり、優しい方ですね」

その言い方は、評価でも確認でもない
すでに受け入れられた後の台詞だった

(……違う。私は、受け止めただけだ)

だが、彼女にとっては同じ意味らしい

「もしも、このまま進んだら・・・いつか、今日のことを振り返って、きっと、ああいう始まりだったね、って言うんでしょうね」

言葉が止まらない
感情が、次から次へと舞台に上がってくる

(この人は、感情を投げて、受け止めてもらうことで恋を成立させている)

私はそう悟った
だが、だからといって距離を取ることは、なぜかできなかった

別れの時間が来ると、千鶴さんは晴れやかな顔で言った

「今日は、きっと忘れられない一日になります」

その声には、確信があった
未来の回想として、もう完成している

「……そうかもしれませんね」

そう返しながら、胸に残ったのは安堵ではなかった
疲労だ
心を受け止め続けた後の、静かな消耗

(……この人は、恋をしているのではない。“恋をしている自分”を、最後まで演じきろうとしている)

庭の向こうで、千鶴さんはまだ舞台に立っているのだろう
幕が下りるその瞬間まで

その選択がーどんな役を与えてしまったのかを考えながらー

このシナリオはメインヒロインを決める為の企画シナリオです
他のヒロインも見て頂けるとありがたいです

↓企画説明リンク一覧記事↓

主人公『幸次』の未来を決めるのは…『貴方』です

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