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【幸次殿はどの娘の婿になりますか】第1章 「西園寺家長女『綾乃』― 理性は恋を許可しない ―」

このシナリオは報われなかった恋を読む場所に書く恋愛シナリオのメインヒロインを決める為の企画シナリオで、各章の❤の数にてメインヒロインを決める予定です
スキの対象は以下の4通りです

各章のヒロインの話の❤の数
各章のイメージ楽曲❤の数(SoundCloud内)
各章のX投稿❤の数(#迷言さんの小説紹介内)
各章のX投稿❤の数(#迷言さんの楽曲紹介内)

締切は、この物語を執筆予定の26年1月31日迄
果たして、どのヒロインの物語になるか?

それでは、第1章 「西園寺家長女『綾乃』― 理性は恋を許可しない ―」を綾乃のイメージ楽曲と共にお楽しみ下さい

↓綾乃のイメージ楽曲↓

縁談初日
場所は東雲家本邸、書院風の応接間だった

正座した瞬間、空気が切り替わった
綾乃さんは、座るという行為そのものを開始合図にしていた
背筋は垂直、視線は一直線。沈黙すら計算に含めている

挨拶を終えると、彼女は一拍も置かずに口を開いた

「本日は、感情的な雑談は省かせていただきます」

即断即決
私は一瞬戸惑ったが、否定はしなかった

「承知しました」

綾乃さんはわずかに頷き、すぐに本題に入る

「まず、西園寺家の現状から説明します」

声は低く、均一だった

「我が家には、跡取りとなる男児がいません。これは感情論ではなく、事実としての問題です。放置すれば、十年以内に家名の存続が不安定になる」

言い切る
そこに悲壮感はない。ただの前提条件だ

「そこで婿を迎える選択肢が生じます。幸次様が婿入りされた場合、立場は明確です。名は西園寺を継ぎ、対外的な代表権は私が保持する。役割分担は合理的です」

さらりと、未来の私の立場が確定していく

「東雲家への影響も無視できません。東西両家は長年の競合関係にありますが、婚姻によって対立は協調へ転じる。政治的、経済的な摩擦は減少し、双方にとって利益が出る」

そこまで言って、綾乃さんは一度、視線を落とした

「……以上が、制度面の話です」

ほんの僅かな間
次の言葉を選んでいるのが分かった

「次に、私が妻になった場合の利点と欠点」

淡々と続ける

「利点は、感情に振り回されない点です。家の運営、対外折衝、判断の速度。いずれも安定を提供できます」

「欠点は――」

一拍、遅れる

「私が、あなたの人生を優先しない可能性が高いことです」

言葉自体は冷静だった
だが、その一瞬だけ、声の高さが僅かにずれた

「妻としての役割は果たします。ただし、感情的な満足は保証できません。それでも構わないのであれば、この縁談は成立します」

理論は完璧だった
自己犠牲を最適解として提示している

(……本当に、ここまで割り切れるのか)

私はそう思い、口に出した

「……綾乃さんご自身は、この話をどう思われていますか?」

彼女は、ほんの一瞬だけ言葉を探した

「私個人の感情は、判断材料として不要で排除すべき変数です」

即答
その言い方が、胸に小さく引っかかる
綾乃さんは気にせず続けた

「今の質問は、誠実性が高く、感情に流されにくい性質は、高評価です」

評価されている
だが、選ばれているのは“私”ではない

(……私じゃなくて、私の性質だ)

そう思ったのに、不思議と不快ではなかった
むしろ、安心している自分がいる

綾乃は最後に、ぽつりと言った

「……想定より、扱いが難しいですね」

すぐに言い直す

「いえ、失礼。想定外の要素が、少し多い」

その“少し”が、すでに理論を狂わせ始めていることを、彼女だけが理解していない

私は結論を出さず、ただ頷いた
今日も判断は保留だ

だが確信だけはあった
この人の理性は、もう安全域を外れている

話が一段落した頃、綾乃さんは膝の横に揃えていた封筒から、書類を一枚取り出した
折り目のない紙を、寸分違わぬ角度でこちらに向ける

「こちらが、婚姻後の生活想定です」

私は視線を落とす
項目ごとに整然と書かれている

「まず、あなたの役割から説明します」

綾乃さんは淡々と続ける

「家内において、あなたは“当主配偶者”ではありません。西園寺家の内部調整役です」
「感情的な衝突が起きやすい場に出る必要はありません。代わりに、利害調整や折衝の事前整理を担っていただきます」

当主ではない
だが、何もしないわけでもない

「次に、西園寺家内での立ち位置ですが……」

彼女は一度、指で紙をなぞった

「あなたは中立です。姉妹の誰とも対立しない位置に立つ。そのため、決定権は持たず、判断材料のみを提出していただきます」

責任はあるが、主導権はない
非常に“安全”な配置だった

「表に出る場と、出ない場も分けます」

声の調子は変わらない

「対外的な会合、儀礼、象徴的な場には私が出ます」
「あなたは裏方に徹し、発言は求められた時のみ。意見は事前に共有してください」

そこまで言ってから、付け加える

「あなたが目立つ必要はありません。その方が、長期的に安定します」

私は思わず、苦笑いを噛み殺した
ここまで具体的なのに、本人の姿が一切含まれていない

「以上が、私が妻になった場合の構造です」

そして、彼女は結論を出す

「――ですが」

一拍置いて

「あなたは、私を選ぶべきではありません」

理由は即座に提示される

「私は合理性を優先しすぎています。配偶者として、柔軟な対応が取れない」
「しかし、あなたは、それを受け入れてしまう性質を持っている。それは適合ではなく、消耗です」
「よって、情緒面を考慮すれば、他の妹の方が適しています」

完璧な自己否定だった
自分を排除するためだけに組まれた理屈

(……この人、“選ばれない未来”まで組み込んでいる)

私は、予定にない行動を取った
書類を返さず、畳の上に置いたまま言う

「綾乃さん少しだけ、予定にない質問をしてもいいですか?」

綾乃さんは一瞬、言葉を止めた

「……はい。想定内であれば」

条件付きの了承
その言い方が、なぜか少しおかしい

「……もし、家の事情が一切なかったとして」

間を置いて、続ける

「それでも、今日のあなたは俺と会おうとしましたか」

沈黙

綾乃さんはすぐに答えなかった
視線が止まり、思考が空転する

理論が、次の式を探している
やがて、いつもの調子に戻る

「その仮定は、現実的ではありません」

正しい
だが、その瞬間だけ、視線がわずかに逸れた

(この人は、自分の感情を一番信用していない)

私はそう思い、結論を出さなかった

「分かりました」

書類を丁寧に揃え、元の位置に戻す

「今日は、ここまでで大丈夫です」

綾乃さんは小さく頷いた

「本日の面会は、有意義でした」

評価なのか、確認なのかは分からない

応接間を出る直前、背中に視線を感じた
振り返ると、彼女はすでに次の計算に戻っているように見えた

けれど確かに
理性は、一瞬だけ遅れた

私はその事実を胸にしまい、今日も判断を保留する

この人は正しい
だからこそ、危うい

そして―その危うさから、距離を取ろうとは、思えなかった―

このシナリオはメインヒロインを決める為の企画シナリオです
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主人公『幸次』の未来を決めるのは…『貴方』です

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