【幸次殿はどの娘の婿になりますか】第3章 「西園寺家三女『澪』― 沈黙は、すでに答えを知っている ―」
このシナリオは報われなかった恋を読む場所に書く恋愛シナリオのメインヒロインを決める為の企画シナリオで、各章の❤の数にてメインヒロインを決める予定です
スキの対象は以下の4通りです
各章のヒロインの話の❤の数
各章のイメージ楽曲❤の数(SoundCloud内)
各章のX投稿❤の数(#迷言さんの小説紹介内)
各章のX投稿❤の数(#迷言さんの楽曲紹介内)
締切は、この物語を執筆予定の26年1月31日迄
果たして、どのヒロインの物語になるか?
それでは、第3章 「西園寺家三女『澪』― 沈黙は、すでに答えを知っている ―」を澪のイメージ楽曲と共にお楽しみ下さい
↓澪のイメージ楽曲↓
縁談三日目
場所は東雲家本邸の、奥まった離れだった。窓は少なく、庭の音もほとんど届かない
澪さんの希望で選ばれた、「静かな場所」
部屋に入ると、彼女はすでに座っていた
背筋は伸び、視線は正面。こちらを見ているのに、迎える気配はない
「……本日は、よろしくお願いします」
挨拶をすると、澪さんは小さく頷いた
「よろしくお願いします」
それきり、会話は途切れた
沈黙
不自然なほど、長い
(……私が、話すべきか?)
そう思い、無難な話題を選ぶ
「今日は、少し涼しいですね」
「……はい」
「移動は、お疲れではありませんか?」
「……いいえ」
「この部屋、落ち着きますね」
「……そうですね」
返事はある
だが、それ以上、何も足されない
感情が……見えない
けれど、視線はずっとこちらにある
(……聞いていないわけじゃない)
沈黙が続くたび、こちらの呼吸や姿勢まで意識させられる
私は、耐えきれず、少し冗談めいた口調で言った
「……静かすぎて、何を話せばいいのか迷いますね」
澪さんは、少し首を傾げた
「……前回より、話す前に息を吸う回数が増えました」
一瞬、意味が分からなかった
「……え?」
澪さんは淡々と続ける
「緊張している時の癖です。初めてお会いした時には、見られませんでした」
背筋が冷える
(……見られていた?)
私は思わず姿勢を正した
すると、澪さんの視線が、わずかに動いた
「今、背筋を伸ばしました。理由は……私の発言です」
当たり前の事実を述べているだけの声
だが、その正確さが、妙に重い
「……そんなに、観察されていたんですか?」
聞くと、澪さんは否定もしない
「記録していただけです」
「何を……ですか?」
「……あなたを」
それ以上は、語られない
沈黙が戻る
だが、先ほどまでとは質が違う
(……何も起きていないはずなのに)
こちらの中だけが、騒がしい
私は、無意識に指先を組み替えていた
「今…指…右を上にしました」
「前回は、左でした」
思わず苦笑する
「……そこまで分かると、落ち着かないですね」
澪さんは、少しだけ考える素振りを見せた
「落ち着かないのは、変化があるからです」
「変化……ですか?」
「はい。比較対象が増えています」
その言葉の意味を、私はまだ理解できていない
だが、分かってしまうのが、少し怖かった
私は否定も、距離を取ることもできず、ただ座っていた
澪さんの沈黙の中で
何も起きていないはずなのに、すべてが、すでに観測されている

しばらく沈黙が続いたあと、私は慎重に口を開いた
「……私のことを、どう思っていますか?」
澪さんはすぐに答えなかった
ほんの少しだけ考え、静かに言う
「判断は、まだです」
淡々と
「記録が、足りません」
評価でもない
好意でもない
ただの未完のデータ
私は言葉を失った
沈黙が戻る
その中で、澪さんは小さな布包みを取り出した
色味のない、簡素な包み
説明はない
ただ、こちらに差し出される
受け取って開くと、中には薄い手帳があった
最初のページ
初対面時の私の言動
挨拶の声量
視線の逸らし方
次のページ
沈黙の長さ
指先の動き
呼吸の間
さらにページをめくる
姉様達と会った後の変化
話す速度
沈黙の質
すべてが、淡々と書かれている
感情を示す言葉は、一つもない
「……これは」
言いかけた私に、澪さんは静かに答える
「あなたです」
それ以上の説明はない
最後のページに辿り着いた時、私は気づいた
そこだけ、文体が違う
「観測対象に、例外が発生している」
そして、その下
「原因:私である可能性」
私は、思わず手帳を閉じた
澪さんは、目を伏せたまま、ぽつりと付け加える
「……困っています」
声の調子は変わらない
だが、その一言だけが、他と違って聞こえた
しばらくしてから、私は理解した
それが、彼女なりの告白なのだと
別れの時間が来る
澪さんは、いつも通り一礼した
「今日は、貴重な記録が取れました」
私は、初めて言葉に詰まった
(……この人は、私を縛らないが、逃げ場を無くす)
その夜、私は眠れなかった
自分の言動を思い返す
見られていた視線を思い出す
沈黙の意味を考える
布団の中で、何度も姿勢を変えた
そのたびに、ふと考えてしまう
(……今の動きも、記録されるだろうか?)
思考が止まらない
ー沈黙の中で、すでに答えを知られている気がするからだー

このシナリオはメインヒロインを決める為の企画シナリオです
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主人公『幸次』の未来を決めるのは…『貴方』です
