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【正常値の外側】第2章「継続記録」

迷言です
今回は【正常値の外側】第2章「継続記録」をお送りします

前回のお話はこちらから

このシナリオは【叔父さん勇気を出して】のメインヒロインを決める為の企画で一番人気が高かった正史の物語

それではこの章のイメージBGMを聴きながらお楽しみ下さい

俺は自室で、みらいちゃんのレポートを読み返していた

『継続して観察されて下さい』

「いや待て」

今日も紙に向かってツッコむ俺

「意味が分からん」

第1段階はまだ分かった

【自然に触れてもおかしくない理由を作れ】

まあ……分かる
いや、実際には分からんけど、理屈はあった

けど……今回

【継続して観察されて下さい】

何なんだ……その受け身は?

俺はページをめくる
変化する反応が重要

同一条件
継続記録
比較対象

「ふむ……なるほど」

恋愛として読むから意味不明なんだ
実験として読む
すると意味が変わる

「つまり……可変データを提供しろって話か」

理解した
ならやる事は一つ

「測定精度を上げる」

数時間後
机の上には新作があった

対人反応可視化モジュール

脈拍
呼吸
筋緊張
微細反応補助計測

これらを可視化する
自分で作っておいて思うが……何なんだこの発明は?

翌日……神代整体院

「新作持ってきたぞー!」

祖父が顔を出す

「またか」
「まただ」

俺は得意げに装置を掲げる

「名付けて! 対人反応可視化モジュール!」
「理人……名前ダサいな」
「えっ」

嘘……だろ……ちょっと未来感あるいい名前だろ

ショックを受けているその時だった

「名前なんてどうでもいい」

翠だった
そんな……追い打ちをかけんでも良くないですか?
そして、そんな事関係なしにそのまま近づいてくる

「お?」

翠は装置を見る

一秒
次の瞬間

「使う」
「早っ」

即装着
そして当然のように俺の手首掴む

「理人。早く実験しよう」
「待て待て待て」
「なに?」
「何じゃない。早い」
「時間は有限」

正論で殴るな
祖父が楽しそうに椅子を出してくる

「座れ」
「あの~俺の人権というものは?」
「ない」

何でだよ

だが、結局座り装置を起動する
全く……仕方ないなあ

翠が淡々と確認する

「理人」

ピッ

「お?」

数値変化

「名前呼びで……変化あり」
「何?その項目」

「次」

翠が少し近づく

ピッ

「呼吸変化……あり」
「近ぇ」

「次」
じっと見る

ピッ

「筋緊張変化……あり」
「視線で計るな」

「次」
手首触診

ピッ

「脈……変化あり」
「いやもう完全に人体実験だろこれ」
「違う」

少し安心した
翠さんにもちゃんと人の心が……

「共同観察」
「それ、言い換えただけ!」

祖父が笑ってる
最悪だ

だが、測定は引き続き継続していく

「理人」

ピッ

距離……近くないですか?

ピッ

何か見られているような……

ピッ

「えーっと……ここを触ると……」

ピッ

何なんだこの地獄
しかも……翠さん、無表情で怖いんですけど

「理人」
「はい」
「変化した」
「それは……便利な説明だな」
「さっきより筋緊張が高い」
「まあ……成長期だからな」
「何それ?便利な言い訳だね」
「いやお前ノリ悪いな?」
「ノる必要ある?」
「必要!!会話として!」

祖父が肩を震わせてる
笑いすぎだろ……この爺さん

測定が終わる
翠が記録を見る

じーっと真顔で

「どうよ?」
「……面白い」
「何が?」

翠は記録を見たまま言う

「理人は毎回違う」

俺が少し止まる

「……毎回?」
「昨日……今日……全部違う」

淡々と……本当に淡々と言う

でも、ちゃんと見てるだな……俺の変化を
ちょっと変な気分になる

翠がページをめくる

「理人は変化する……それが面白いし、予測しきれない」

何か研究者みたいな顔してる
いや実際そういうタイプだけど

「ちなみに俺の人格は尊重されてる?」
「されてる」
「本当に?」
「比較対象として」
「ダメだこいつ」

翠が顔を上げる

「明日も測る」
「明日もか?」
「そう」

当然のように

「継続観察希望」

嫌な単語だな

「翠さん……ちなみに拒否権は?」
「ない」
「何で!?」
「むしろ必要?」
「必要だわ!」

祖父がまた笑ってる
翠は本当に不思議そうだった

「理人」
「何?」
「明日はもっと面白い?」
「知らんわ!」

俺のツッコミが整体院に響いた

翌日の放課後

「……何で普通に来てんだ俺」

自分で言いながら、神代整体院の扉を開ける

「お邪魔しまーす」
「確認」
「早い」

もう驚きもしない
翠が当然みたいに俺の手首を取る


呼吸
筋緊張

いつもの流れ
いや、まだいつものって言うには早いだろ

「朝の挨拶みてぇになってんな」
「挨拶じゃない」
「だろうな」
「確認」
「言い切ったな……お前」

翠は測定装置を起動する

「昨日より呼吸安定」
「へぇ」
「筋緊張は……低い」
「そうなの?」
「今日は集中してる」
「そんな違い分かんの?」
「分かる」

即答

「早ぇよ」
「理人だから」
「……ん?」
「継続してるから」

さらっと言う
俺専用の比較データみたいな扱いだな……
何かそれもそれで引っかかる感じだ

測定が一段落した時だった

「やっほー!」

騒がしく扉が開いた

「あ、理人いるじゃん!」

星宮陽葵だった

明るい
うるさい
見えてる系アホ天才

その後ろから響堂響子

「騒がしいわね」

さらに香月美桜

「何この匂い……理人ちょっと寝不足っぽい匂いする」
「やめろ情報漏洩だ」

最後に白瀬琴音

「クッキー焼いたの。おすそ分けよ?」

今日はみんな何で来たんだ?

「えーっと……YOU達は何をしにここに?」

「遊びに来たー」

陽葵が元気よく言う

そうだった……
ここ、たまにみんなのメンテ場になるんだった

翠はいつも通り

「順番」
「はーい」

陽葵の肩を触る



姿勢
陽葵が笑う

「うわ、翠、相変わらず的確~」


響子

「右肩の緊張……ひどいね」
「分かるのね」
「うん……触れば」


美桜

「ストレス溜まってる?」
「そう、昨日変な教師と話したから」
「そう……それは大変」


琴音

「疲れてる?」
「そんな事ないよ……でも、昨日ずっと料理してたからそれかも」

淡々
いつもの翠
普通に触る
当然みたいに

(……まあ、そうだよな)

整体だし
当たり前だ
なのに

何か妙に引っかかる
何でだ?

「理人?」

翠が見てた

「ぼーっとしてる」
「してねぇ」
「してる」
「してない」

陽葵がニヤニヤする

「何? 理人!嫉妬?」
「違ぇよ!」
「うわっ反応早っ」
「うるせぇ!」

響子が静かに言う

「心音、少し速いわよ」
「お前まで!」

最悪だ
しばらくして、みんな帰った
静かになる

翠が記録を見る

「よし……比較完了」

そう言うと俺の手首を掴む

「おい、また?」
「確認」
「何の確認?」

翠は当然みたいに答える

「みんなと理人」
「ああ、俺、比較対象だったな」
「そう」
「否定しろよ」
「けど……今は違う」
「え?」
「継続対象」
「何が違うんだよ」
「だって……継続してる」

なるほど……分からん

その時
帰りかけた陽葵が顔を出した

「あ、翠ー! 今度あたしの視覚反応も長期で測ってよ!」
「いいよ」

その瞬間だった

「いや、待て……俺のデータの方が継続性あるだろ」

全員止まる
俺も止まる
え……何で今口出した?

沈黙

陽葵が瞬きする

「へえ~、何その発言」
「えーっと……これは」

響子が小さく笑う
笑わず助けて下さいよ……響子さん

美桜が即言う

「嫉妬の匂いがするわね」
「違ぇよ!!」

琴音がにこにこしてる
琴音さん……そんなんじゃないですからね……というより助けて下さいよ

……最悪だ

みんな帰った後……翠が隣を来た

静かに……そしてぽつりと言う

「さっき」
「ん?」
「何で止めたの?」

来た

「それは……」

考える
頑張れ俺……頑張って思いつけ言い訳を……

「それは……実験体としての責任感?」

沈黙
翠が俺を見る

「そう」

助かった……か?

「変なの」
「ですよね!」

翠は少しだけ首を傾げた

「理人」
「何でしょう?」
「さっき、脈が速かった」
「気のせい……では」
「違う……でも」
「ん?」
「面白い」

面白い?

「あの~褒めてます?」
「分からない」
「そう……ですか」
「でも……理人は、他と少し違う」
「……どう違うんだ」
「それは……まだ観察中」

そう言って、また俺の手首を軽く握った
いや……何なんですかね~この関係は……

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