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中学英語レベルを甘く見ない

「中学英語レベル」という言葉を使う人のほとんどは、それは簡単である、ということを暗黙の前提にしてその言葉を使っています。「中学レベルだけで大丈夫!」という言葉の意図は多くの場合で、「あなたを含む初心者の人でも大丈夫ですよ!安心してください!」という意図と重なります。

さて、「カンタンである」という言葉の言い換えとして多用される「中学レベル」というワーディングですが、僕個人的には、「中学レベルを甘く見ない方がいい」と考えています。今回はこのあたりの話をします。

中学レベルは簡単じゃない

たとえば、「be動詞」について。be動詞は英語を学び始めた人全員が最初の最初に学習するといっても過言ではなく、英語学習をしたことがある人でbe動詞を知らない人はまずいないはずです。そして、be動詞が「イコール」を表すということも、よく知られているはずです。

ただ、be動詞とはイコールのことですよ、という説明はあっているのですがそれは便宜上です。be動詞の意味の核は「存在する」であり、イコールはその狭義の意味であるといえます。

be動詞とはイコールのことである、という理解でじゅうぶんであるケースはあるのですが、当然、「そうじゃない」ケースもあります。人類のことを human being と言ったりしますが、この being はいったい何と何がイコールになっているかなんて考えだしたら、わけがわからなくなりますよね。

be動詞は存在ですから、何かの所在、状態、様子をリアルに、ヴィヴィッドに記述する際に活躍します。そしてそれは、必ずしも「イコール」のことではありません。中学英語でならうbe動詞は、be動詞のある特定の側面、理解が容易な側面だけ見せられているわけで、「中学でならうカンタンなbe動詞」ではないわけです。

中学レベルを説明できるか

上記は中学レベルを「理解する」話についてですが、中学レベルを「説明する」という立場にかえてみてもやはり、難しいことはいえます。

「中学レベルはカンタンです」と説明する人に、「じゃあ、簡単な中学レベルの英語を説明してみてよ」といざリクエストしたとして、なにか実りのある説明が出てくると思いますか。30秒でも1分でもいいのですが、「なにか」の解説をリクエストしたとして、なんのよどみもなく、明快な説明をその人は与えることができると、感じますか。

これは僕の読みなのですが、この記事の冒頭で述べたような、「中学レベルはカンタンです!」と嬉々として説明する人ほど、その、カンタンな中学レベルの知識をほとんど説明できないはずです。いざ説明をリクエストされたとして、うろたえるか、あるいはみっともない説明をするかの二択になると思います。

これは以前した、「人は知るほど謙虚になる」という話とも重なります。中学英語というのは決して「ラクな英語」ではないはずなのですが、中学英語そのものをよくわかっていない人ほど、「誰もが当然のように、イージーに習得できる英語」のようにそれを扱います。

じっさい僕も、「中学レベルで説明して」と言われたらおそらくできないと思います。というのも、「ふつうに説明する」ほうがよっぽど簡単で、言葉遣いやつかえる用語にしばりのある、「中学英語」を説明する方が、難度としては上だからです。エントリー層に何かを教える方が「難しい」というのは、英語に限った話ではありません。

考えてみるとわかることなのですが、もし、中学レベルがカンタンなのであれば、それを教える中学校の英語の先生は簡単な仕事をしていることになるわけですが、当然そんないいかげんなことは言えないですよね。「中学生」になにかを教えるというのは、高校生や大学生、大人に何かを教えることよりも大仕事になるはずです。

学校を出て大人になった人の多くは学校英語を理解していません。「学校英語を何年もやってきた」というのは誰もが枕詞のように多用しますが、それは「学校英語をやったのにダメだった」ではなく、「学校英語をうまく理解しないまま卒業しちゃった」になるはずです。「学校英語について説明してよ」といざ質問したときに、人々から実りある回答がほとんどでてこないだろう、というのは容易に想像できます。

正しい英語学習法を求める心理

わかったつもりで止まらない

わかったつもりになるのと、じっさいにそれをわかるのには、天と地ほどの差があります。くどいようですが、中学レベルはけっして「カンタン」ではないはずです。「わかったつもり、理解したつもり」になるのは簡単ですが、その場合、いざ突っ込まれたさいにとたんに身動きがとれなくなることは多いです。

語学学習界隈の「ちょっとヘンなところ」をコラム的に説明する記事は、「語学学習界隈のヘンなところ」のマガジンにまとめています。肩の力を抜いて気楽に楽しめる内容です:

「中学レベル」のような、「説明しているようで何も説明していない」言葉の使用はあまりよくないのでは、という話は別記事でもまとめていますので、こちらもあわせてどうぞ:


▼この記事を書いた人▼

そっちゃそ
フリーランス英日翻訳者。本業で培った知識や経験をもとに、発音指導をはじめとした語学指導もやっています。noteは、僕の思想や考えをひろく公開するために使用しています。

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