とりあえず英語を話す・書くことのメリット
僕はよく、英語を実践で使うことを早期に持っていくことが大事であると言っています。「まず基礎をじゅうぶんに身に着けてから」のような態度で、何年、場合によっては何十年も「基礎固め」に取り組んでいる人も少なくないはずですが、それはさすがに笑えません。やはり、「英語を使うこと」が本丸なわけですから、それを主軸にいろいろやっていった方がいいはずです。
今回は、なぜ英語を使うことを早期に持っていった方がいいのかという点に再度着目して、実践を後回しにしないことの重要性について説明します。
見えるようにする
たとえばあたりまえですが、英語を書くと、「自分が書いた英語の文または文章」が完成します。そしてもっと大事なこととして、その書いた文章はその人の手元に永遠に残り続けます。
英語を書くという作業は、英語を表に出して見えるようにすることである、といっていいはずです。そして、表に出して見えるようにすれば、それをあとからいくらでも、いかようにでも使うことができます。これはうれしいことではないですか。
以前別の記事で「マクドナルド理論」を例に挙げて説明したのですが、「たたき台」がひとの目の前にある場合とない場合では、ことの進み方が変わります。英語を書いてそれを後から使えるようにするという取り組みは、マクドナルド理論と同じ理由で、語学学習をよい方向に促進する要素になります。
何もない状況から何か言うよりも、たたき台が目の前に見えている場合の方がつっこみや意見を入れやすくなることは知られていますし、多くの人が経験しているはずです。これは、マクドナルド理論という言葉でよく説明される話で、ツッコミどころのある素案をわざと出すことで、議論を活発にできるちょっとしたテクニックです。
順番の問題
ここまでで説明した、ものごとを整理して目の前に見えるような状態をまずつくる、という話は、「論文の書き方」にも認めることができます。
自然科学の論文というのは、イントロ>実験方法>結果>考察>結論の順番で書くことが半ば必須になっているのですが、この、「順番」からいろいろと学びのようなものを得ることができます。
まず、イントロ>実験方法>結果までの流れでやっていることは、これまで何がどこまでわかったか、という事実の確認です。これまでどのようなおおきな流れがあって、その研究者はなんの実験をして、その結果なんのデータが得られたか、という話は、すべて事実に関する情報です。
そして、考察>結論のパートではじめて、その人の「意見」が出てきます。その意見は当然、イントロ>実験方法>結果までの流れを組んで出てくるものであり、また、イントロ>実験方法>結果までの流れをすべての拠り所にしています。
ここまでの説明から、「事実」がないと何も始めることができない、というのがやはりわかりますよね。事実に基づかない物語はたんなるフィクション、机上の空論ですから、基本的にはなんの役にも立ちません。マクドナルド理論の話で言ったこととまったく同じことを言うのですが、まず事実をていねいに確認する、というのは常に役立ちます。
僕はよく、ひとに英語を教えるときに、「まず英語を話して、それを録音してみてください」とか、「まず英語を数百ワード程度でいいので、書いてみてください」のようなサジェスチョンをするのですが、なぜそのように言うのかも今回の話の趣旨と同じです。現実、事実を確認しないとなにもわからないですし、ことが始まりません。この記事は、「とりあえず英語を話す・書くことのメリット」というタイトルにしたわけですが、「ことが発展しやすくなる、なりそうだから」というのがそのメリットになります。
さいごに
論点は、便利なツールやテクノロジーではありません。また、正しい情報、役立つ情報を見つけることでもありません。
もしほんとうに、最先端のツールやAIなどのテクノロジーがみんなの英語力を底上げしてくれるのなら、英語力が上がることがあっても下がることはないはずなんですよね。ただ実際はその逆で、counterintuitive な結果になっています:
いつも言っていることなのですが、「英語を使ったことがないのに英語を使えるようになった人」はこの世に一人もいません。ふだん使ってたら、結果的に使えるようになっちゃった、というケースもあるくらいで、それくらい、「使う」というアクションが語学学習に占める割合は大きいです。
「なるべく前倒しにしたほうがいい」と言える理由は、その、使うというアクションから得られる恩恵を早期に持って行ったほうがおいしいからです。よくわからないなりになんか言う、なんかするというのは「仮説思考」のことなのですが、よくわかってないなりに何かをする「勇気」が重要になるはずです。
英語をじっさいに使うことがいつまでたってもできないのであれば、語学学習の実りの期待は薄くなるということです。(中略)これは要不要やバランスの問題ではなく順番の問題であり、もっというと、「本人がまず何から始めたくなるか」に還元されるはずです。
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▼この記事を書いた人▼
そっちゃそ
フリーランス英日翻訳者。本業で培った知識や経験をもとに、発音指導をはじめとした語学指導もやっています。noteは、僕の思想や考えをひろく公開するために使用しています。僕の思想や考え方については、考察と思想哲学のマガジンにまとめているのでこちらをぜひご覧ください。詳しいプロフィールはこちらから。


主な著作:「自分の意見を言うことは『役に立つ』」、「外国語を学習すると決めたときに読む本」、「英語発音学習の第一歩」。既刊一覧はこちらから。
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さいごに
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