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自分視点だけでものごとを見るのをやめよう

前回の記事で僕は、「語学学習では現実を見る必要があるし、それをしないのであれば語学の上達は期待できない」という話をしました。現実を確認するのは、語学学習の必要条件であるということです:

そのときの主なメッセージは、「全体をひろくフラットにながめてひろく肯定しよう」ということで、それは、「特定の事実をゴリ押ししたり、心地よい妄想やフィクションに逃げないようにしよう」ということと同じです。

さて、近視眼的にならない、全体をながめるという話は役に立つのですが、それがどのように役立つかのひとつに、「他人に騙されないようになる」というのがあります。今回は、全体をみることでおかしさや違和感に気づけること、というテーマで記事を書いてみます。

全体的にどうなっているか

システム全体として何がどうなっているかを見て取ることが、僕は重要になると考えます。

人は、信じたいものを信じ、理解できないものや難しいもの、あるいは都合の悪いものを見なかったことにする生物です。似たような人たちで戯れて言説が先鋭化することをエコーチェンバーとか言ったりしますが、それも、「全体を見ないで都合のいい、心地よい場所だけ見てそこに居座る」ことと同じです。

インターネットやSNSの怖いところもそれで、というのも、自分がスマホやパソコンの画面越しに見ている情報が世の中のすべてであるかのように感じてしまうからです。見てて心地よいことを画面越しに見ることばかりしていると、世の一次情報をフラットに眺めることができなくなります。

さて、ここまでの話はべつに、自分にとって快適な情報ばかりに触れていると、知識や情報にかたよりがでてよくないね、という情報リテラシーの話にとどまることではありません。今回の記事で触れたいことは「騙される」ということであり、「快適な情報ばかりに触れていると、そのうち誰かに騙される」ことになる、ということです。

「騙される」の例をひとつ挙げてみたいと思うのですが、巷で毎日生産されている、「最短最速・究極の英語学習法」がこれに該当するはずです。noteやYouTubeでは毎日のように誰かが、「究極の英語学習法」や「たったひとつの正解」を熱心に披露しているのですが、これも、「全体をフラットにながめる」ことでその話がちゃんちゃらおかしいことがすぐに見てとれます。

というのも、「最短」や「最速」という言葉には「最も」という、ナンバーワンであることを示す言葉が入っているわけですから、それが毎日、個性豊かな人たちによって生産されているのは明らかに不自然です。「最短最速は存在しない」と断言できますし、また、「最短最速を吹聴する人は例外なく嘘つき」であると断言できます。

また、もっと広い視点でいうと、「ラクして英語を学びたい人たち」という大きなマスにアファーマティブに働きかける、働きかけようとする人たちが世の中けっこういるということもわかります。

ここまで視野を広くすれば、最短最速を吹聴してはしゃいでいる人たちに騙されるリスクは減るでしょうし、またいざそのような人たちがこちらにやってきたとしても、冷めた目線であしらうことができるようになるはずです。これは、「心地よい情報」を見ているだけの人にはできません。

錯視を回避する

「最短最速の学習法」にメロメロになってしまう構図に代表されるように、「ちょっと考えればおかしいとすぐにわかること」に対して疑いを持たない人がけっこういるのですが、それはここまでで触れたように、「心地よい情報」を求めた先にある「心地よいウソ」にすがってしまうことが原因です。

これは錯視のようなものであるとも解釈できます。矢羽の向きで線の長さが違って見えるミュラー・リヤー錯視などが有名ですが、錯視は、「その人の思い込み」に原因があります。

止まっているエスカレーターでつまづく経験をしたことがある人もいるはずですが、あれも、「エスカレーターはふつう動いているもの」という認識があるゆえの処理のエラーです。エスカレーターに触れたことがないアフリカの人などは、止まっているエスカレーターでつまずくことをしないそうです。

何が言いたいかと言うと、「そうであるべき、そうであってほしい」という思い込みを持って何かを見に行くことは、その人にとってよくない結果につながるということです。長さが違って見える錯視はどは、定規を使い長さを定量的に測定することで回避できるのですが、それと同じで、インチキ臭い世の言説も、「事実をフラットにながめる」ことでわりとかんたんに回避できます。

さいごに

今回の話は、「人はものを知れば知るほど謙虚になるのがふつうである」という前回の記事でした話と似ています。

過激なことを言う人はウソ臭い人です。素直に、普通に、自分の言葉で説明してくれる人を大事すべきなのですが、そっちではなく、「すごそうな人」に大衆は群がります。「思い込みをなくしてから見に行く」というのは、誰にとっても大事になるはずです。

FYI:「人はなぜ詐欺的な話にホイホイと騙されるのか」という話題について話をするPodcastエピソードを、共同ホストのポッドキャスト番組、「円卓上のイエティ」で公開しています。こちらもぜひ。ダラダラながら聴きできます:

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▼この記事を書いた人▼

そっちゃそ
フリーランス英日翻訳者。本業で培った知識や経験をもとに、発音指導をはじめとした語学指導もやっています。noteは、僕の思想や考えをひろく公開するために使用しています。

僕の思想や考え方については、考察と思想哲学のマガジンにまとめているのでこちらをぜひご覧ください。語学学習に関するお悩み相談やお問い合わせなどはこちらのLINEからお願いいたします。詳しいプロフィールはこちらから。

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主な著作:「自分の意見を言うことは『役に立つ』」、「外国語を学習すると決めたときに読む本」、「英語発音学習の第一歩」。既刊一覧はこちらから

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さいごに

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