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真の英語力という言葉に踊らされない

前回、世の人がよくやっている「英語学習の言葉遊び」に関わらない方が得策だし、すくなくとも現実の話をしているのであれば、カッコイイだけで中身を伴わない言葉の使用は避けるべきだ、という話をしました:

そして、そのようなカッコイイ言葉のなかでも特に多くの人の目に入っているであろうワードに、「真の英語力」があります。今回は、真の英語力をうたうのも、真の英語力をうたう人にメロメロになるのもイマイチなのでは、という話をします。

英語を神格化しない

僕がこの記事でまず触れたいことに、「英語力は神の力でもなんでもなく、たんなるスキルのひとつである」ということです。自動車を運転するスキルとか、確定申告をするためのスキルとかと同じで、ドライな技能のひとつになります。

なのですが、この世に数ある個人のスキルのなかでも、なぜか英語力だけが特異点的に神格化されたり、過度に信仰されたりしているんですよね。英語力が便利であるのは事実なのですが、それをずっと通り過ごして、人々の尊厳を集める神の能力であるかのように扱われることが多いです。

「真の英語力」という言葉も、そのような信仰チックな雰囲気から出てきたものであるはずです。「真の自動車運転技能」とか、「真の確定申告能力」と説明する人はいないし、いたとしてもこっけいな雰囲気になるだけというのは目に見えていますが、なぜか、「真の英語力」という言葉の違和感にほとんどの人は気づけません。

自動車の運転でケアされるのは「ルールを守って運転できるかどうか」ですし、確定申告でケアされるのは、「ちゃんとルール通りに、期日までに確定申告できるかどうか」ですよね。英語の場合も例外ではなく、ちゃんと使えるか、使えたかがことのすべてであるはずなのですが、なぜか、真だの究極だのといった言葉遊びがいつも前面にプッシュされます。

真とは何か

何かが真であるというのは、何かがリアル(real)であり、じっさいにあるということですよね。であるばらな、リアルに存在するなら真で、そうじゃないなら偽であるとするだけでよいはずです。実際に披露される英語、我々が実際に知覚できる英語であれば、それはもれなく真の英語力であるといえませんか。

これは僕の読みなのですが、「真の英語力」という言葉にとくに反応してしまうのは、センシティブで繊細な人だと思います。ようするに、マーケティングなどをしたい側の都合でセンシティブな心を持つ人たちが標的にされているために、「真のほにゃらら」みたいな実態を伴わないワーディングが表にわんさか湧いてくるわけです。実際に知覚できるのであればその存在は真であるとドライに判断できるが、それをないがしろにして、幻想を求めてしまうのがセンシティブな人たちです。

センシティブな人たちは、「その他大勢」と称される多数派の人間集団をを出し抜いて少数派のエリートに移動できる、というチャンスが大好きであるはずです。英語にかかわる人間はこの世にたくさんいますが、その人たちを「出し抜いて」真の英語力という記号を獲得できるとなると、やはり、それが魅力的にうつってしまいます。

9割だの99%だのの言葉を使う人の意図は、「あなたは多数派、その他大勢の中に埋もれていますよ」ということを暗に示しつつ、「わたしが言うことに従えば、少数派のエリートになれますよ」ということを示すことなのですが、それは、「何者か」になりたいと考える、センシティブな心を持つ人たちにはすごく刺さります。

記号から意味へのシフト戦略

また、ネイティブ英語が真の英語である、みたいな感覚を持っている人もいるかもしれませんが、それはたんなる民族差別です。「優劣がある」のではなく、「違っている」だけであり、そこにあるのは上下の対立ではなく横方向に無限に広がる幅、多様性になります。ネイティブ信仰はものごとを1ミリも前進させません。

さいごに

語学学習における選民意識はなんの役にも立ちません。真の英語力という言葉からみてとれるのは、自分らをよく見せたいという虚栄心です。これは僕がいつも言っていることなのですが、フィクションを追いかける心の習慣を捨てて、ドライな現実をフラットにながめ、ドライに判断していくようにするのが、語学学習などの取り組みで重要になります。僕が考える語学学習のあるべき態度については、Kindle本でまとめていますので、こちらもぜひ手に取ってみてください:

語学学習界隈の「ちょっとヘンなところ」をコラム的に説明する記事は、「語学学習界隈のヘンなところ」のマガジンにまとめています:


▼この記事を書いた人▼

そっちゃそ
フリーランス英日翻訳者。本業で培った知識や経験をもとに、発音指導をはじめとした語学指導もやっています。noteは、僕の思想や考えをひろく公開するために使用しています。

僕の思想や考え方については、考察と思想哲学のマガジンにまとめているのでこちらをぜひご覧ください。語学学習に関するお悩み相談やお問い合わせなどはこちらのLINEからお願いいたします。詳しいプロフィールはこちらから。

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主な著作:「自分の意見を言うことは『役に立つ』」、「外国語を学習すると決めたときに読む本」、「英語発音学習の第一歩」。既刊一覧はこちらから

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さいごに

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