思考停止ワードを使うのをやめよう
思考停止ワードというのは、検討しますとか、頑張りますとか、深い内容ですね、のような、「なんか言っているようで何も言っていないワーディング全般」のことです。ガワが整ってはいるが中身がないだけのワードが思考停止ワードのことで、noteの英語学習のネタでもたびたび(?)目にします。
さて:
あの人が成功したのは頭がいいからだ
あのチームが優勝したのは名門だからだ
あの人の英語力が達者なのは留学したからだ
のように、「思考停止ワードをつかった、それっぽい因果関係の説明」も多くの人が見聞きしているはずなのですが、これらも、なんだか説明になっているようで説明になっていないですよね。「ラーメンはおいしい」程度の情報量でしかなく、新規性もなく凡庸です。今回は、「思考停止ワードによる因果関係の説明」は可能な限り控えた方がいい、という話をしてみます。
いいかんじにまとめたがる心理
これは自戒の念を込めて言うことなのですが、人はいいかんじに「まとめたがる」生物です。「○○であることの理由は××なんです!」とキレイに言われると人はスッキリした気分になりますし、多くの人は喜びます。
…思考停止ワードの魅力は、「それ以上考えなくてもよくなること」であり、省エネです。(中略)「私には才能がないから」とか、「あの人はセンスがあるから」とか、そのような、時間がないに類する思考停止ワードも簡単に、現実をつぶさに観察せずに言えますし、なおかつそれで、納得したような気分に自分が浸れます。
この、「まとめると喜ぶ」という構図が極限に達した場所が、X(Twitter)やTikTokなどのアテンションエコノミーの舞台であり、あそこでなされているのは、いかにして大衆のドーパミンヒットを達成するかという「動物的反応」の勝負です。
すこし角度を変えて例を出しますが、たとえば僕は、「ネイティブレベル」とか、「中学レベル」のような、皆が好んで使うワーディングをほとんど使用していません。理由は至極明快で、僕自身、「ネイティブレベルとは何か」や、「中学レベルとは何か」をわかっていないからです。
「ネイティブが使う英語のレベルがネイティブレベルです」と言えそうな気もしますが、「ネイティブが使う英語のレベル」とは具体的に何ですか、と聞かれたとたんに何も言えなくなります。「ネイティブが使う英語のレベルがネイティブが使う英語のレベルなんですよ」のような堂々巡りが発生するだけであり、「ネイティブレベルをうたう人は実質何も言っていない」ことはすぐに明らかになるはずです。
いずれにせよ、思考停止ワードを使って説明する、説明してしまう心理の背景にあるのは、「無難にまとめたい」という心理です。それは、「考えたくない」という怠惰な心理の裏返しであり、また、「私はなにも考えません」と白状しているようなものになります。
事実を見る
思考停止ワードを使わないで、「自分の言葉」で説明するのは誰にとっても役立つはずです。僕がnoteでいつも言っている、「わからないなりになんか言う」ということにこれが対応するのですが、事実を確認してからなにか意見を言う、というのがことのすべてになるはずです。
事実を確認、という部分を太字にしたわけですが、これができていないのが思考停止ワードによる「説明」であるはずです。もう一度:
あの人が成功したのは頭がいいからだ
あのチームが優勝したのは名門だからだ
あの人の英語力が達者なのは留学したからだ
の文を見てみるとわかるのですが、これらの文はいずれも、現実をほとんど見なくても言えます。現実を見ないことは思考停止するための必要条件である、と言ってもいいはずです。
要するに、事実を確認することが実のある内容を発言するための第一歩になるわけです。「事実情報のような、確実にそうであるといえること」をまず確認してから、その後に何か言う、というのはひとつの型や作法として固めたほうがいいはずです。
さいごに
有名でもないふつうの人間が凡庸な発言をしてもなんにもならないわけですよ。ふつうの人間に求められるのは「その人の意見」であり、「無難にまとまったガワがいいだけのゴミ」ではないはずです。
無難に思考停止するよりも、ふつうの人間としてなにかひとつの意見をつくるほうが実り多いはずですし、楽しいはずです。前半で、「無難にまとめたがるのは人間の性である」と言ったのですが、それは可能な限り回避したほうがいいと僕は考えます。
人間心理に関するネタについては「人間心理について」のマガジンでまとめています。うまくいかないとわかっていながら、ついつい多くの人が陥ってしまいがちな「心の態度」などについて深く考察しています:
思考停止しないで自分でよく考える、という話については僕のKindle本、自分の意見を言うことは「役に立つ」でもまとめています。考えるとは何か、意見するとは何かについて、ちょっと哲学チックに考えてみたい人、ものごとの方向性を定めるのが苦手なひとにおすすめです:
▼この記事を書いた人▼
そっちゃそ
フリーランス英日翻訳者。本業で培った知識や経験をもとに、発音指導をはじめとした語学指導もやっています。noteは、僕の思想や考えをひろく公開するために使用しています。僕の思想や考え方については、考察と思想哲学のマガジンにまとめているのでこちらをぜひご覧ください。詳しいプロフィールはこちらから。


主な著作:「自分の意見を言うことは『役に立つ』」、「外国語を学習すると決めたときに読む本」、「英語発音学習の第一歩」。既刊一覧はこちらから。
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さいごに
「発音学習の底力」を体験してみませんか。英語力は、発音学習だけでも伸ばせます。学習に新しい風を入れたい方、ネットでこれ以上学習法をあさるのはしんどいと感じる方は、ぜひ以下のページをのぞいていってみてください:
語学学習を総合的にトータルサポートしてほしい、痒い所に手が届くサポートがほしいという方には、「そっちゃそ英語コーチング」がオススメです:
