定型フレーズをたくさん覚える英語学習はおすすめできない
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役に立つ英語の定型フレーズ、定型文を覚えて、覚えた引き出しの中から瞬間的に取り出して使う、というアプローチは悪手です。今回は、フレーズ暗記による英会話攻略は悪手であること、英会話で表現の幅を広げるには、イメージを説明する手法を採用すべきである、という点を説明します。
自分の言葉として手に入れる
単語にせよ、句動詞にせよ、英文にせよ、口から自ずと出てくる状態になって初めて、習得した、といえます。和訳は便利ですし、それを使うことはよいことなのですが、和訳を覚えた段階は入口であり、その先にある、意味をイメージしたらその言葉が口から出てしまう、という段階にするには、訓練が必要です。
また別に、ネイティブは何千、何万という膨大なフレーズの蓄積を持っていて、それを自由自在に使いこなしているわけではありません。また、ネイティブの思考回路はノンネイティブとは異なり高度に発達していて、日本人話者が苦戦しがちな複雑な構文でも瞬時に引き出せる、という話でもありません。
定型フレーズでは英会話に対応できない
たとえば、wpm 120 で会話をするとして、1時間話をするとします。相手が50%、自分が50%話しますから、おおよそ、120*60/2=3,600 ワードくらい話すことになります。
まず、このボリュームのアウトプットを、定型フレーズだけで対応するのはムリだというのは、なんとなく想像できると思います。そして、定型フレーズを考えたり出したりすることによる脳への負担は相当なものですから、定型フレーズを使う英会話で1時間も話そうものなら、疲れることになるでしょう。
フレーズはモノリシックな手法であり、イメージを順々に、チャンク単位で説明する手法はモジュラリティが高い柔軟な手法です。一枚岩が役に立つのはそれ単体で機能が完結する場合、たとえば道案内や買い物のシーンなどの場合であり、長時間の英会話では役に立ちません。
たとえばですが、2つの要素を並列に並べるとそれを同格のように感じるという感覚は、多くの言語で共通している感覚です。主語と述語だけで完結するSVも、S=V というシンプルな「感覚」を表しており、
It flies. それ=飛ぶ
It spins それ=回る
のように自然と連想できます。フレーズではなく最小単位の感覚を養い、冒頭で述べたような、口から自ずと出てくる状態にもっていく必要があります。
重要なのは表現ではなく意味
ところで、この記事を読んでいる方のほとんどが、過去数日の間に誰と何の話をしたか、なんとなく覚えていると思います。あの日あの場所で、誰々さんとこんな話題について話した、あるいは、インターネット上でこんな投稿をしたなど、「内容」は記憶に残っていると思います。
対して、その時に使用した「表現」や「用法」は覚えていますか。「昨日はいつもよりサ行変格活用をたくさんつかったな」とか、「いつもよりもら抜き言葉が多かったな」など、日本語表現の反省をすることは可能ですか。おそらく、ほとんどの人ができないというか、そもそも、自分自身が何の表現を使用しているか無自覚であると思います。
何かしらの言語を話す人は、「内容」にフォーカスを当て、それを表現するために用いられる「用法」はほとんど意識しません。言い換えると、会話というのは常に内容ありきであり、それを表現するための手段(用法)がそれに次いで引っ張られてくるわけです。
ここですこし切り口を変えますが、なぜ多くの英語学習者は、便利な英語フレーズを一生懸命探して暗記したがるのでしょうか。これは僕の予測も入っているのですが、その理由は、「検証済み・確認済み」のクリーンな英語表現をその人たちが欲しているからであり、もっとありていに言うと、自分でびしっとゼロから確定させることが怖いため、「検証済みのクリーンな表現」を借りてそれを使いたい、という心理があるからだと思います。
話そうとしていることの内容やイメージが先行し、それに追従して表現が後から引っ張られるのがふつうである、というのはすでに述べたことです。「自分の気持ちや心理を素直に音て表現する」という、英語スピーキングの本来のすがたではなく、「確認済み・検証済みの表現を暗記してそれを使う」というのは、自分の考えを音にするという英語運用の幹となる部分をないがしろにしていることに他なりません。
誰かがつくった借り物の英語表現ありきでなにか言うことはできるのですが、すでに説明したように、「どこかでアラが出てしまう」ことは確定します。フレーズは一枚岩であり大きく発展させることはできませんし、いずれ袋小路になることは目に見えています。
勇気の問題
定型フレーズを覚えたくなる、追いかけたくなる心理の背景にあるのは勇気の問題だと思います。
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