Choosin’ Texas 歌詞と対訳

楽曲について

Choosin’ Texas / written by Ella Langley, Luke Dick, Miranda Lambert & Joybeth Taylor
アラバマ州出身のカントリー系シンガー・ソングライター、エラ・ラングレーの楽曲。1999年アラバマ州ホープ・ハルで生まれ、幼少期から家族の影響で音楽に親しんだ彼女は2019年、20歳の時にカントリー・ミュージックの本拠地テネシー州ナッシュビルに移住し数多くのソングライターズ・ラウンドに関ります。ところが折しも COVID-19 パンデミックが到来。そこで活動の中心をライブ配信に移すと TikTok で人気に火がつき、晴れて2024年にメジャー・デビュー、たちまちブレイクを果たします。
そして2026年4月、2枚目のアルバム「ダンデライオン(Dandelion)」をリリース。この楽曲は同アルバムのリードシングルとしてリリースされ、2026年5月24日現在、Billboard Hot 100(カントリー・チャートではなく総合チャート!)で10週連続 No.1 という異例のヒットとなっています。
作者としてクレジットされているのはエラ自身と、彼女の才能に惚れ込みプロデュースを買って出たミランダ・ランバート(「Kerosene」等のヒットを持つカントリー・アーティスト)。その他の方々は詳細不明ですが、ミランダが編成するチームのメンバーと思われます。

曲を聴く前にイメージしたいこと

登場するのは、とある男女カップル。彼女が住むテネシー州を拠り処にして生活基盤を固めようとしている2人が、ふと彼の出身地であるテキサス州アビリーンのバーに足を運んだ時、彼は偶然元カノと再会してしまう。彼の心乱れる様子と、彼と元カノが踊るダンスを見て、彼女は「自分はお呼びでない」と悟り、ジャック・ダニエル(テネシー原産のウィスキー)片手に、身を引くことを決意する……。
まさに21世紀版テネシー・ワルツと呼ぶにふさわしい、こんなにもオールド・スクールなコテコテのドカントリーが現代のカントリー界のみならずポップ・シーンも巻き込んで全米チャートを席巻していることを、筆者はメディアでも SNS でもなく、カントリー・シンガー兼音楽ライター・石田美也さんの note で驚きを持って知りました。2000年代以降のメイン・ストリームの音楽に興味が持てず、アメリカーナ等のマイナーなシーンや古い楽曲ばかり聴いてきた筆者。新しい情報を無意識に「遮断」してきたのかもしれません。美也さんありがとうございます。
それにしても、このようなウィリー・ネルソン直系のストーリー・テラーたるとんでもない新人が登場したとなると、現在進行形のシーンを無視できない。ザ・チックスの「Long Time Gone」で魂を欠いたと揶揄されたカントリー・ミュージックは、エラ・ラングレーの登場でその良心を取り戻したのでしょうか?筆者はこの翻訳を、今アメリカの音楽シーンで起こっていることに目を逸らさず対峙する良いきっかけにしたいと思います。良い曲だなあ……それではどうぞ!

歌詞と対訳

Just when I thought I got him to fall in love with TENNESSEE
テネシーを気に入ってくれたと 思った矢先に
I shoulda known better than to take him back to ABILENE
アビリーンなんかに 彼と行くんじゃなかったわ
I put him right back into her ARMS
私が元サヤに戻してしまったの
I wasn't a match for that kind of SPARK
私のマッチじゃ あんなふうに恋を燃やせない

She's from Texas, I can tell by the WAY
その娘、テキサスの娘ね わかってる
He's two-steppin' 'round the ROOM
そのツー・ステップが証拠
And judgin' by the smile that's written on his FACE
微笑む 彼の顔に書いているの
There's nothin' I can DO
私はもうお呼びでないって
It doesn't take a crystal ball to SEE
水晶玉占いなんて要らないわ
A cowboy always finds a way to LEAVE
カウボーイは去り際を心得てるの
Drinkin' Jack all by MYSELF
今夜のジャックは独りで飲むわ
He's choosin' Texas, I can TELL
わかってる 彼はテキサスを選んだって

Well, I guess he forgot about the Smoky Mountain Rain
覚えなかったわね 「スモーキー・マウンテンの雨」も
Them old Hank tunes, The Memphis Blues we used to sing
ハンクの歌も 2人で歌った「メンフィス・ブルース」も
He always loved "Amarillo by MORNING"
でも「アマリロ・バイ・モーニング」は好きだったわね
I should've taken that as a WARNIN'
それが「兆し」だったと気づけばよかった

She's from Texas, I can tell by the WAY
その娘、テキサスの娘ね わかってる
He's two-steppin' 'round the ROOM
そのツー・ステップが証拠
And judgin' by the smile that's written on his FACE
微笑む 彼の顔に書いているの
There's nothin' I can DO
私はもうお呼びでないって
It doesn't take a crystal ball to SEE
水晶玉占いなんて要らないわ
A cowboy always finds a way to LEAVE
カウボーイは去り際を心得てるの
Drinkin' Jack all by MYSELF
今夜のジャックは独りで飲むわ
He's choosin' Texas, I can TELL
わかってる 彼はテキサスを選んだって

When I'm eastbound and down, and I can't help but cry
東へと戻る途中で 涙が止まらない
'Cause I-40 gets lonelier with every mile
40号線って 行けば行くほど寂しくなるね
I'll know that his mind wasn't ever gonna change
彼の気持ちは 絶対に変わらないと悟ったわ
'Cause his heart still belongs to the Lone Star State
その心は ずっと テキサスにあるから

She's from Texas, I can tell by the WAY
その娘、テキサスの娘ね わかってる
He's two-steppin' 'round the ROOM
そのツー・ステップが証拠
And judgin' by the smile that's written on his FACE
微笑む 彼の顔に書いているの
There's nothin' I can DO
私はもうお呼びでないって
It doesn't take a crystal ball to SEE
水晶玉占いなんて要らないわ
A cowboy always finds a way to LEAVE
カウボーイは去り際を心得てるの
Drinkin' Jack all by MYSELF
今夜のジャックは独りで飲むわ
He's choosin' Texas, I can TELL
わかってる 彼はテキサスを選んだって
Drinkin' Jack all by MYSELF
今夜のジャックは独りで飲むわ
He's choosin' Texas, I can TELL
わかってる 彼はテキサスを選んだって

Just when I thought I got him to fall in love with Tennessee
テネシーを気に入ってくれたと思ったのにね……

  • two-step……男女ペアで踊るテキサス発祥のカントリー・ダンスの一種。阿吽の呼吸が必要なこのスタイルを優雅に踊りこなす彼と元カノを見て、自分の出る幕は無いと悟る主人公なのでした(涙)。

  • Smoky Mountain Rain はカントリー歌手、ロニー・ミルサップによる1980年のヒット曲。Hank はもちろんカントリー史の巨人ハンク・ウィリアムズ。Memphis Blues もテネシー舞台のブルースの古典。テネシーを象徴するこれらの曲はまともに覚えてくれないのに、テキサス州アマリロを舞台にした、テキサス出身ジョージ・ストレイトのヒット曲はよく歌うのね……実在する人物や楽曲名を引用して、彼のテキサスに対する忠誠心を見事に表現している箇所です。

  • East Bound and Down……これまたカントリー界の大御所、故ジェリー・リード(Jerry Reed)の楽曲名から引用。エラ、ほんとに27歳なんでしょうか。引き合いに出す人がいちいち渋すぎ。

  • I-40……州間高速道路40号線。カリフォルニアからノースカロライナまでを東西に結び、その一部はかのルート66と重複。西に行くほど夢と希望のフロンティアに近づくその路線は、逆に東へ戻るほど寂しくなっていく、という思いが今もアメリカ人の心の奥底にあるのかもしれません。

  • Lone Star State……テキサス州はスペイン、フランス、メキシコ、アメリカ連合国(南北戦争における南軍)そしてアメリカ合衆国と、様々な国家に所属していた特異な歴史を持つ州。さらにその一時期「テキサス共和国」という独立国家だった時代(1836 - 1845)があり、Lone Star とはその当時の国旗で現在の州旗のこと。テキサンのアイデンティティを示す象徴として、様々な楽曲にモチーフとして登場します。

  • この曲においてライミングらしいライミングは「MORNING / WARNIN」くらいで、あとはライミングと言えないんですが語感の響きは一致しているということで大甘判定にしています。ケイティ・ペリーの項 もそうなんですが、スペルも含めてガチガチに固めてくる90年代までのカントリー・ミュージックと比べて、2000年代以降はライミングの重要度が薄れているような気がします。が、それが「今っぽさ」を醸し出している要素のかもしれません。


いいなと思ったら応援しよう!