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ー設計者は何を見ているか #3ー同じ話を聞いても、見えている世界は違う

先日、社内でAI活用の取り組みについての発表を聞く機会があった。

発表が終わったあと、私は参加者にこう聞いた。

「何を観測しましたか?」

感想を聞きたかったわけではない。

AIに賛成か反対かを聞きたかったわけでもない。

その人が何を見ていたのかを知りたかった。

すると返ってきた答えは、それぞれ違っていた。

ある人は、

「ライセンスの問題」

を見ていた。

ある人は、

「現場への展開方法」

を見ていた。

ある人は、

「事例を共有する仕組み」

を見ていた。

どれも間違いではない。

でも私は、まったく違うものを見ていた。

私が取ったメモは、たった二行だった。

「確認行為の仕組み」

「部品表へのAI活用」

それだけだった。

私が気になったのは、

AIそのものではない。

「この取り組みは、本当は何を実現したいのか。」

そこだった。

設計では、

手段から考え始めると迷子になる。

レバーにするのか。

ストラップにするのか。

AIを使うのか。

全部、手段だ。

まず見るべきなのは、

何を実現したいのか。

つまり目的である。

発表では、

「AIを活用する」

という話が多かった。

でも私には、

「AIを導入すること」

が目的になっているように見えた。

本来は違う。

AIは目的ではなく、

目的を実現するための一つの手段でしかない。

もう一つ気になったことがある。

現状が見えていなかったことだ。

ある参加者は、

「みんなが今どれくらい使えているのか分からない」

と言った。

私はその言葉に、とても納得した。

あるべき姿だけでは、

計画は作れない。

現在地だけでも、

進む方向は決まらない。

必要なのは、

あるべき姿と現在地。

その差を観測することだ。

差が見えれば、

初めて次の一手が決まる。

設計でも、

育成でも、

キャリア支援でも、

いつも同じだ。

私はよく、

「何を観測しましたか?」

と聞く。

それには理由がある。

人は、

見えたものしか考えられない。

だから、

思考力より先に、

観測力がある。

観測する場所が変われば、

組み立てられる仮説も変わる。

そして、

導き出す答えも変わる。

最後に私は参加者へこう言った。

「同じ話を聞いていても、このくらい見えているものが違う。」

知識量の差ではない。

IQの差でもない。

違うのは、

何を観測したか。

そして、

観測したものを、

どう組み立てたか。

そこだった。

私は最近、

AIと壁打ちをするときも、

答えを求めているわけではない。

自分の観測点を確認している。

自分には何が見えていて、

何が見えていないのか。

そこを確かめている。

答えは、

観測のあとに生まれる。

だから私は、

会議でも、

1on1でも、

キャリア支援でも、

最初に見るのは結論ではない。

「この人は、何を観測しているのだろう。」

そこからすべてが始まる。


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