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ビラ配リスト入門 第2章 ビラ配りの準備【後編】

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前回:第2章 ビラ配りの準備【前編】

ビラの情報を整理する

前編に引き続き、さらにビラを読み込んでいきましょう。
私がビラ配りにおいてもっとも大事にしているのは、「お客様との共通点を探すための準備」です。
前編ではビラの持つ性質から終点を想像しましたが、ここからは、ビラとお客様との共通点を探すための準備に入りましょう。
感覚的には、面、あるいは板状になっているビラの情報を、より手渡しやすいように立体に起こすイメージです。

ビラ配りに入る前に依頼主からビラを渡されたら、ざっと目を通して、ビラから引き出せる情報をまとめます。そして、ビラの言葉を自分の気持ちを乗せて説明できるように咀嚼します。
文字情報をそのまま伝えただけでは、お客様の潜在的な欲望まではなかなか届きません。時間や情報量など制約がある場合も多々ありますが、極力自分の言葉で実感を込めて配れるように心がけていきたいものです。

ここからは、実際のビラをもとに解説します。


①本と豆料理 豆千(店舗)

まずは2024年に川口にオープンした、飲食系書店「本と豆料理 豆千」さんのビラを見てみましょう。
豆千さんは、noteで出会った素敵なお酒呑みさんです。お酒を飲みながら本が楽しめるという夢のようなお店をオープンした豆千さん。何か応援できないかと、お店のビラを主に東京の本の即売会イベントで配らせてもらうようになりました。イベントで販売している私の一人暮らしエッセイ集『春夏秋冬、ビール日和』に目を留めてくれる人は、たいていビールが好きだからです。

このようにビラと相性のよさそうな商品が思い浮かぶ場合は、積極的にセットで宣伝してみると、依頼主も自分もお客様もハッピーな三方よしが狙えるかもしれません。

シンプルで美しく、非常に見やすいビラです。

ここから、ビラから読み取れる情報をまとめてみます。

【表面】
・店名:本と豆料理 豆千
・お酒を楽しみながら読書ができるお店
・埼玉県川口市
・豆料理とお酒、コーヒーなどのソフトドリンクもある
・食べものとお酒にまつわる本1000冊
・不定期営業

【裏面】
・フードメニューはカレーやスープなどの食事系、麻辣青豆のようなおつまみ、あんこのおやつ
・お酒はビールやコーヒー、レモングラスグリーンティーなどのノンアルコールも
・地図、駅からのアクセス
・詳細を記したnoteとXのQRコード

ご縁があれば、実際にお店に足を運んでみるのも手です。
ビラには書かれていないけれど、自分が魅力を感じたポイントがあればそれもお客様にとっては有益な情報になりえます。
豆千さんの場合、noterさんなどの個人が発行した出版物も置いていること、居酒屋的な喧騒とは無縁な落ち着いた店内の雰囲気、店内に素敵なシロフクロウの絵が飾られている、最近「川口マガジン」でも紹介された、なども伝えれば、よりお客様に「行ってみたい!」と思ってもらえるかもしれません。

以上の情報をもとに、お客様にどう案内するかを考え、整理します。
営業日や場所などの基本情報を押さえることももちろん大切ですが、「こんな人に勧めたい!」と思える人や、「こんなときに立ち寄ってほしい!」と思えるシチュエーションをなるべくたくさん想像しておくのがポイントです。 

店名:本と豆料理 豆千
ジャンル:飲食系書店
場所:埼玉県川口市
日時:不定期営業(SNSにてお知らせ)
対象
・食べもの好き、お酒好き、料理好き、本好き
・関東、埼玉、川口在住または在勤
・お酒は好きだけど居酒屋は苦手な、落ち着いた場所でゆっくり飲みたい人
・noterさん、ZINE(個人発行の出版物)の著者
シチュエーション
読書したい日、おいしいあんこを欲している日、料理したくない日、ちょっと飲んで帰りたい日、小腹のすいたおやつどき、ちょっとした秘密の会合など
SNSの有無Xnote
その他アピールポイント
・お酒が飲めなくてもソフトドリンクやおやつもあるので、誰にでもおすすめできる
・川口マガジンで絶賛されている
・駅から徒歩5分
・隠れ家的な雰囲気
・一般書店には置かれていない個人発行のZINEも販売

こうして整理した情報は、ビラ配りでお客様とお話しする際の共通点探しの材料になります。
「この近辺にお住まいなんですか?」「読書がお好きなんですね。夢中で読んでいると、ご飯の用意が億劫になることありませんか?」「甘いものは好きですか? 和菓子と洋菓子だったらどちらがお好きですか?」などと小出しに尋ねて、「この近辺にお住まいなら、ぜひ豆千へ」「本を読みながら飲み食いできるお店があるんです、ぜひ豆千へ」「あんこがお好きなら、ぜひ豆千へ」と無理なく誘導することができます。

②Twinkle Nights(ゲーム)

次に、私がゲームダンジョンというゲー厶の展示会イベントで配った、『Twinkle Nights』のビラをご覧ください。

『Twinkle Nights』は白火夢野さんが一人で制作しているノベルゲームで、2025年5月現在、鋭意制作中です。
そのためゲームダンジョンではお客様に試遊してもらい、もらった意見をゲームに活かす、ということを目的にビラを配りました。

世界観がパッと伝わってくる、かわいらしいビラです。

ビラの情報をまとめてみます。

【表面】
・ゲームのキャラクターのイラスト
・ゲームタイトル:Twinkle Nights
・キャッチコピー:もう一度、世界を好きになる物語。

【裏面】
・夜の世界で「星のかけら」を探す少女アイのゆるくてかわいい街ブラノベルゲーム!
・ゲームの特徴とストーリー:1日1回イベントを選択して進行するノベルゲームです。~
・優しくて切ないメインストーリー
・選択次第で変化するエンディング!
・配信日:未定
・プラットフォーム:Steam
・SNS:X、pixivFANBOXのQRコードあり

ジャンルはノベルゲームなのね、配信日が未定だからSNSのフォローをしてもらったほうがいいかも……と、ビラの情報を書き出します。
主人公っぽい女の子の隣に、作画が違う白い丸い人(?)がいますね。これはいったいどなた?
お客様からつっこまれそうなことは、事前に依頼主に聞いておくとよいでしょう。
実際、ビラを配るたびに「この白い丸い子はいったい何者ですか?」と聞かれます。
ビラ配りの段階で答えていいのか、試遊したら正体がわかるのか、リリースするまで謎のままなのか。どう答えるべきか、依頼主に判断を仰ぎます。

以上のビラ情報に、実際に試遊して感じた点やグッズ展開などの情報を加えて、整理します。

作品名:Twinkle Nights
ジャンル:ノベルゲーム
場所:ゲームダンジョン内で試遊可
日時:配信日未定(SNSにてお知らせ)
対象とシチュエーション
・ノベルゲーム好き
・キャラクターのかわいさ重視
・この世界観が好きな人
・ゆるいゲームがやりたい人
・癒やされたいときに
SNSの有無XpixivFANBOX
その他アピールポイント
・白火夢野さんがシナリオからキャラクターのイラストまで一人で制作しているゲーム
・制作者はシナリオの勉強に力を入れており、前作のTRPGのシナリオも好評を博している
・主人公の表情がくるくる変わってかわいい
・白くて丸い謎のキャラクターが出てくる
・主人公の缶バッチやアクリルキーホルダーなどのグッズの販売も

③つるるとき子書店(書籍)

最後に、私が文学フリマ等で配っているつるるとき子書店のビラをご覧ください。

つるるとき子書店」は、私つる・るるるととき子さんのユニット名です。2025年5月段階でそれぞれ著書が5冊ずつあるため、それぞれに自分の本のビラを作り、それぞれお客様に手渡しています。
ちなみに共同出店者のとき子さんは、私と対照的で、口頭での宣伝が抜群に得意なタイプです。いつも持ち前の明るさで気さくに声をかけ、あっという間にお客様を引き込んでしまいます。あれは真似できません。

さて、私のビラがこちらです。
文フリにくる人なら、このくらい詰め込んでも大丈夫だろうという信頼のもとに作られた、文字多めのビラです。

著者である私が自分のブースの前で配り、口頭で情報を補足するのが前提のため、書ききれない情報はところどころ端折っています。
たとえば『羽ばたく本棚』の紹介に書かれている「note友だちのとき子、橘鶫、KaoRu IsjDha」。友情しか伝わってこないじゃないかい!と思ったら、noteなどのSNSで名前を検索します。
noteを見てみると、とき子さんが2024年の創作大賞で小説もエッセイも中間選考を突破した手練れの書き手であることや、橘鶫さんが鳥の絵描きであると同時にトールキン並みに奥行きのある世界観の物語を書き続けていること、KaoRu IsjDhaさんがチェコ在住の絵描きであり、墨絵や書道教室の教師でもあり、さらに長編小説の書き手でもあることを知ることができます。
つまり、なんか多才な実力派が仲間にいるんだな、ということが把握できます。

以上を踏まえてビラの内容を整理すると、このようになります。

ブース名:つるるとき子書店
ジャンル:エッセイ、日記
場所:東京ビッグサイト 文学フリマ東京40 【つるるとき子書店:す-72
日時:2025年5月11日(日) 12〜17時
対象とシチュエーション
・日常系エッセイが好きな人
・特にビール好き、恋バナ好き、本好き、ギラン・バレー症候群に関心がある人におすすめ
SNS・ネットショップの有無noteSTORES
その他アピールポイント
・『春夏秋冬、ビール日和』は3刷の人気商品(著者補足、累計300部)
・『羽ばたく本棚』は2024年の日本自費出版文化賞で入選
・多才な書き(描き)手による寄稿(とき子さん、橘鶫さん、KaoRu IsjDhaさん)
・新刊は日記本、ほかはエッセイ
・エッセイおよび日記本のテーマは刊行順に、一人暮らし、同棲&結婚、本、新婚生活、母の闘病

具体例が続いてしまったので、あらためてまとめます。
ビラが手に入ったらよく目を通し、ビラや商品がどんな人に響きそうか、どんなシチュエーションで商品を楽しんでもらえそうかを想像して、自分の言葉でまとめます。
下記の項目を埋めるイメージで、ビラの情報を整理しましょう。

商品名(店名/作品名/ブース名など):
ジャンル:
場所:
日時:
対象:
シチュエーション:
SNS・ネットショップなどの有無:
その他アピールポイント:

疑問点や気になる点があったら、依頼主に確認するか調べます。あなたが引っかかった点は、たいていお客様も気になるところです。
ここまで準備が整えば、ビラの情報とお客様の共通点探しは格段にやりやすくなるはずです。

ご協力:
豆千さん

白火夢野さん

次回:第3章 ビラ配りの当日