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ビラ配リスト入門 はじめに

ビラの配り方って、誰かに教わりましたっけ?

ふとした瞬間に思い出してしまうビラ配リストがいます。
選挙期間に、むすっとした表情で無言でビラを突き出してきた中年男性。
あの人は、本当に立候補者の味方だったのだろうか。実は対立候補者から送り込まれたスパイで、立候補者の足を引っ張るべく怪しい挙動でビラを配っていたのではあるまいか。そんなふうに勘ぐりたくなるほど無愛想な配り方でした。

ひょっとしたら彼はそんな陰謀を秘めていたわけではなく、ただただ犬のうんこを踏みたてだったとか、早起きが苦手でテンションが低かったとか、初仕事で緊張していたとか、星座占いが最下位だったとか、実はタイムスリップしたばかりで事態を飲み込めていないとか、そんな何かしらの事情があったのかもしれません。
でも、そんな事情を酌んでもらえないのがビラ配りです。ビラ配リストは、歩いてくる人々にとにかくビラを配らなくてはなりません。そういう仕事です。

ところでこのビラ配り、誰かにやり方を教わることは稀です。
仕事内容は、見たまんまだし。よく見かけるし。
「あの、よく見かける感じでよろしく」と投げられがちです。たいてい一人か数人で、派遣会社を通して派遣されたり、あるグループのなかから「あなたはビラ配り係ね」と時間制や日替わりで任命されたりするため、人のやり方を見て学ぶ機会もあまりありません。
そんな、身近な業務なのに、いや、身近な業務ゆえに、ふわっと適当に任されることが多いビラ配り。
……それで、いいんか?

ふわっと任されがちにもかかわらず、あるいはそれだからこそ、ビラ配りに苦手意識を持っている人は意外と多いのです。
人に声をかけるのに緊張してしまう、断られたことに傷ついてしまう、そもそもどこに立てばいいのかわからない、などと相談されることがよくあります。
たしかにビラ配りの仕事内容は、見たまんまといえば見たまんま。けれどその裏には、実は目には見えないコツがいっぱい潜んでいます。そしてそのコツさえつかめば、ビラ配りはかなり気楽にできるようになるんです!
ビラ配りをする人たちが少しでも安心して、そして楽しんでビラを配るためのコツをお伝えしたいなぁと思って、私はこのnoteを書きはじめました。

自己紹介が遅れました。つる・るるると申します。
私はセミナーで毎年数千人のビラ配リストを輩出するようなビラ配り講師でもなく、取材を受けたり本を執筆したりするようなカリスマビラ配リストでもない、ごく普通の市井のビラ配リストです。

ビラ配リストとしての私の略歴を紹介させてください。
大学1年生〜大学4年生 早稲田大学に入学後、ちんどん屋サークルでのビラ配り、アルバイトで試食販売員、予備校での高校生へのパンフレット配り、玄米おむすび屋で試食配りを始める
社会人以降 コロナウイルスの影響でサークルが廃部したのを機に趣味でちんどん屋を続ける。noteに書き溜めたエッセイを、2021年から年に一冊ペースで書籍化。自身の本の紹介チラシを文学フリマ、ZINEフェスなどの即売会イベントで配りつつ、友人の出店するゲームイベントでチラシを配るなど、ビラ配リストとしての研鑽を積む

以上、サークル、アルバイト、趣味を通して11年間キャリアを積み上げてきました。
のっけから身もふたもないことを言ってしまえば、ビラの配りやすい方法は人それぞれです。ここでご紹介するのはあくまで私にとっての配りやすい方法で、「人にごり押しするのが苦手な人」「華麗なセールストークが得意ではない人」向けの内容です。
私はごり押しもできないし、セールストークもそれほど上手ではありません。だからこそ、入念に準備をしてビラ配りに臨みます

多くのビラ配りは、時給制ないし日給制です。
大量のビラを配ったり、集客や購入に結びついたからといって、もらえるお給料は基本的には変わりません。
ただ、どうしたらもらってもらえるのか、その試行錯誤が楽しくてここまでやってきました。その過程を含めて、みなさまにお伝えできたらなと思います。

なぜいまビラ配りが必要なのか

もうひとつ、「なぜいまビラ配りが必要なのか」についても触れておきたいです。
ウェブ上にはネットショップがずらりと並び、「あなたへのおすすめ」として使用者の検索履歴や購入履歴から類似の商品が次々に表示されるいま、ビラ配りが担うべき役割とは何なのでしょう。
私は、「自分の知らない、いいものとの出合いを作ること」だと思っています。

「あなたへのおすすめ」は、自分の趣味嗜好の範囲内で類似する情報が掘り下げられていく便利な機能です。しかしその便利さゆえに、自分の守備範囲ではない世界に飛び出していく機会はどんどん減っているように思えます。自分が知らないだけで、知ればたちまち好きになってしまうようなものも、きっと世界中にはまだたくさんあるのに。そこを出合わせることができるのがビラ配りだと信じています。

だってみなさん、よくよく考えてみてほしいのです。たまたまのきっかけで人生が変わったことが、これまでどれほどあったのか。
学校や予備校選びからバイト、サークル、趣味、転居、就職、転職、結婚、別離、はたまたお墓選びまで。私たちは日々数々の選択を積み重ねて生きていますが、その選択の一つひとつをじっくりと見つめてみると案外「偶然の出合い」がきっかけになっていることが多くあります。
つまりビラ配りが吹き込んだささやかな未知の風が、誰かの人生を揺るがす契機にならないともかぎらないのです。それって、なんだかわくわくしませんか? 

そんなわけで本noteではこれから、「ビラ配り」についてひたすら熱く語っていく所存です。
今後の構成は、以下を予定しています。

はじめに (2,570字)
第1章 「ビラ配り」とは何か? (2,739字)
第2章 ビラ配りの準備【前編】 (2,746字)
    ビラ配りの準備【後編】 (4,382字)
第3章 ビラ配りの当日 (4,538字)
第4章 さまざまなビラ配り (5,815字)
第5章 私とビラ配り (3,168字)
合計 25,958字

ビラ配リストのみなさま、いつかビラ配リストになるみなさま、かつてビラ配リストだったみなさま、どうぞよろしくお願い申し上げます。

次回:第1章 「ビラ配り」とは何か?


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