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【ショートショート】幻覚パジャマ

【子供の夢を見てみよう】

 そんなキャッチコピーのパジャマを、加代は息子に着せていた。どんな仕組みかは知らないが、見た夢をパジャマに映し出すらしい。

 夫は「悪趣味じゃないか?」と眉をひそめていたが、毎晩うなされて汗びっしょりで起きる息子のために、何かしてやりたかった。

 夜8時。すやすやと気持ち良さそうに眠っていた息子の顔に、苦悶の表情が浮かぶ。

「さる〜さる〜えんかうふにゃ〜」

 意味不明な言葉を、舌足らずな発音でうめき続けている。慌てて布団をめくると、暗闇を赤く照らす炎が渦巻いていた。

 パジャマの表面を蛇のような炎が昇っていく。ズボンの辺りには着物を着た人間が血を流し、幾人も折り重なって倒れていた。

「な、何よこれ……ノブくん、ノブくん!」

 息子はいくら揺すっても目を覚まさない。こんな光景を幼い息子が見たことがあるはずはない。ふいに、祖母の話を思い出した。

──うちの家系は前世の記憶を保ちやすい

 前世の記憶?これが?

 苦しそうにしていた息子がピタリと動きを止めた。その口から朗々とした声が響き渡る。

「人間五十年、天下の内をくらぶれば〜夢幻の如くなり〜」

 織田信長……の生まれ変わり?不安半分、期待半分。どんなことがあっても、息子の味方でいようと思う。



幻覚じゃ……ない?夢も幻覚の一種ということで、ひとつお願いしますたらは様🙃
たらはかにさまの毎週ショートショート【幻覚パジャマ】に参加させて頂きました。

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