3Dプリンターでサイクロン集塵機を作る-設計編3 ドラム型セパレータを作る-
4回目です。セパレーター部分を作成します。
固定方式の選択
どうやってドラム部分をペール缶内部に固定するか?
ドラム部分をペール缶の内側に固定する方法は、いくつかあります。
ペール缶にネジ穴を空け、ネジで固定する
縦筒のペール缶内部にあたる部分に追加のネジ山をつけ、ドラム部分をネジ止めする
ドラム部分を接着する
ドラム部分の上面に磁石を取り付ける
選択基準としては、以下を想定しました。
固定は磁石で
M16磁石と、M3ネジの穴サイズを決める試作品
気密性に問題が出ないこと
ゴミが詰まったときに具えて、簡単に取り外せること
かといって、使用中に脱落しないこと
ネジによる固定は、気軽に取り外せません。気密は多少心配になる程度です。
縦筒にネジ止めするのは、設計がちょっと面倒ですが、有力候補です。
接着するのは、取り外し出来なくなります。ただ、後述のようにドラム部分の下部が取り外せるなら、そう拘らなくても良いかもしれません。
磁石は、「自作工房」さんと同じアイディアです。
今回は、磁石を用います。また、縦筒との間にわずかな隙間ができそうなので、気密については別途(次回、改良編)対策します。
磁石を固定する方法の確認(試作)
磁石はいくつかAmazonに売っていますが、M16のこれを購入しました。
磁石の直径が16mm、穴が3.5mm、付属のネジはM3くらいです。
M3ネジを止めるには、3mm丸穴では大きいのですが、六角穴で向かい合った辺の距離が3mmなら、穴径としては丁度良いです。


六角穴を空ける場合、スケッチで「作成」「ポリゴン」「外接ポリゴン」を選びます。1.5mmなら、中心から辺までの距離が1.5mmになります。

実際にネジで固定してみたところ、1.5か1.6ならOK。1.7は大きすぎました。1.5はタッピングでISOネジを止めるなら良いのですが、木ネジだとちょっとキツかったので、1.6にします。
また、M16磁石の外寸に対して、16.4mmの穴が丁度良いサイズでした。丸穴でも六角穴でも問題無かったので、磁石自体の埋め込みは、丸穴にします。
蓋部分を作る
磁石取り付け部分の寸法が分かったので、ドラム部分を作ります。
ドラム部分は、ペール缶とくっつく蓋と、ドラム本体に分かれます。まずは蓋部分です。
磁石を取り付ける穴を開ける
ペール缶との接触面になります。
蓋の直径は、A1 miniの最大サイズ 180mmよりちょっと小さい、176mmとしました。なんとなくです。
ドラムを170mmにしたら、補強部分を含め板厚3mm計算で、176mmになりました。
縦筒を差し込む穴が真ん中に空く予定で、こちらは70mmになります。
176mmと70mmの中間、100mm(半径70mm)の円周上に、丸く磁石を配置します。
M16 x 5mm 磁石よりちょっと大きな、直径16.4mm、深さ5mmの穴を開けて、真ん中に「ポリゴン」「外接ポリゴン」で、六角を開けます。

円形状パターンで、3つに複製します。
試作品で磁石の強度を確認して、3つで十分だと判断しました。

バヨネット機構を作る
以前の記事は、実は今回のドラム部分の蓋とドラムを繋ぐ機構の為の練習でした。
もう、バヨネットなんか止めてネジで良いんじゃないかな?と思わなくもないですが、当初の予定に拘ります。
集塵機利用時に簡単に外れず、かつ掃除の時に外しやすい構造として、バヨネット機構で蓋とサイクロンの円筒部分を接続します。
例によってなんとなく、のサイズでバヨネット機構のスケッチを作成します。
今回は斜めに移動する部分を作りました。
幅5mmの、斜めになった部分をスケッチする時は、「作成」「スロット」「中心合わせスロット」を使いました。

適当に斜めのスロットを作ってから、「修正」「トリミング」で、邪魔な線を消してスケッチを作成します。
蓋の直径よりひとまわり小さい円筒を押し出し、その側面に「エンボス」で切り取りを行ない、さらに円形状パターンをつかってコピーします。
配置は、磁石と30度ずらしました。



中央に、掃除機に繋がる穴を開ける
縦筒の形に合わせて穴を開けます。
この面取りは、縦筒の下部構造にあわせてあります。
一応、適当に差し込んでも真ん中にアジャストするから、このような形状にしたという理由があります。

その後モデルをひっくり返して、蓋の裏側を肉抜きします。
「修正」「シェル」で厚さ3mmにすると、良い感じに不要な部分が消えました。

ただ、これは後で知ったのですが、シェルの結果、外周にある円筒の最上部と蓋との間に、微妙な空間が発生していました。
3Dモデルにして、印刷しようとしたときに、この空間にもじゃもじゃとサポートが生えていて気がつきました。
その後、空間は埋めてあります。
回しやすくする引っかかりをつける
バヨネット機構はそこそこ固く調整しているので、蓋を外すときに指をかける突起が欲しいです。
前回、縦筒を固定する雌ネジにつけたものと同じ切り欠きです。

円周上から少し離した位置に20mmの円を描き、縦に押し出して切り取ります。
それをぐるっと、良さそうな数だけ複製します。
今回は、30個複製しました。


ただまあ、直径が170mmもあるので、これでも結構回しづらいです。
手の大きな男性(私のこと)でギリギリ。私以外の家族は無理でした。
ドラム部分を作る
下部のドラムです。横から空気を吸い込む穴をあけ、最も下の部分は閉じます。
寸法は、高さが160mm(バヨネット機構で隠れる部分を含む)、直径が170mm(最も大きい部分)です。
バヨネット機構の分が30mmなので、それ以外の、蓋から下に露出する部分の高さが130mmです。

穴を開ける部分
横に窓のような四角い部分をつくり、エンボスで2.4mm削ると、0.6mmの薄い円筒になります。ここに穴を空けます。
正直、穴のサイズや穴数がこれで足りるか疑問ですが、そこは改良編にまわします。
穴径、2mmじゃ小さすぎない?
縦横に配置したけど、斜めにも置いて、千鳥にすべきだったかも
六角形のハニカム構造も考えた。けど挫折した
改良編でどうするかは、まだ検討中です。


穴はエンボスで空けました。その元となるスケッチは、窓の外寸よりちょっと内側に、高さ90mm、幅130mmで、5mm間隔に直径2mmの穴を空けました。
それを円形状パターンで3つの窓にコピーしました。ここが一番重い処理でした。
バヨネット機構のオス側

蓋とドラム部分は、作成時は見えませんが座標は合わせてあります。なので、バヨネット機構のオスの突起を作るときは、直径4.4mmの円をメス側の内側に入るように調整して作るだけです。
注意点として、縦方向で最も奥に差し込んだ位置(上記キャプチャ参照)に作ります。
完成と印刷
ということで、一旦完成です。
完成予想図は頭の中にあったので、比較的簡単に作れましたが、穴が多すぎて処理が重かったです。

3Dモデルを生成すると、蓋は265kbと比較的小さいサイズでしたが、ドラム部分が15.7MBと、今までに作った中で一番大きいファイルサイズでした。







正直、この3Dモデルを生成したとき、絶対に10回はBambuLab Studioが落ちるな、と思っていました。
モデルサイズは15.7MBもあって、今まで作ってきたモデルの10倍以上あるからです。
でも、Maker Worldにあるモデルは、それ以上のファイルサイズのモデルがいくつもありましたので、今回のモデルも、案外普通なのかもしれません。
(穴が一杯あるから、このサイズになっただけですし)
PLAフィラメントの比較。SUNLUとELEGOO
ドラムの色が違うのは、ちょうど蓋の印刷で、SUNLUのフィラメントが無くなりそうになったからです。
安く買えたので気軽に試作に使える割に、特に設定の苦労もなく、BambuStudioの「Generic PLA」の設定で安定した印刷ができる良いPLAフィラメントです。
ドラム部分はELEGOOの青いPLAです。青が消えていたので、リンク先は黄色ですが、ELEGOOも「Generic PLA」で印刷に困っていませんね。
今回偶然ですが、失敗して蓋を作り直す事になった(改良編を参照)為、2種類のフィラメントで同じモデル(蓋部分)を造形する事になったので、比較した感想です。
両者の違いは、ブリッジとサポートに出てきました。

上記のような、穴を塞ぐサポートが出来てしまう場合、SUNLUは硬く、取りにくいです。逆にELEGOOは柔らかく、あっさり外せました。
先の尖った工具を差し込んで、ぐりぐりと隙間を広げ、下から持ち上げるように梃子を使って剥がしたのですが、SUNLUは思った以上に手こずっています。

逆にオーバーハングする部分は、SUNLUのほうが硬い分、造形が安定していました。ELEGOOで作った蓋は、上記のバヨネット機構のメス側で、3箇所中1箇所で造形が乱れました。サポート材が行方不明なので、おそらくサポートを作る過程でトラブルが発生し、それが支えるオーバーハング部分もきちんと造形できなかったのだと思います。
もちろん外乱(風や温度変化)が原因である可能性も捨てきれませんが、比較的、硬いSUNLU、柔らかいELEGOO、という感じがします。
(もちろん、BambuLabStudio, Generic PLA, 0.4mmノズルという条件下だけの比較なので、他の機種やセッティングで違いが出るかもしれません)
安く、安定したPLAフィラメントが購入できるのは、10年以上、先人達が苦労してきた結果なのだと思います。
ほぼ全部自動化されたA1 miniが使える、私たち新規参入者には、良い時代ですね。
失敗!!!
印刷してみて、ミスに気がつきました。
バヨネット機構の接触面が同じ164mmで、クリアランスが確保できてなかった為、ドラムが入りません。
無理に押し込めば入りますが、取れなくなります。

改良編で、蓋を修正するので、そのときに内側にクリアランスを確保することにします。
以上、予定していた設計編はこれで終了です。
あと一回、印刷結果からのフィードバックによる改良編を挟みます。
その後、ゴールデンウィークに帰省したとき、ペール缶加工を行なう予定です。
結果は、おそらくGW開けから、5月中旬くらいに報告できると思います。
