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【静岡】大井川鐡道 | SL急行(1回/全4回) | 2004年ほかアーカイブ


-大井川鐡道-

静岡県の中央部を南北に貫く大井川鐵道は、全国に先駆けてSLの復活運転を実現させた「動く鉄道博物館」とも言える路線である。
しかし、この鉄道の魅力はSLだけではない。各私鉄から集まった退役した旧型電車たちが現役で走る姿は、目立たないながらも非常に味わい深く、沿線の風景に独特の情緒を添えている。

景勝地の寸又峡温泉や、井川線の終点・井川はいずれも先へ通り抜けができない「盲腸地区」だ。通過点にならないからこそ、そこを目的地として訪れた者だけが味わえる、静かで贅沢な時間が流れている(と思う)。

-SL急行-

年間を通じてSLに乗れる、数少ない鉄道のひとつ。基本的には一日一往復で、金谷駅から千頭駅までを一時間強で結ぶ。牽引される客車も時代がかったもので、車内にはノスタルジックな雰囲気が漂う。鉄道にそれほど興味がなくても、十分に旅気分を味わえる。


新金谷駅。
写真だとあまり古く見えないが、建てられたのは昭和6年。駅の向かいにある「プラザロコ」では弁当やグッズの販売がされている。ちなみにこのプラザロコ内にも古いSLが展示されている。


遠くで汽笛の音が聞こえ、今か今かと待ちわびていたが、なかなかその姿が見えない。
隣にいたNHKの取材の人曰く、「汽笛は遠くでも聞こえるので、聞こえてから姿が見えるまで結構時間がかかる」とのこと。

それならばと油断していたら、いきなりSLが姿を現した。
NHKの受信料を払ってないからだろうか、巧妙なトラップにはめられた。


戦前から戦中の一時期を挟んで、戦後にかけて製造された、オハ35系客車。
ボックスシート。青モケット、白く塗られた二重屋根、網棚、そして木製の窓枠といった、国鉄客車の原風景。

ちなみに銀河鉄道999の客車モデルと言われているスハ43系よりも古い形式。


昔の客車そのままのクロスシート。
木目がシックで雰囲気はいいのだが、二人組同士で同じボックスになると、何となく気まずい。混んだ観覧車で見知らぬカップルと同席させられた時の気まずさを少しだけ薄めた感じ。


JNRの刻印付き灰皿。
現在は使用禁止となっているが、昔の車両には当然のように備え付けられていた。煙かったもんだ。


最近は金属製のパイプとなっているが、これは正真正銘の「ザ・網棚」


扇風機のスイッチ。
タッチパネル全盛の時代、本能的な操作が可能な物理スイッチは、非常に使いやすい。


扇風機の本体


せっかくSLが牽引するのに客車が近代的では興醒めだが、その心配は無用だった。予想以上に古めかしい客車に乗り込んで早速撮影開始。
写真は洗面台。現在は物置として用いられているようで使用できなかった。せっかくなので使えるとありがたいのだが。


デッキ部分。
塗装の塗り替えを繰り返した壁面や、配電盤の蓋に経過した時間を感じさせる。乗降扉はもちろん手動。


デッキに掲げられていた額。
確かに乗り心地は現在のものと比べるまでもないが、細部の作りこみは丁寧で細かく、味があった。


同じく掲げられていた国鉄時代の路線図。昭和40年代中期のもの。芸が細かくてよい。


かつての旧型客車を改造したお座敷客車。
畳が敷かれ、長机と灰皿が並ぶ。昭和の団体旅行を彷彿とさせる、独特の「宴会列車」の雰囲気を醸し出している。


機関車編


C11 312号機

1946年 製造
1975年 会津若松機関区にて現役引退。三重県松阪市のドライブインで静態保存
1988年 大井川鐵道へ譲渡、営業運転開始
2007年 ボイラーおよび軸焼けの不調により運用終了。千頭駅にて静態保存
2020年 部品取りの後、車体の一部を島田市「KADODE OOIGAWA」にて保存


C11 190号機

1940年 製造
1974年 熊本機関区にて引退後、個人により静態保存
2001年 大井川鐵道へ譲渡
2003年 営業運転開始
2016年 期間限定で門鉄デフ(門司鉄道局式除煙板)を装着
2021年 二代目「きかんしゃトーマス」に改装・運行

かつては緑の金縁プレートを纏った優美な車体であったが、初代トーマスの検査切れに伴い大役を継承した。
SL本来の姿を愛するファンには複雑な思いもあるが、SLを維持していくのは非常にコストがかかる。2022年の台風被害からの復旧費用も莫大であり、全線開通の目処も立っていない。
本機が「トーマス」として走ることは、鉄路を守るための苦渋の決断なのだろう。


C11 227号機

はじめての動態営業運転
はじめての「トーマス」

1942年 製造
1974年 釧路機関区にて引退
1975年 大井川鐵道へ譲渡
1976年 日本初のSL動態保存運転を開始
2014年 初代「きかんしゃトーマス」として改装・運行
2021年 検査切れによりトーマスの役割を190号機に譲る
2026年 営業運転準備中

当初は黒色塗装への復帰と2024年の再開が見込まれていたが、路線分断の影響により、SL2両の同時運行体制維持が困難な状況なのだと思われる。


C10 8号機

1930年 製造
1962年 会津若松機関区にて引退。岩手県の企業に譲渡され、専用線の貨物輸送などに使用
1979年 運用終了
1987年 廃車後、宮古市が観光列車として運行(1987-1990年)
1994年 大井川鐡道へ譲渡
1997年 営業運転開始
2026年 「きかんしゃパーシー」に改装・運行

昭和初期、都市近郊列車けん引のために誕生したC10。大井川鐡道の主力でもある後継機C11と比較して、リベットが目立つ無骨な外観が特徴。
他の機関車が「トーマス」や「ジェームス」といった、トーマスシリーズに改装される中、最後まで「黒い機関車」として残されていたが、2026年、ついに「パーシー」として改装された。


49616(9600形617号機)

形式としては9600形。後のD51、C62といった形式称号となる前であり、1928年の形式称号改正で形式の称号が変更された。

1920年 製造
1976年 岩見沢第一機関区で引退
1976年 静岡県本川根町(当時)に譲渡、千頭駅にて静態保存
2014年 「きかんしゃトーマス」シリーズの「ヒロ」に改装    

孤立状態の千頭駅で今も観光客を迎え続けている


C56 44号機

1936年 製造
1941年 軍事供出により、改軌された上でタイに送出
1979年 日本へ帰還、大井川鐵道へ
1980年 再改軌の上、営業運転開始
2003年 ボイラー不調により休車
2007年 ボイラー交換を経てタイ国鉄仕様で復元
2011年 日本仕様へ再改装
2015年 「きかんしゃトーマス」シリーズの「ジェームス」に改装・運行

2004年休車時代(千頭駅)
2007~2011年のタイ国鉄仕様時代(千頭駅)

C12 164号機

1937年 製造
1973年 木曽福島機関区にて引退
1973年 静岡県本川根町(当時)に譲渡、千頭駅にて静態保存
1987年 日本ナショナルトラストが購入、動態復元
2005年 ATS(自動列車停止装置)設置困難のため営業運転終了。
2011年 新金谷駅の転車台にて静態保存


E102

1949年の本線電化に伴い製造。現在はSL急行の補助機関車(補機)として運用。


ED501

1956年製造(旧大阪窯業セメント)。1999年に大井川鐵道へ譲渡。現在は全般検査が完了せず新金谷車両区に留置中。


謎トーマス

将来のSLトーマス化に向けて千頭駅に置かれていた、眼球陥没鼻デカトーマス。


次回は乗車レポート

<つづく>


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