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【連載小説】第24話『真昼に潜む影と真夜中に猛る獣の物語』

勅を拝命して心を決めるチョウマ
ただ 都の遣いは一つの危惧を伝える

勅④ 影を指す


それもまた やむを得なかろう
二人は呪われた怪異であるから
幻想と現実が交わる祈りと魂の叙事詩


 そしてチョウマは侍たちの話を継ぐように語り始めた。
「どちらの予知も当たったのですね。

 ……うん。そうだな。二、三日前です。
 俺が邪な魔導のにおいを感じたのは。
 イオリも耳にしたそうです。
 邪念の波動を、森の木々がざわめいたそうで」

「においを感じされ申した……?」
 問いかける片倉の心中の意味を悟りチョウマは苦笑いする。
「獣は鼻が利くんですよ」
「……左様で」
「フフフ、そうです」

 構わずに続けた。
「陛下がその夢見先をご覧になられたのは、どれくらい前でしょうか。
 貴殿らが都を出立して、どのくらい日にちは経ちましたか?」
「はい。
 白梅が綻んだ頃ですから、おおよそ一月半は経っています」
「そうなんですね。そんなに早くから。
 夢見先は……そう。
 クィシンの邪念が陛下の霊気をかき乱せたのでしょう。
 ……クィシンの手先が侵入したのが厄介だな」
 大きく頷く片倉と安西。

 チョウマも大きく頷いて答えた。
「判りました。明朝には出発いたしましょう」
「おぉ! ありがとうございます」 
「早馬を用意いたしますか?」
「要りません。
 俺たちの足でなら下越まで一日もかかりませんから」

 安西が恐る恐るチョウマに伺いを立てる。
「賊の行方は知れませんが?」
「はい。道すがら捜してみます。
 大丈夫。
 俺たちを信用して下さい」
「……決して、そのような意味では」
 チョウマの気分を害したと思ったのか、安西は首を左右に大きく振って深く会釈した。
 もとよりチョウマは少しも気にしていない。

「用件、確かに承りました。
 そのように左大臣にお伝え下さい。 
 あと、こちらは元気にやっておりますと。
 お心遣いありがとうございます」
「かたじけない」
 と云って、また頭を下げる片倉と安西。

 そして恐る恐る片倉が尋ねた。
「イオリさまはどちらに?」

 イオリのことに触れなかったのは、わざとではない。改めて云う必要もないと思ったからだ。

 皇宮内の官僚ならば話は聞いていよう。
 イオリを名指ししたのは興味本位か。
 怖いもの見たさか。
 まさか、面白半分ではなかろう。
 やはり確認はしておきたかったのだろう。

 あまりいい趣味ではないな、と思ったがチョウマは二人の望みを叶えることにした。
 仕方ないので、声をかける。

「こちらをご覧あれ」
 そう云ってチョウマは座敷の行灯の灯りも届かない陰を二人の前で指差す。

 片倉と安西は一緒に指差す方へ顔を巡らした。



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