正しさだけでは、救えないものがある
「お前は、海に飛び込めるか?」
この問いを、喉元にナイフのように
突きつけられたような気がした。
『ブルーピリオド』5巻の
あるシーンを読んだとき、
まるで自分のことを
言われているような気がした。
「君は溺れている人がいたら、
救命道具を持ってきても海には飛び込まない」
「裸で泣いている人がいたら、
服をかけて話を聞くことはあっても、
自分も脱ぐことは絶対にない」
その言葉を目にした瞬間、
心がざわついた。
あー自分だと。
強みでもあり、弱みでもある。
いや弱みの要素の方が大きいか。
確かに、僕は「正しいこと」を選んできた。
でも、それは本当に
「人を救うこと」
だったんだろうか?
八虎「何かしてほしいことないの?」
ユカ「あははははっ」
八虎「えっ何だよ」
ユカ「してほしいこと…」
「じゃあ会いに来てよ。今すぐ」
八虎「いっ・・・・・・今からは無理だけど・・・」
ユカ「だよねーっ!」
「店の売り上げに貢献してもらおうかと
思ったんだけどダメかー」
八虎「てっ・・・・・・」
「テメーッー!」
ユカ「でもそう言うとこだよ八虎」
「君は溺れている人がいたら
救命道具を持ってきても
海に飛び込むことはしない」
「裸で泣いている人がいたら
服をかけて話を聞くことは
あっても自分も脱ぐことは絶対にない」
「教えてやるよ
冷静なんだ
君は
正しいよ
正しいから
優秀なのさ
君はいつだって
優秀だ
でもさ・・・っ」
「正しい場所からしか
話せないなら
アタシがお前に話すことは
何もないねっ・・・!!」
これを読んだ瞬間、
まるで自分のことを
言われているような気がした。
腕には力が入り、
頭に血が回っているけど
ようやく言葉になって
どこか安心したような感覚だった。
社会人時代の僕は、
管理職として
ただ「正しくあろう」
としていただけだった。
間違えたくなかったし、
失敗したくなかった。
だから、頭の中で考えた
“正しい答え”を持って、
指摘したりしていた。
自分でやったこともないことも含めて。
経験がない分、
知識や言葉を盾にして、
自分が「大人になったつもり」
でいただけだった。
冷静に、論理的に、
感情を抜きにして
「正しい意見」を言えば、
それが一番だと思っていた。
でも、それが本当に
相手のためになっていたのか?
ユカの言葉を借りるなら、
僕は「救命道具を持ってくる側の人間」
だったのだろう。
冷静に分析して、
合理的な手段を考えて、
それを提供する。
間違いではないんだけど。。。
決して溺れている人と
一緒に海に飛び込むことは
しなかった。
「大丈夫か?」と声をかけて
横に立ったつもりになっていただけで、
本当の意味でその人の横に
立てていなかったんだと気付いた。
それが、僕の「正しさ」だった。
でも、ユカはこうも言う。
「正しい場所からしか話せないなら、
アタシがお前に話すことは何もないねっ…!!」
この言葉が、胸に刺さった。
僕はずっと、
間違えないように生きてきた。
だからこそ、
感情に流されず、正しくいられることが誇りだった。
でも、「正しい場所」からしか
話せないとしたら、
それって本当に
相手に寄り添っていると言えるのか?
本当の意味で、
相手を理解していると言えるのか?
そんなことを考えさせられた。
正しさだけでは、救えないものがある。
何となく感情を無くした生き方の限界を
感じ始めていた僕にとって
ど直球にこの言葉は刺さった。
僕は「正しくあろう」とすることよりも、
「自分も飛び込んで、自分の足で確かめながら進むこと」
を大事にするようになった。
正しさだけを選ぼうとすると、
いつの間にか“安全な場所”からしか
物を言えなくなる。
失敗しない道、批判されない
無難で安牌な選択肢ばかりを探してしまう。
でも、それって結局
「本当の意味で関わらない」
ことと同じなんじゃないか?
と思ってしまう。
たとえば、誰かが困っているとき、
知識を振りかざして
「こうすればいいよ」と言うのは簡単だ。
でも、その言葉が
本当に届いているかはわからない。
むしろ、
「お前はそこにいないくせに、
正しさだけ押し付けるなよ」
と思われているかもしれない。
だったら、
頭の中だけで答えを出すんじゃなくて、
まず自分でやってみる。
手を動かして、間違えて、恥をかいて、
それでも「この道でいいのか?」
と確かめながら進む。
そうやって選んだ言葉や行動なら、
きっと“正しさ”を超えて届くはずだから。
正しさを語るだけの自分には、
何も響かなかった言葉がある。
でも、もがきながら進む自分には、
心の底から理解できる言葉がある。
その違いを知ったとき、
僕は初めて、
誰かと本当に繋がれた気がした。
読んでいるあなたにも届いたら幸いです。
ほなまた。
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