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「すいません、時間がなくて」の代償

「すいません。時間がなくて、まだできていません」

社会人なら、
誰もが一度は口にしたことが
あるセリフかもしれない。
僕もそうだった。

そして、あの一言が、
未来を静かに遠ざけていたと気づいたのは、
ずいぶん後のことだった。

社会人時代、何度このセリフを口にしてきただろう。
今思えば、あの言葉は“言い訳”でもあり、
“責任放棄”でもあった。

でも、そのときの僕には気づけなかった。

新卒2年目、仕事に慣れ始めた頃から、
僕は徐々に腐りかけていた。
そんなタイミングで声をかけてくれた上司がいた。

「異動してみないか?」

その打診がきっかけで東京の部署に配属され、
その上司の元で働くことになった。

配属から1ヶ月もしないうちに、
上司はそのまま部署のTOPになった。

だけど、立場が変わっても
ずっと気にかけてくれていた。

僕が初めて札幌センターのセンター長になったとき、
昇格を告げてくれたのもその人だった。

センター長になった頃、僕は27歳。

年上の部下を持ち、
右腕となる副センター長は、
新卒時代の1つ上の先輩。

正直プレッシャーも大きかったけれど、
「この人のためなら」
と思わせてくれる上司だったからこそ、
なんとか必死でやっていた。

年に数回、上司が現場に足を運んでくれる。

ある日、札幌駅から少し南にある居酒屋で、
センター長になってから初めてサシで食事をした。

席について、乾杯をしてから始まるお決まりの一言。

「最近どう?」

僕は、包み隠さず本音を話した。

すると、上司は僕に必要なことをしっかり伝えてくれた。
数字に対する意識、マネジメント、年上部下との向き合い方…。

どれも図星だったし、
自分でも「足りない」とわかっていたことばかり。
でも、全部を的確に言語化してもらって、腹落ちした。

けれどそのとき、僕はこう返してしまった。

「すいません。時間をなくて、まだできていないです」

ほんの数秒、静寂が流れたあと、

「確かに(センター長に)なったばかりで忙しいよな。
じゃあ、今すぐじゃなくてもいいから、
いつまでにやろうと思ってる?」

上司はそう言ってくれた。

今振り返ると、あの言葉には大きな学びが詰まっていた。

“時間がない”というのは、
結局「優先順位が低い」
と言っているのと同じだ。

本当に大事なことなら、
人はなんとか時間を捻出する。

当時の僕は、
YouTubeを観ながらソファでだらける時間はあったのに、
簿記の勉強を「やるべき」と言われても
「時間がない」と言ってやらなかった。

本当は「必要性を感じていなかった」だけだった。

時間を作れないんじゃなくて、
「作ろうとしていなかった」。

あの頃の僕は、
上司の仕事量や責任の重さを考えもしなかった。
自分のキャパを守ることで精一杯だった。
でも今ならわかる。

時間を作るというのは、
責任を持つ覚悟を決めることでもある。

「あのとき時間を作らなかったこと」
による“代償”を、今あらためて感じているからこそ。

あのとき簿記を学んでいたら、
もっと早く自分で稼ぐ仕組みを
作れていたかもしれない。

もっと経営感覚も養えていたかもしれない。

でも、だからこそ思う。

人生に「やらなかった時間」
を後悔しないためには、
「今」どんな行動を選ぶか
でしか未来を変えることはできない。

“時間がない”と口にするたびに、
自分の大切な未来が
静かに遠のいているかもしれない。

今、あなたが「時間がない」と言っているそのこと。
それは本当に“必要ない”ことですか?
それとも、“見ないふり”をしているだけですか?


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