初句6音の効果 ~京極派スペース抄~
「心のままに詞の匂ひゆく」ように歌を詠む――鎌倉・南北朝時代の和歌文脈において異色であったこの歌論を、京極派という和歌グループは選択しました。
その京極派について、X(旧Twitter)にて毎週お話しています。
この記事は、そんな京極派スペースの音声を読み物として整えた京極派スペーステキスト版の一部を抜粋したものです。
2026年3月28日放送スペース「花を詠んだ京極派和歌(玉葉集)」、
5月13日テキスト化した「『玉葉集』の花盛り」より。
京極派和歌には字余りが多いと言われますが、そのうちの初句・三句6音の字余りの効果についてお話した箇所を、今回テキスト版から抜粋しご紹介します。
初句6音の効果 ~京極派スペース抄~
まず初句を「思ひそめき」と6音で、しかも初句切れで始める。
初句6音というのは、京極派によく見られる形です。そもそも京極派は字余りが多いですね。
初句6音にはいろんな効果がある。
例えば、噴き上げる水とか、勢いよく流れ落ちる滝とか、風が強く吹く様子とか、そういうのを音やリズムでも表すために初句や三句を6音にする。
すると、その箇所だけ少し早口になるじゃないですか。5拍で読むべきところに6音あるから。
少し早口になるそのリズムを使って、水の勢いや風の勢い、そういったものを表す。
そういうことがありますけれども、「思ひそめき」と、一息でまず文章の述語の部分を言う。倒置して。
何を思い初めたのかはまだ言わず、まず「思ひそめき」。
この場合は、気持ちの強さを表すための字余りと言っていいかな。
陳腐な例になってしまうけど、例えば「好きなんだ」と先に言っちゃう。
そして、何が好きなのかといったら「君のことが」と後に添える。
または、「好きなんだ」と言われて「えっ」となったところ、「君の妹のことが、君の友達のことが」とずらされる、とかね。
先に動詞というか述語の部分を言っちゃう。
そうすることで、はっと注意を引く。
というのが、この初句6音で述語を言ってしまうこの歌の、まず目を引く箇所です。
「京極派スペース抄」は以上です。ありがとうございました。
京極派スペース抄
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