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美を真正面から詠む ~京極派スペース抄~

「心のままにことばの匂ひゆく」ように歌を詠む――鎌倉・南北朝時代の和歌文脈において異色であったこの歌論を、京極派という和歌グループは選択しました。
その京極派について、X(旧Twitter)にて毎週お話しています。

この記事は、そんな京極派スペースの音声を読み物として整えた京極派スペーステキスト版の一部を抜粋したものです。



2026年2月20日放送スペース「霞を詠んだ京極派和歌」、3月7日テキスト化した「霞の奥に見えるもの」より。

霞を詠んだ京極派和歌をご紹介したなかで、日本の伝統的な美の描き方と京極派のそれを比較した部分を、今回テキスト版から抜粋しご紹介します。


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美を真正面から詠む ~京極派スペース抄~

ここまで何のひねりもなく、真正面から春というもの・春の春らしさ・春の魅力を詠む、ということは逆に珍しいかもしれません。


例えば私たちって桜を……「私たち」というと語弊があるかな、少なくとも伝統的な和歌で桜を詠もうとすると、
「まだ咲かないかな。まだ咲かないかな」と桜を待つ心とか、
「はあ、こんなにすぐに散ってしまった」と散る桜を詠んだものとかがやっぱり多いんですよ。

満開の桜を詠んだ歌って実は、ないとは言わないけど、そんなにメインではない、
という中で、京極派は満開の桜も結構正面から詠んでいます。
そういうところ面白いなと思いますね。


兼好法師が『徒然草』で
「桜というのは満開だけを詠むものか、月というのは満月だけを愛でるものか、そうじゃないだろう」
というようなことを言っていて、

それに対し江戸時代の本居宣長が
「そういう屁理屈を言ってるやつはダメだ」
「日本古来の心を忘れて、中国かぶれになって」
みたいなことを言っていました。

あの、これ正確な引用じゃないですよ。
記憶に頼って言っていますから正確な引用ではないけど、そういう風に書いたものがあります。


やっぱり伝統的な日本人の歌の詠み方としては、
桜は満開じゃなくてまだ咲いてない桜を待つ心とか、散り始めたり散ってしまったりした桜を詠むし、
月も満月をどんと詠むよりは、月がまだ出ないとか満月じゃない月とか……
必ずしも“そのもの”の完璧な姿みたいなものを正面から扱うということではない、そういう傾向のほうが強かったと思います。

なので、兼好法師の指摘には「そうだな」と思います。
兼好さんには個人的に色々思うところがありますけど、今回挙げたその点については「まあそうだよね」と思います。


そういう和歌の伝統の中で、京極派は逆に真正面から満開の花を詠んだり、
この「百千鳥」についても「正面からの描写」と岩佐先生は書いていらっしゃいますけど、そういうことをしたりした。
なるほどなと思います。


「京極派スペース抄」は以上です。ありがとうございました。


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京極派スペース抄


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この記事を書いた人

photo by ミカアンドロイド

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