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人生、下振れ引くか、上振れ引くか……リメイクのお話とか(秒速5センチメートル/ToHeart/ガンダム/他)


0.はじめに

(※いきなりですが注意)
当記事で、本年リメイクとして公開される予定の作品についても言及していますが、筆者はあえてリメイク作品の情報は見ないで書いてます
なので、筆者の思い込みも含む記事になっている可能性が高いことを、あらかじめご了承ください。

今に始まったことではありませんが、ゲームでも、アニメでも、実写映画でも。
商業的に、もしくは、作品の評価的に、大成功を収めたような作品は、さまざまな事情(大人の事情も含む)で「リメイク」されることがあります。

筆者が個人的に注目している作品から一部を紹介します。



1.To Heart(リメイク)

かつての「Leaf」ブランドから、リーフビジュアルノベルシリーズ第3弾として、1997年に18禁ゲームとして発売された「To Heart」が、この6月末にリメイク版として発売される予定です。

To Heart」は、ゲーム形式としては「サウンドノベル」という種類に該当し、場面ごとに切り替わるBGMと、動きの少ない(またはまったくない)画像を背景として、ゲーム画面に流れるように表示される小説風のテキストをユーザーが読んでいく、というものでした。(単に紙の本でテキストを読み進めるよりも、BGMと背景絵とがあるため没入しやすい、という特性があります)
ゲーム界隈としては当作品の大ヒットで、一気にこうした形式の作品の認知度が上がりました。(ホラージャンルで「弟切草」などの作品もすでに出ていましたが)

リーフビジュアルノベルシリーズ第1弾「」、第2弾「」も、当時のコアなファンから高評価を受けてはいましたが、第3弾「To Heart」は、18禁ゲーム界隈の壁をぶち破り、コンシューマーゲームや、アニメ化(ともに1999年)へとつながって行きました。

筆者個人としては、作品の奥深さや文学性といった面では、第1弾「」や、特に第2弾「」の方が上だと思っていましたが、やはり、より広い層にウケたのは、「萌え要素」をふんだんに盛り込んだ「To Heart」だったのです。

ゲームという領域は、まぁ、昔の作品の動作環境が消失することにより、プレイすること自体ができなくなってしまいますので、リメイクされるという動きも、ありかと思います。(ただ、最初の作品からは25年以上が経過しているので、どの程度のリメイクとなっているかは、気になるところではあります)



2.秒速5センチメートル(実写化)

君の名は。」「天気の子」「すずめの戸締り」等の作品で知られる新海誠監督の、2007年作品である「秒速5センチメートル」。

上記の作品はアニメーション映画作品ですが、今年の10月、実写映画化されるとのこと。

筆者はこのニュースを初めて見た時、「え? あの作品の実写化なんて可能なの?」と、正直、思ってしまいました。

あまりネタバレはしたくないので、言い方が難しいのですが。

秒速5センチメートル」は、新海誠監督のリアリティがある描写を、そのままだと非現実に傾く性質のあるアニメーションを用いて、現実をも超える現実感を伴うような表現をしてみせたからこそ、観る者の心に刺さる作品になっているのだと考えます。

名作という評判も多く聞こえてくる当作品ですが、筆者はけっこう人を選ぶ作品だとも思っています。

なぜなら、「人生の下振れ」を、描いているから。

筆者はゲームそれ自体はやることもほとんどなくなりましたが、ゲーム実況は良く観ます。ゲームの中にはガチャ等、運の要素が強いものがたくさん出てきます。

「ああ、下振れを引いちゃったかぁ」とは、実況者が良く言うセリフで、確率的には「当たり」も「はずれ」も同確率なはずなのに、「はずれ」ばかりが出てしまった際に、このような表現がされるのです。

ハッピーエンド作品は、予定調和な展開、つまり「人生の上振れ」を描くことにもつながるため、それが、視聴者には安直だと捉えられてしまうこともあります。

アンハッピーエンドの作品の方が、文学的、芸術的な面で言えば、美しくも切ない名作になりやすいという意見があります。

これは、「人生の下振れ」を描いているからだと思います。

でも一方で、多くの視聴者は、自分自身が現実世界でこれでもかと「下振れ」を引いてきているので、せめて創作作品の世界だけでも、何とか幸せな気分になりたい、という気持ちも同時に持っています。

この、人生の下振れも隠すことなく、それでいて最後には、一部ファンタジックな仕掛けも用いて、主人公たち、ひいては観客に……確かな上振れの予感を感じさせるような、観る者の脳内で勝手に、上振れる未来が思い描かれるような味付けに仕上げているのが、「君の名は。」以降の長編作品なのだと思います。

ひるがえって「秒速5センチメートル」は、視聴者が最後には上振れがやってくるのだろうと淡く期待をしながら観ている中、結局、最後まで上振れを起こさせないどころか、予感さえ残さず、ひたすらに切ない余韻をもたらすようになっています。
だからこそ、見方を変えれば後年の「君の名は。」等の大ヒット作よりも名作だと評価する人がいるのでしょう。

まあ、元の作品が良い作品ですから、よほどのことがない限り、実写版も、同じくらい良い作品になってくれる可能性が高いとは思うのですが、どうなることでしょうか。
筆者としては、実写版よりも、むしろ今年、18年前の作品が話題となることで、再び元のアニメーション映画「秒速5センチメートル」を観てくれる人が増えることの方が嬉しいです。



3.今年話題のガンダム最新作もある意味リメイクかも

今でこそ、「ファーストガンダムこそ原点にして頂点」などと、色々ネット上でも言う人がいますが、今から46年前、筆者がまだ小学生の頃に(ああ、歳がばれちゃう)、いわゆる初代の「機動戦士ガンダム」がTV放映された当時は、全く視聴率も伸びなかったですし、その頃の主な視聴者である子供には難しすぎて、正直、よくわからない作品だったのです。

でも、いわゆる「夕方5時半からの再放送枠」で、くりかえしくりかえし放映される中、じょじょに人気が出て行ったという記憶があります。(おそらく、筆者よりは数年歳上の方々から、より多くの支持が集まったものと想像します。再放送は筆者も観ており、後述の劇場版も映画館で観た世代ではありますが)

当時の毎週放映のTVアニメの例に漏れず、回によっては作画崩壊もひどく、それでもあれだけの人気が出たのは、富野監督らの描いた作品世界そのものが観る者を惹きつけたのだと思いますが、それでも作り手側には不満も多かったのか、人気が出た際に、当時としては異例の『劇場版3部作』が制作されています。
(劇場版『機動戦士ガンダム』『機動戦士ガンダムII-哀・戦士編-』『機動戦士ガンダムIII-めぐりあい宇宙編-』)

この『劇場版3部作』も、後半になるにつれて新作カットが増え、一部のキャラクターが搭乗する機体も変更されており、TVシリーズに対するリメイクと言っても良い作品です。

まだ話数が進んでいないので確定的な事は言えませんが(※注1)、今年の最新作『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』は、どうやら上述の初代ガンダムの、並行世界(パラレルワールド)版のような世界となっているため、広い意味ではこれもリメイクの一種と言えるかもしれません。

ですが、いかんせん、(少なくとも当記事作成の時点では)登場キャラクターがあまりにも変わりすぎていて(これには大人の事情も絡んでいるとも想像しますが)、昔のガンダムを知る者としては、その点がちょっと残念な気分でもあります。

そしてなによりも、これも大人の事情かと邪推してしまいますが、初代ガンダムでは「戦争」というテーマを、当時のアニメは子供向けだという風潮の中でもしっかり描いているのに対して、今作では「戦争」はもはや終わった時点からのスタートで、モビルスーツ戦闘も「ゲーム化」している世界と言うのも、うーんな点です。

こうして見ると、アニメの世界も、昔は子供向け作品でさえ、トラウマ級の悲劇で完結したり、人が死んだりする描写がけっこうあったのに、現代はさまざまな大人の事情が絡んで、色んな表現にもブレーキがかかっているような気もします。

(むろん、これは悪いことではなく、むしろ特に小さな子供や女性に対しては良い方向なのも確かです。昔の作品は、作り手側が男ばかりだったためか、今観るとあまりにも女性視点では問題ありのものも多かったですから)



4.人生、下振れ引くか、上振れ引くか……

少々、3.の章では話が脱線してしまいましたが。

上述の、2.の章で言ったように、映画等の創作作品においては、「人生の下振れを引く」というリアリティをいかに、しっかりと表現しつつ、一方で、それとは矛盾する視聴者の望むような「上振れを予感させる」余韻も、ちゃんと残せるか。これが、作品の評価(大衆的なヒット)につながってくるように思われます。
(その意味では本当に、新海誠監督の『君の名は。』という作品は傑作と言う他はありません)

しかしながら他方では、「ハッピーエンドに名作なし」という言葉もあります。(あるよね?)

これは、ハッピーエンド作品が駄作だという意味ではなく、安易な予定調和により、先が読めるような展開が、視聴者を最後まで引っ張らないで終わることが多い、ということなのですが。

秒速5センチメートル』は、上で傑作だと言った『君の名は。』よりも、ある意味では、はるかに深い余韻をもたらしてくれる作品だとも言え、同時に、けっこう好き嫌いが分かれそうな作品とも言えます。

特に昨今のWeb小説等、気軽に読める創作物は、気軽に読めるからこそ、安直と言われても良いから「人生の上振れ」だけを味わいたいという読者のニーズが、色濃く反映される傾向があるように思います。

筆者もそう思ってしまう読者の一人ですので、その気持ち、とても良くわかります。

それでも、「人生の下振れ」もちゃんと表現した作品でしか味わえない読了感と言うか。
こうした作品にしかない余韻が存在する……と言うことも。
また確かなのです。

旧作がリメイクされるタイミングで、改めてリメイク元の作品に触れてみるのも、良いかと思います。



5.子供の頃からずっとリメイクしてほしいと思っていた作品は……

書いている内容にまとまりがなくなってきましたので、当記事は、そろそろ終わりたいと思いますが。

子供の頃にTVシリーズを観て感動し、ガンダムのように劇場版としてリメイクしてほしいと願いつつ、ついぞ叶わなかった作品があります。(より正確に言えばリメイクはされたけれど、ちょっと方向性が違うリメイクとなってしまった)

それが、『銀河漂流バイファム』。

ガンダムと同じサンライズ作品で、芦田豊雄の可愛らしいキャラクターデザイン(イメージとしては『魔法のプリンセス・ミンキーモモ』の人です)に反して、きわめて硬派なSF設定で、異星人との戦争に巻き込まれ、13人の子供たちだけで親に会うために宇宙を旅していくという、表面的にはロボットアニメではあるものの、その本質は家族愛や、戦争の中で育まれる友情を描いた異色の感動作です。(視聴率こそ色々あって伸びませんでしたが、ファンには支持され、第15回星雲賞ノミネートまで行きました)

本放映から13年後の1998年、『銀河漂流バイファム13』という新作が制作されたのですが……。

これは、残念なことに、上記のバイファム本編自体のリメイクではなく、どちらかと言うと公式の二次創作的な、本編で語られなかったサイドストーリーを描く内容でした。(これはこれで、本編のファンにとっても嬉しい内容には違いありませんでしたが)

どうしてこうなったのかは、特に調べてもいませんので、筆者も知らないのですが、もしかすると、大人の事情も絡んでいたのかもしれません。

そんな訳で、今年、個人的に注目されているリメイク作品を中心に語ってみました。

筆者の、こうした作品語りの記事に、果たして需要はあるのでしょうか。(もしもあるなら、応援していただけますと幸いです)

この記事が何かの参考になりましたら、筆者としても嬉しい限りです。



6.脚注

(※注1) (2025/06/23追記)
当記事作成(2025/06/20)時点において、今年の『ジークアクス』が、わずか1クール(12話)で終了予定だという情報を、完全に失念しておりました。それをふまえるとこの部分は、読者様に違和感を抱かせる記述になっております。申し訳ございません。
過去作より、『ガンダムシリーズ』と銘打つなら少なくとも2クール以上はやるだろうという「先入観」を持っておりました。初めから1クールで終わらせるという目線で見ると、また作品も違って見えてきますが、そこは書くとしても別で書きたいと思います。


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